20190516「早く一流に会え」
定規や重量計とかで測定できるもの以外の基準ってとても曖昧で、それぞれに正解があって正義がある。それぞれに見えているもの、感じているものがある。その立ち位置に行って、初めて見えてくるものや感じられるものがある。人がそれぞれ持ってる基準っていうのは、そんなもんだ。
「早く一流に会え」
新卒で就職したとことの契約期限が迫ってきていたある日、大学時代のゼミの担当教員でもあった恩師が、こう言った。その時は理由がいまいちわからなかった。実行することもできなかった。
最近上記のようなツイートであったり、デザイナーやエンジニアの職能や領域に対するツイートであったりを目にすることが多くなってきて、「なるほど」と思うのもあれば、「マジで」と思うのも結構ある。「なるほど」のやつは、本当にありがたい情報だ。一方「マジで」案件は、「そんなことマジで言ってんの?今更気がついたの?こちとらそれしないと仕事にならないんだけど」って感じのやつだ。なぜ「マジで」案件に口悪く言ってしまうのか。なぜかは何となくわかる。都会のデザイナーさんや上流のデザイナーさんに対する嫉妬、コンプレックスだ。
彼らは、自分のような層のデザイナーより、よりデザインに特化して仕事できるような体制になっている。と、思う。なったこと無いので知らない。けれど「マジで」案件の素となるそれらのツイートや記事は、自分のタイムラインに流れ混んできているので、それなりに有名人のやつがバズったやつだったりする。有名人とは、都会や上流のデザイナーさん方だ。だから知らないけどそう思ってしまうのだ。
この「いいデザイナー」の話も、めっちゃLikeが付いたり賞賛の引用ツイートが付いている。確かにツイート主が思い至ったこと自体は間違ってはいないと思うが、自分はなんとも思わなかったというか、むしろちょっと嫌だった。「マジで」寄りの案件だったのだ。コンプレックスが十二分に仕事していた。これが新しい気づきだとしたら、地方のお仕事できるデザイナーさん方は、かなりの職能があると言えると思う。「思考の奥行き」に関しては、「当たり前にやるじゃない?」と思うほどだ。自分ができるとは言ってないよ(予防線)
ちなみに余談だが「マジで」案件で、さっと思い出せる話題は「印刷とWebの違い(仕組みから制作環境まで)」「デザイナーもコードかけたほうがいいよね」「デザイナーも〇〇できた方がいいよね」とかだ。ちょっともうしんどい。今更そんなこと考えればいいとか羨ましすぎて吐きそう。
けどそれも、そんなこと考えたりしなくていい場所にいられるからそう思うのだ。気にしなくてもやっていけるのだ。だから、彼らが知っていることを、自分は知らない。彼らに見えて、自分に見えていないことがたくさんあるハズだ。
「早く一流に会え」
恩師がそう言った理由が今ならよくわかる。知っていることが価値や判断の基準になる。良いものを知りたければ、良い基準を知っている人に触れて学ぶこと。そしてたくさん知ること。きっと上芝先生が言いたかったことはそういうことだ。
自分はもともと芸大出身でもデザイン科出身でもない。都会や大きな制作会社の仕事の仕方も知らない。劣等感を感じまくって日々生きている。それでも一応芸大で働いた。展示もやった。地方のそれなりに評価されている制作会社でそれなりに働けた。そして今も死なない程度には仕事できている。その事実を糧に、今日もニコニコしながら、のたうちまわって仕事している。仕事が終わらなくて吐きそうだ。