No.311【令和6年9月対馬市議会定例会一般質問】最終原稿
こんにちは。9番議員、会派市民協働の脇本啓喜です。
今回は、6月定例市議会で公表された《所信表明》について、通告に従い以下の3点に分類し質問致します。
⑴人口減少対策が果たして対馬市の最重要課題であるか否かについて
①人口減少は日本全国どころか、成熟した社会において世界共通に生じる現象であり、一自治体で抗える課題ではないと思います。人口減少抑制に取り組むことも必要ですが、それ以上に人口が減少しても住み続けられる島にして行くことがより重要な課題だと思います。市長の所見を求めます。
②市長と私の目的把握の相違があるであろう施策の一例が所信表明5ページの『結婚新生活支援事業や出産・子育て支援制度の充実』を人口減少対策と捉えるかどうかだと思います。対馬市は離島であるため、子育て支援政策の充実で子育て世代の増加に成功した兵庫県明石市や千葉県流山市のように、子育て世代が周辺都市から移住してくることはそれほど期待できないでしょう。『結婚新生活支援事業や出産・子育て支援制度の充実』は、住民サービスつまり福祉の充実施策と捉えるべきで、人口減少対策としてはさほど効果は見込めないと認識すべきだと思います。婚活支援を福祉の充実と捉えるなら、出産適齢期のみでなく中高年の婚活支援も行い、互いの老親や互いの介護に備えてもらうことにもつながり、人口が減少しても住み続けられる島の一助になると思います。また、対馬市の医療・介護関連歳出削減にもつながると思われます。市長の所見を求めます。
⑵人口が減少しても住み続けられる島にするための住民サービスの充実について
①地域包括ケアシステムは、今後更なる充実を図ると記載しています。現在、長寿介護課が、地区座談会を開催して住民の声を聞いていることは大変評価しています。上・中・下地域の医療や介護サービス資源は大きく異なり、広い島内できめ細やかなサービスを提供するには、従来の対馬全体を対象とした協議会ではなく、上・中・下の最低3カ所に分けて、それぞれの地域別協議をメインにすべきだと思います。市長の所見を求めます。
②10ページに『住民の利便性を向上させるためにDXを着実に推進』と記載していますが、具体的にはいつごろからどのようなサービスがDX によって便利になるのか、市長の答弁を求めます。
⑶人口が減少しても住み続けられる島にするための経済活動の活性化について
①11ページに『対馬市SDGs アクションプランの実行が不可欠』『(それを実践していくうえで)民間資本の知恵と行動は欠かせない』と記載されており、私も強く共感します。今定例市議会で企業誘致に関する条例改正を再度練り直して、対象事業を拡大したり、新規雇用創出人数を緩和して上程したことも評価します。しかし、対馬市が求めている企業誘致像はどのようなものなのかが伝わり難いと感じています。SDGs未来都市らしく、環境、社会、企業統治の3つの観点から投資先を評価して行う投資であるESD投資対象事業にはより手厚い支援策を盛り込んだり、既存事業者を含めてHACCAP(国際的な食品衛生管理規格)やMSC(水産資源と環境に配慮し適切に管理された持続可能な漁業で獲られた天然の水産物の証)の認証取得支援策を充実する等の特徴ある条例改正も含めてはどうかと思います。市長の所見を求めます。
②有人国境離島法関連補助金、離島活性化補助金、及び森林環境税の活用について、それぞれの現状の活用基本方針の大枠について説明を求めます。
③今回の所信表明に貿易推進等、国境の島であるメリットを活かす施策があまり読み取れないのが残念です。例えば、インバウンドが復活していることを機に、比田勝港で国際郵便が取り扱い可能となるよう働きかけてはどうでしょうか。現在、対馬市から国際小包を釜山市へ船便で発送すると、わざわざ神奈川県の川崎東郵便局へ一旦運ばれて、約一カ月後に宛先に届きます。これが、僅か約50Km の比田勝港から直接釜山港へ、船便で送ることが可能となれば、お土産品の購買が著しく増加すると思われます。また、本土から国内配送で対馬まで届けて、この国際小包便を利用する需要も十分予想できると思われます。市長の所見を求めます。
【再質問】
⑵人口が減少しても住み続けられる島にするための住民サービスの充実について
①先日の対馬地域病院運営協議会で、新築移転される上対馬病院の開院は令和9年秋に、病床数は現60床を40床に削減する予定であること。また、対馬病院は、急性期病床を削減し、地域包括ケア病床を100床程度に増床することが公表されました。このような医療資源環境の変化については、長崎県病院企業団と協力して市民に広報し、各地域に応じた地域包括ケアシステムの構築の円滑な推進に努めるべきだと思います。長崎県病院企業団は、地域での受診が地域を創る郷診郷創を理念としています。この理念実現には、長崎県病院企業団自体の努力だけではなく、その医療機関所在地の自治体及びその住民の協力も不可欠です。
まずは情報公開が大事です。手始めに、長崎県病院企業団と連携して、上対馬病院の新築移転に関する住民説明会の早期開催を提案します。市長の答弁を求めます。
次に、地域包括ケアシステムの充実には、住民参加のハードルを下げ、住民参画更には協働への道筋をつけることが必要だと思います。
対馬市全域の課題解決を取り扱う協議会への参加は、多くの人にとっては尻込みすると言うより、関心も湧きにくいだろうと思います。前述の上・中・下の最低3カ所に分け、更に子育て、医療・介護、あるいは交通手段確保を含めた生活支援等の分科会方式を採用することで、それなら私も提案してみようかなという住民参加のきっかけを作ってはどうでしょうか。市長の答弁を求めます。
⑶人口が減少しても住み続けられる島にするための経済活動の活性化について
②対馬市における令和6年度の国境離島法関連交付金の9割強は運賃低廉価事業や輸送コスト支援事業にに費やされています。一方で、同交付金に占める令和6年度雇用機会拡充事業は対前年比約6割も減少しており、資産として残らない交付金の支出がこれ以上増加すると、国からの支援が削減されるのではないかと大変危惧されます。確かに、本土までの高額な輸送コストが島内一次産品の競争力を削いでおり、本土の一次産品と少しでも同じ土俵で競争できるように行政が支援することは必要でしょう。しかし、交付金の活用は一過性の支出ではなく、何か形が残るものあるいは中長期的に展望が見込める事業への支出への転換が求められていると思います。
対馬市はサーキュラーエコノミーをコンセプトにSDGs未来都市に採択されており、循環型経済の普及を標榜しています。循環型経済とは単にリサイクルを推進するだけでなく、食料の輸送量✖️輸送距離の削減を図ろうというフード・マイレージも意識した地産地消を推進することも重要な取り組みです。ひいては、島内からお金が外に流出する額を抑制して島内でお金を何度も循環させることで、トータル同じ消費額でも地域内消費が活性化されます。
つまり島内の内需を喚起あるいは創出することが、島の経済活性化にとって重要な取り組みだと思われます。
例えば、『対馬市木材利用行動計画』の3.取り組み目標(2)公共土木工事における地元産木材の利用の項目に、具体例として木製ガードレールが掲載されています。確かに金属製の既製のガードレールと比較してコストはかかりますが、地元産木材の需要拡大及び地域循環経済の推進の観点から、木製ガードレールを製作する製材所設備投資に補助金を支出する等について検討してみてはいかがでしょうか。市長の答弁を求めます。