No.286【長崎県地域医療研究会聴講】
令和5年10月14日㈯第45回長崎県地域医療研究会を聴講に長崎市まで出張してきました。
長崎県病院企業団議会議員宛に案内文書が届いたのですが自腹です😅。
2日目は専門的な研究発表が多いので、初日のみ聴講しました。人材確保と離職者抑制については、どの医療機関も苦慮しており、その関連のテーマでは特に熱心な質疑応答がなされて、途中に1時間弱も時間が押して、最後のサイバーセキュリティに関する講演は、少々駆け足となってしまいました。
エンパワーメント(褒めることで承認欲求を満たしてやり甲斐を高める)の励行等、予算をかけずに人材確保と離職者抑制を図ろうとの意気込みはわかります。しかし、円パワーつまり報酬を上げることに踏み込まなければ、この問題の解決はないと私は感じています。それには、企業団のみではなく、加盟自治体やその住民のご理解を得るよう努めていく必要があるでしょう。
一般演題A[①治療抵抗性統合失調症に電気痙攣療法が奏功した症例]について、その日の調子によって主張が変化する統合失調症本人からの同意をとることは、なかなか困難であることから、ご家族の同意を以て電気痙攣療法を実施しているとの報告があった。
私は家族の立場から以下の要望をしました。
電気痙攣療法が奏功した場合は良いが、全身麻酔を伴う当該療法は、患者の心身の負担が想像以上に大きい。本人が嫌がる状況でも、家族は一縷の望みから継続して欲しいとの思いの一方、自身の同意に基づき当該療法が継続されているとの認識が、家族に重くかかってくる。当該療法の継続においては、同意を与えている家族のケアも考慮に入れて頂きたい。
揚げ足を取るつもりはないのですが、研究発表の口述で気になる語句が2つありました。
⑴精神疾患について地域の一般市民にも理解を深めて頂くための『啓蒙活動』に努める。との口述があった。一般社会では、上位のものが何もわからない者に諭すという意味合いが強い。自分で考えて頂けるように仕向ける『啓発活動』を使うのがベターだと感じました。
⑵『そもそも医療機関(特に基幹病院)は、(病気を)治すところで、介護を提供するところではない』との口述がありました。私は違和感を感じていたところ、某病院の副院長から『本来医療機関は医療行為を施すという意味ではその通りだが、長崎県病院企業団の医療機関が求められている実態とは乖離がある。急性期医療に特化するわけにはいかない。』との発言がありました。私はこのご意見に共感を覚えます。企業団本部は、キュア志向からケア志向へのパラダイムシフトが遅れているのではないかとの疑念が残りました。
(キュア志向からケア志向へのパラダイムシフトについては👇のナカノ在宅医療クリニック視察レポート参照)
休憩中に、壱岐病院副委員長から企業団の基幹病院の内で壱岐病院にのみカテーテル施設が導入されていないことから、前回の病院企業団臨時議会において補正予算が上程されるに至った経緯及び循環器内科の医師確保には必須であることなどをご教示頂きました。
また、私が病院企業団議会で提言している病院企業団が目指すべき医療(範疇)の方向性について、ど素人の私と意見交換をして頂きました。誠にありがとうございました。