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オークションで競りかける

 去年のメルカリに続けて、禁断のヤフーオークションにも手を出した。
 フリーマーケットで少しでも安いものをとか、他人と競争して落札するオークションとかいう類は、ただその商品が欲しいからという理由の他に妙なアドレナリンの出る買い方なので、無駄に熱くなってしまうところのある自分には泥沼だと分かっていたのでこれまで手を出さずにきた。
 だが、最近またオーディオ熱が再燃してきて、デスク周りのガジェットだの、訳のわからないオーディオパーツだのというのは、男のロマンという顔をした鉄屑のことが多いので、そういっったものはこういう場で漁る方が掘り出し物を手にできる確率が高い。

 事実、去年探し求めた安物キーボードもそうだったが、たとえばその道に踏み入れた人間以外誰も見向きもしないであろう、オーディオ用電源タップなどのキーワードで検索すると、玉石混交の珍品やガラクタがワラワラとヒットする。

 「あなたが最高額落札者です!」そんな表示が現れると、冷静に考えれば喜ばしいことでもなんでもないのに、まるで自分が最上の幸せを手にしたような気分にさせられる。裏で悪徳業者が暗躍して、こちらの心理を巧みに利用し、意図的に値を釣り上げて高値づかみをさせられている可能性がないとは言い切れない中でである。
 分かっているならやめればいいのに、今も定価の4分の1で出品されていたアンプに目が眩んで、250円、500円という徐々に上昇する入札品を横目に、競りのプロは、毎日こんな場に身を置いて、脳の血管を急足で血が流れて行くのではないのかと、妙な胸騒ぎがするのであった。

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