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【徒然なるままに】#105

地下鉄サリン事件。27年前、自分は大学生だった。普段は地下鉄を利用していたが、その日は講義がなかったので、遅く起きた朝にこの事件を知ったことをよく覚えている。

この事件は未だに様々な謎が残されているように思うが、この事件の被害者を取材した村上春樹の「アンダーグラウンド」という本がある。それまで普通に暮らしていた人々に突然起きたことを、被害者に寄り添いながら丁寧に聞き取ったものを本にしたものだ。

当時から村上さんの小説やエッセイを読んでいたが、いわゆるノンフィクションなものに村上さんが向かうということがどういうことなのか読むまでわからなかったが、これが本当にしっかりと隅々まで行き届いた本なので驚いた。内容は被害者へのインタビューで構成されている。書き手の私情などが吐露されるようなものではないのだが、良い意味でこの本に村上さんの人柄というか、懐の深さ、人に対する優しい眼差しを感じるのだ。
この後に、事件を起こした側の信者へのインタビューをした「約束された場所で」という本も出版された。

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