20190805「よくないし、よくないし、最悪」

朝方まで仕事をしていたので、ちょっと寝たい気持ちもあったけれど、ゴミ出しなので、ある程度起きていた。

愛知の件が騒がしい。
全く業界的に遠くないのもあって、いろいろ考えてしまう。お祭り現場の時もその話題になって、結構強い言葉を使って「あの展示は良くなかった」と言ってしまった。
それ以降、世間の盛り上がりを見ていると、なんとも言えないモヤモヤがずっと心の中にあった。
世間の反応は概ね「展示中止反対!」である。
けれど議論のポイントが整理されていないように思えたりもしていた。

いろいろモヤモヤ考えたら、ちょっと自分の気持ちの落としどころが見えてきた。
その落としどころは「企画展の中止はダメだし、展示作品は良くないし、それにまつわる議論や伝える為の設計は最悪」というところだ。

企画展の中止は、その経緯からしてもダメだと思う。暴力は良くない。政治介入もよくない。
そもそも個人的には作品自体に魅力を感じないという面もある。
それより何より、あの作品は美術的な側面より、ある種のプロバガンダ的な雰囲気も強くて、展示を決めた時には、展示に対してビビットな反応があることは分かりきっていたはずだ。
そこに対して、何の準備も無かったのか。そこに対してのテーゼも含めて、企画展としての趣旨なのではないか。その杜撰とも言える準備に対して、呆れ倒している。悲しさしかない。炎上マーケティングと変わらないとすら思う。表現の自由が後退した?わざとやってないか?

特に日本の多くの人たちは、美術に対しての教育が浅く、美術の文脈を知っている人たちの方がマイノリティだ。たぶん多くの人が、パッと見いわゆる例の像との差がわからない。だからこそ文脈であの作品を受け入れろというのは傲慢さがあるし、企画展は、その多様な文脈に接続するためではなかったのか。

企画展を中止に追いやった側は、暴力の力をまた示すだろう。文脈と接続できなかった世間の人々は、また美術から離れていくだろう。本当に最悪の結果になった。本当に最悪だ。

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