【徒然なるままに】#94
作曲家のテリー・ライリーが来週ビルボード東京でライブを行う。この何年か彼が日本にいたことをこのライブ情報で初めて知った。
『In C』という曲が有名で、ミニマル・ミュージックの人というイメージがある時期まで自分の中で強かったが、あるアルバムを聴いてからその考えは変わった。
そのアルバムが『Lisbon Concert』だ。
ピアノで即興的な演奏を繰り広げるこのアルバムはいわゆるミニマル・ミュージックのイメージとは大分違う。
断っておくと、自分はミニマル系の音楽は好きなのだが、ここに収録された楽曲は良い意味で自分の期待を裏切ってくれたアルバムだった。
もちろん、短いリフを使う楽曲もあるのだが、その展開のさせ方は、例えば音を制御していくというよりは音を自由に解き放つ、と言えば良いだろうか。
作曲する行為と演奏するということがテリー・ライリーの中では別ものではなく、しっかりと結びついているのだ、と感じた。ジャズ的な要素もあるが、自分が彼の演奏から特に感じたのはブルースだった。
『In C』も考えたら即興演奏を考えていった一つの結果としてできた楽曲であり、編成の制限がないことを考えても、そこには『自由さ』を感じる。
この人はしっかりと軸を持った人で、良い意味で昔から変わらない人なのかも、と思った。
(実際サウンドは皆違うのだが)同じ括りでしばしば紹介されるアメリカの実験音楽の作曲家のグラスやライヒ、皆それぞれの良さがあるが、鍵盤を使って自由に演奏するテリー・ライリーを見ていると、ある種自分にとっての理想形なのかもしれない、と思う。
余談だが、最近Twitterなどで見られるNordStage3を弾いているテリーさんのお姿は本当に微笑ましい。