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【徒然なるままに】#108

先月末、現在公開している『SING/シング』の続編を吹き替えで見た。

ワクチンの3回目がかなりしんどかったので、見に行こうと思っていた日に行けるかなと心配だったが、体調が回復したので行くことができた。
接種2回目まではそれほどでもなかったが、3回目がきつかったので、また今後も打つことがあるのかと思うと憂鬱な気持ちになる。

今回『SING/シング』の続編を見に行くに当たって前作も吹き替え版で予習した(面白かったが、5匹のレッサーパンダユニット「キューティーズ」には苦笑。イギリス出身の監督ならではのユーモア?)。

U2の名曲を日本語で歌うとどうなるのだろうか、と興味津々だったが、見て思ったのは、自分としては違和感はなかったし、それまでの物語の展開から、ハイライトでギターが入ってくるところなどは、正直にいうとちょっとウルっときたのだった。
U2の曲を知っている身としてはあの曲を最後にやるのかな、と思っていたが、その予想は外れた。けれど、とても良かったです、あの方の歌声が。

字幕版というかオリジナル版にはU2のボノが声の出演をしている。
U2は、高校卒業ぐらいの時期に従兄が教えてくれた『魂の叫び』の映画を見てから一時期ファンで、『ZOOROPA』の日本で行われたコンサートも行った。一時期のファン、というのは、アルバム『POP』辺りまでしかフォローをしていないのからなのだが、その後もそれほど詳しくないだけで、4人へのリスペクトは変わらないつもりである。

今回の『SING/シング』の続編では新曲の他、数曲U2のアルバムから使用されているが、中でもアルバム『ヨシュア・トゥリー』から選曲された2曲は『魂の叫び』という映画でもハイライト的に使われていて、自分にも馴染みが深い。『ヨシュア・トゥリー』はブライアン・イーノとダニエル・ラノワがプロデュースしている。イーノもラノワも自分が好きなアーティストだ。アルバムのプロデューサーというものを意識し始めたのは、この頃だったと思う。
『ヨシュア・トゥリー』以後のアルバムはそれまでの路線と大分違うのだが、『アクトン・ベイビー』も『ZOOROPA』もよく聴いていた。ただ、時間が経って未だに印象的だと思うのはやはり『ヨシュア・トゥリー』や『魂の叫び』の映画である。
高校の頃に良く聴いていたものというと、パット・メセニー・グループやチック・コリア・エレクトリックバンドの他、坂本龍一、Deee-Lite、布袋寅泰『GUITARHYTYM』の I〜IIIという具合だが、そんな中『ヘルター・スケルター』で始まる『魂の叫び』はまた違ったものとして響いた。特にボノの声が本当に良くて衝撃を受けたのだった。
当時、80年代後半の流れのアメリカン・ハードロックが自分の周りの環境では主流で、いろいろ人から聴かせてもらったが、実はそれほどピンと来ていなかった。ザ・バンドなどはまだ知らなかったし、プリンスも聴いていたのは『グラフィティ・ブリッジ』ぐらいで、色々と知っていくのはまだ先のことだった。
こんなことを書いていると他のことも思い出してきた。
坂本龍一のラジオ特番でデヴィッド・シルヴィアンの「オルフェウス」を聴いたときのことである。サウンドと歌声のあり方、バランスが自分には完璧なものに思えた。完璧という言葉を使うのはあまり好きではないのだが、それでもこの曲を初めて聴いた時の気持ちを端的に表すとすればぴったりの言葉だとも思う。そして、自分にとっての良いと思える歌声がどんなものなのかわかったように思う。
しかし、高校生のときの自分はリサーチの仕方をよく知らなかったので、この「オルフェウス」が入ったアルバムを購入したのは随分後のことである。

あの頃はYouTubeもないし、学生ということもあってお金もなかったので簡単にアルバムを聴くことも手に入れることもできなかった。
レンタルCDも都内の大型店であれば別だったのかもしれないが、自分の地元では沢山のアーティストを網羅した店というのはなかった。
(U2はアイルランド系だが)ブリティッシュ系のロックをもっと高校時代に聴いていたらどうなっていただろうか、と夢想する2022年の春である。

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