Wake UP Vision#3 ~代表かれんともえはのクロストーク
こんにちは!
Wake up memberのここねです
朝夕が冷え込む時期となりました🍂❄️
第3回目のWake Up Visionは、幹部のもえはさんです✨バレエや大学のお話など、今回は深い話が盛りだくさんな内容なのでぜひ覗いてみてください👀
今回のメンバー紹介
名前:山本萌葉(やまもと もえは)
バレエを始めた理由:チアリーディングに憧れてて、バレエを始めた。
おばあちゃんの家の前がバレエ教室だった。
バレエ継続年数🩰:14年
趣味:バレエ、1人で美術館に行くこと🌸
今頑張ってること:就活、自分探しをすること
Q1 自分の価値観を揺るがした経験は?
かれん: 最近出会った人や読んだ本で価値観を揺るがされた体験って何かある?
もえは: この前ビジコンに参加したんだけど、運営している社長さんの話がすごい面白くて、私たちが本当に聞きたいことや思ってることを図星で話してくれるし言葉にしていない感情を先読みされてる感じがしたのね。
かれん: え〜!
もえは: その方と話す機会があったとき、「どうしてそんなふうに人の心を読んで行動できるのか」と聞いたら、これは簡単にできることじゃなくて、日々の考え方や意識で変わっていくものだって教えてくれたのね。
かれん: うんうん
もえは: 例えば、8時間の会議で話が煮詰まっていて、上司に1000円渡されて何か買ってきてと言われた時、かれんさんだったら何を買ってきますか?
かれん:みんなのことを笑わせられるお笑いグッズみたいなもの!
もえは: なるほどね、それは面白いです!そういう話題の種を生むようなものっていうのは社長さんの回答に近くて、20人がその時何を求めているか、食べ物だけじゃなくて突破口となるアイデアを引き出せるものを買ってこれるように機転を効かせられることが求められているんだって。
かれん: うんうん
もえは: ただ物を持ってくるのではなく、本当にその人たちが何を求めているのかを考え続けることが、そういう人間に近づけるきっかけになるんだなって思った。周りの尊敬する人たち、かれんさんも含めて、本当に人が求めていることに応えていると感じて、私もそういう人間になりたいと思ったエピソードです。
かれん: じゃあ、その話をバレエの場面で考えてみたい。今の話って、舞台でメインのダンサーがいて、周りで演技をするときに活かされる力のような気がした。たとえばバレエの発表会って、全員がプロで全員が同じレベルってわけではないのよね。同じ舞台に、メインで踊る上手な人、年上のお姉さん、さらに小さな幼児もいたりする。そういう場で、真ん中に立つ人は良い演技をしつつ、自分自身も良く見せながら、他の人の動きや表現も考慮していく必要があるじゃない。今この人が何をしようとしているか、どこでどう動くのか、全部を読み取って舞台全体が成り立っている気がして。
もえは: 確かに
かれん: 私は舞台に立ってて、学ぶのってそこだなって思う。
もえは: 本当にそうかもしれない。その場にいる人だけでなく、振付家や指導してくれる方も先読みしているなって感じることがある。振付に込められた意味や、全体を引き立てるためにどのように踊るべきか、そういう意識を持って踊っていた気がする。だからそういう力はバレエでも重要だし、社会で生きるためにもそういう思考が必要だよね。
かれん: 今の話から派生して1つ質問!舞台に立っていて「花がある人」ってどんな人だと思う?私は、小学生の時に4年に1回東京で行われる「世界バレエフェスティバル」に子役で出演したことがあって。その時、ドン・キホーテの第2幕で、演技の指導をかなり受けたの。私の本番を観に来た親が、「端っこにいても目立つ動きをする人はとても印象に残った」って言っていたんだよね。その話を今思い出したんだけど、もえはちゃんは、ただのバリエーションじゃなくて、全幕公演みたいに演技とかも含めて複数人で一つの舞台を作っていくような経験をどれくらいしたことがある?その経験を聞いた上で、もえはちゃんにとって舞台で「花がある人」ってどんな人だと定義しますか?
もえは: 難しいですね〜笑
団体で踊る経験については、結構ある方かな。発表会やバレエ教室だけでなく、バレエ団の公演にも出演させてもらってたんだけど特に私は年上の人たちに囲まれて踊っていて、その中で「最後の晩餐」という作品に出演したことがあった。それぞれのキャラクターになりきって作品に出たんだけど、その時に自分の表現力のなさを痛感して、すごく悔しい思いをしたの。
かれん: うんうん
もえは: 話が少し変わるけど、私が大好きなダンサーは菅井円加さんなの。私のバレエ教室の先輩ってこともあるんだけど、まどかさんの踊りを見ていると、瞬きもできないくらい引き込まれるの。いつも私の想像の一歩先を行っている感じがあって、音の使い方や足を置くポジション、デベロッペで一歩その先に置くところまで、全てに魂がこもっていて、自分のこだわりを持って踊っているなって感じて。
もえは: まどかさんって、特別身長が高いわけでもないんだけど、身体能力がすごい高くて、人間離れした肉体で普通できないようなこだわりを貫いている人だなって思うの。そういう人が「花がある人」じゃないかな。
かれん: なるほどね、面白いね!ちなみにここねちゃんはどう定義します?
ここね: 私は表現力が一番大事かなって思ってます。例えばコンクールとかで踊ってる時って、表現力とか、踊りを自分のものにしてる子って結構目立つじゃないですか。それってただ踊ってるだけじゃなくて、ちゃんと考えながら踊っている気がして。特にキャラクターダンスでもその役になりきっている人とか。そういう人が「花がある人」なのかなと思います。
かれん: 今の2人の答えを聞いて、私がキーワードかなと思ったのは、「コンテクストを大事にする」とか「流れを大事にする」ってところかな。最初にもえはちゃんが言ってた、1つ1つのパとパのつなぎにこだわりを持つこと、そしてここねちゃんが言ってた自分のものにするということ、どちらもそうだと思う。人それぞれで身体の特徴って違うじゃん。例えば、つま先の甲が出る人もいれば、出ない人もいるし、足が長い人もいればそうでない人もいる。それぞれが自分自身らしいコンテクストを作り上げた上で、そのこだわりにとことんフォーカスしている。そういう、こだわり抜いた踊りができる人が舞台で花があるように感じるんだなって、2人の話を聞きながら思ったの。
もえは: うんうん
かれん: 私が今イギリスにいるから、一緒にいるフラットメイトの子達にバレエの話とかをしたりするんだけど、全然バレエを見たことないとか、知らない子たちが多いのね。そこでイギリスのトップのバレエ団の中にも、日本人がいっぱいいるんだよっていう話をする時に骨格とかのハードルがあるのにすごいねみたいなことを言われることがあるの。まさにロイヤルバレエ団でプリンシパルをしていた吉田都さんの伝記を読んだことがあるんだけど、都さんもヨーロッパ人と比べると全然バレエの理想的な体型からは離れている部分があったみたいで、それがコンプレックスだったと書かれてた。それでもプリンシパルになれたのは、自分自身のコンテクストを持っていて、徹底的にこだわり抜いたからなのかな、ってすごく思うんだよね。
もえは: 確かにね
かれん: 私も、もえはちゃんと同い年だから将来について考えなきゃいけない時期だし、最近よく考えるんだけど、一般的に「こういう企業がいいよ」「この職種は良いよね」と言われる中で、他人からの評価を目指す以上に、自分のコンテクストを描いていける人のほうが本当に輝きを持ってるなって思う。それは舞台上や日常生活でも、通ずる気がするなって思ったの。
もえは: 間違いないです。私も「こだわり」ってすごい大事だなって思うことが多くて、何か成し遂げてる人ってそこまでこだわる?!みたいなところまで徹底していてこだわっていて、特に伝記やドキュメンタリーをみると特に感じるの。
Q2 「こだわり」とは?
かれん: じゃあ、もえはちゃんの「こだわり」ってなに〜?
もえは: すごい難しい、私こだわりがない人間だなってすごい思ってるの。
かれん: へえ〜そうなのかな
もえは: 20歳の時に自分で立てた抱負が「こだわりを持つ」なの。
バレエの道は自分は向かないなって思ったのもそれが理由の一つで自分が こうしたいっていうこだわりを持てる人間なのかって考えた時に私はそこまでの想像力はないかなって思ったのね。
かれん: それはもえはちゃんの中では、「こだわり」=想像力ってこと?
もえは: 「こだわり」って頭の中でこうしたいっていう目標やビジョンがあった上で、生まれてくるものなのかなって思ったの。そのビジョンを生み出すための土壌がまだ自分にはないな、って感じる。周りにいる才能あるダンサーたちを見てると、自分の踊りたいイメージや方向性がはっきりしていて、「振り付けはこう言ってるけど、自分はこう表現したい」っていう強い「こだわり」を持っているのを見て、自分にはそこまでの強さがないかもって思うんだよね。
かれん: うんうん
もえは: 振り付けはこう言ってるけど、私はこうしたいんだぐらいの「こだわり」を持っていて、私はそこまでの強さがないみたいに思ったり。だから、自分で何か「こだわり」を持って選択するみたいなことが、意外となかった気がしていて。
かれん: なるほどね
もえは: でも一番大事にしてることがあって、自分の力には自信がないんだけど、周りの人の実力や能力を活かせる立場でありたいと思ってる。私って平和主義なところがあるんだけど、みんなを競わせるというより、周りの力を掛け算していけるような繋ぎ目になりたいなって。
かれん: なるほどね。「こだわり」って、突き進んで結果が出た時にその人の個性として、ポジティブに作用すると思うのね。でも途上にいる時って、「こだわり」は視点の狭さと裏表な気がしていて。それが時に自分を縛ることもあるなって感じるんだよね。
こだわるってことは、自分で焦点を選択してその焦点を絞って力をかけていくみたいな。
もえは: めっちゃわかる
かれん:それをやり続けないと、その「こだわり」は自分のものにはならないと思うんだよね。途上にいる時は、その絞り込みが正しいかどうかなんて分からないけど、その途中で迷いが出ることも多くて難しいなと感じる部分でもあるの。だからこそ、さっきもえはちゃんが言ってたみたいに、繋ぎ役として、「こだわり」を持っている人たちを広げていく役割も重要だなと思うんだよね。頂点を目指している人がいるなら、横の繋がりを作る人も大事だなって。
もえは: そうだね、私もそっち側の人間なんだなっていうのがある。突き抜けるよりも、繋げたり広げたりっていう方が楽しいし、やり甲斐があるかなって思います。
かれん: そうね。ここねちゃんは「こだわり」ってどう思う?
ここね: 私は、一つのことをやると決めたら、最後までやるっていうことかなって思ってます。いろんなことに手を出しすぎてキャパオーバーになりがちなんですけど、その中でもバレエみたいに、続けているものがあります。。私の中で一番大事にしているのは、最後まで絶対に諦めずに成し遂げることですね
かれん: めっちゃ重要だよね。バレエって、動かないとすぐ体が硬くなるし、自分が理想から離れているのを一番実感するから、やめちゃう人も多いのに、それを続けてるのは本当にすごいと思う。まさに、最後まで続けることにこだわるって感じだよね。
でもバレエやってる人ってそういうことできる人多くない?
もえは: うん、確かに。バレエをやってる人って、みんな自分の軸をしっかり持ってる感じがする。
かれん: それはなんでそういう傾向になると思う?
もえは: 厳しい環境で、揉まれてるからじゃないかな
かれん: なるほどねえ、揉まれてるっていうのはどういう事例がある?
もえは: バレエって女性の世界だし、いじめられても続けるとか、望まない役が与えられても自分の役割を見つけて頑張るとか、思い通りにならないことが多いじゃない。その中でどうやって自分で道を切り開いていくかを常に考えながらやってたなって思って。
かれん: 確かに
もえは: 何があってもやめないで続ける、そのエネルギーを常に持ち続ける力が大事なんだよね。
かれん: 自分でエネルギーの醸成ができるっていうのは、めっちゃ強い気がするんだよね。実は、燃え尽き症候群の記事を最近読んで、完璧主義とかひたむきに頑張る性格がなりやすいってあって、自分すごく当てはまるなって思ったんだけど、実際のところ私はあまり燃え尽き症候群になった経験がないんだよね。多分バレエを通して、揉まれる経験をたくさん積んだからかもしれない。レジリエンスっていうのかな、「ちょっと折れるぐらいではへこたれない」みたいな。そうやって、自分でエネルギーを醸成する力を身につけたのかなって。
もえは: バレエって心も体も切り刻まれる感じだよね。継続が力になるっていう言葉通りに、毎日が積み重ねで、それが力になるし毎日家に帰って筋肉マッサージして、ストレッチして、食事制限して、筋トレして、それがあってレッスンや発表会の練習があるなって。1日でもサボると、自分の体で分かるし、そんな自分が許せなくなる。だから、日々の積み重ねが自分の誇りになるし、簡単に諦めることが、自尊心を傷つけることになっちゃうんだよね。
かれん: そういう意味では、精神性が似てくるのかもね。バレエをやっている人たちは、ある意味厳しく自分に向き合う人が多いんだろうね。そういう価値観を共有できる仲間って、やっぱり大事だよね。
もえは: でもその分、私も高校生の頃はすごくプライドが高かったなと思う。当時は、理想に向かって努力している自分に自尊心を感じていた。今思うと、自分の中でかなりのプライドがあったなと思う。
かれん: 今はそのプライドは変わったの?それとも今もその要素はあると思う?
もえは: 多少はあるけど、大学に入ってからは緩めた感覚がある。
かれん: もえはちゃんはこれからもそういう風に緩めた状態でいたいと思う?
もえは: これからはもっと高めていきたいと思ってる。理由としては友達や人との交流を増やしたいと思ったからで、元々人と関わるのが少なくなって遊びに行く時間もバレエをしているからみたいな理由でずっと断っていたから、コミュニケーション能力が低いなって思っていて。
かれん: 今じゃ考えられないけどね〜笑
もえは: 人と話すのが苦手で、なんか何話したらいいんだろうみたいな、気を遣ってるみたいな感じで。だから、積極的に人と喋る時間を作らないとなって思って、できるだけバレエの優先順位も今までみたいには 高くしてられないしもっといろんなコミュニティに入って、いろんな人と話そうと思って。
かれん: うんうん
もえは: そうなった時にプライドを表に出すか表に出さないかもあると思うんだけど、表に出すのはやめようって思って。
かれん: へえ〜なるほどね。
もえは: ここからはちゃんと自分のプライドを持って、「こだわり」を持っていかないとなっていうところではあります。
かれん: 今回の話、「こだわり」がテーマみたいになってるけど、私も最近、いやずっと思ってることがあるの。それは、子供心を忘れないおばあちゃんになりたいっていうこと(笑)子供ってすごく純粋で、自分がやりたいことができなければ不機嫌になって、できたらすごく喜ぶじゃない。でも大人になるにつれて周りの視線や人間関係を意識しすぎて、自分のやりたいことが抑えられることもあるじゃない?
もえは: 確かに、間違いない。
かれん: 私は純粋にやりたいことをやりたいと思ったら、それを大切にしていきたいなって。
もえは: めっちゃ大事だよね
かれん: もちろん、その分デメリットもあると思うんだよ。大人としての責任もあるし。でも、私は生き方として、子供のような純粋な気持ちを忘れずにいたいと思う。もし一度失ったら、本当に取り戻せない気がしない?
もえは:本当にそうだよね。私も一時期、自分が好きなことって何だろうって分からなくなった時期があった。中学生の頃に転校してから、嫌われないように、できるだけ周りに合わせて生きてきたけど、大学生になってからいろんな人と話す中で、少しずつ自分のやりたいことや好きなことが見えてきたって感じてる。
もえは: 私も、将来は自分の感性に従って生きていきたいなって思う。自分が感じたことは、きっと誰かの感性にも響くはずだから。それを通して、もっと人との繋がりや輪を広げられる人になりたいなって思ってる。
かれん: うんうん、それってすごく大事だよね。
Q3 大学でどんなことを学んでいるの?
ここね: 大学ではどんなことを学んでるんですか?
もえは: 大学でもバレエをテーマにしているんだけど、ソーシャルマーケティングの研究会にも入っていて、社会に良いことをしながらどうやって収益化するか、というテーマでマーケティングの勉強をしてるの。その中でバレエ以外のこともやっていて、例えば、エシカル商品をどう売るかとか、意識変革や行動変容をどう起こすか、そういったことを考える研究会なんだよね。インサイトという言葉があって、これは消費者やその人自身が気づいていない欲求を見つけて、その欲求にアプローチすることで購買意欲を引き出すことを意味しているんだけど、私はこれを活用して社会的に良いことに結びつける方法をマーケティングの勉強をしながら考える研究会に入ってます。
ここね: なんでそれを学びたいと思ったんですか?
もえは:それはバレエがきっかけで、バレエを観に来る人をどうやって増やしたらいいんだろうって思ったから。バレエとかの芸術業界とソーシャルグッズのマーケティングって結構似てると思ってて。
すごいニッチなもので、本当にそれに興味がある人って限られてて、 その中でも収益を上げたりとか、なんか興味を広げていかないといけない。どちらもすごくニッチな分野だから、興味を持ってくれる人が限られている。その中で収益を上げたり、興味を広げたりするために、どういう欲求にアプローチすればいいのか、どういう仕組みが必要なのかを考えたくて、研究会に入ったって感じです。
かれん: それってすごい興味深いよね。私は今スイスから来た友達と仲が良いんけど。イギリスでは、レストランやカフェの入り口に食品衛生指標が5段階で表示されているのね。絶対ステッカーが貼られていて、そのスイスの友達は、5段階のうち、5がついてるところにしか入らないの。
もえは: え〜、すごい!
かれん: リップクリームとかも、環境に優しいエシカル商品なんだよね。そういうコスメを絶対に使うんだけど、彼らはそれを当たり前のようにやってるんだよね。日本だと、そういうことって意識高い系の人がやることみたいに思われがちだけど。
もえは: そうだね。
かれん: これが、インサイトっていう視点で表現できることなのかわからないけど、スイスとかヨーロッパの人たちって、個々人がそれを当然のこととしてやってるイメージがあるよね。EU諸国では、すでにそういう行動が当たり前に切り替わってる感じがする。
かれん: それって、ストリートパフォーマンスにも通じる気がする。イギリスの街中を歩くと、ストリートパフォーマンスがすごく多くて、演者の技術も高いし、人もたくさん集まってきて、観客が一緒にその場を盛り上げてるんだよね。その盛り上げに応えるために、パフォーマーもさらに工夫して盛り上げる必要がある。そうやって相互のインタラクションが活発なんだけど、日本ではそういうのが少ない気がする。もえはちゃんが大学でソーシャルマーケティングを勉強してるからこそ、どうやってこういう仕掛け作りをしていけばいいと思う?
もえは: 日本でも基準を作ったり取り組んでいる企業はあるんだけど、なかなか浸透しない国民性なんだよね、日本って。
かれん: どうしてなんだろう?
もえは: ヨーロッパの人たちは社会がこうしてるからじゃなくて、自分が良いと思ったことや、宗教的な価値観も含めて、良いとされることに従う傾向が強いみたい。日本では、現状を変えたくないという気持ちが強くて、例えば表示をつけるとなってもいくらコストがかかるのかとか目先の利益や損失だけで判断しがちなんだよね。
かれん: 厚生労働省が出してたレポートで、食品衛生に関して日本でもグローバルスタンダードの指標を使ってるんだけど、それがどれくらい飲食店に浸透してるかという調査があって。ネガティブな意見の1位が「コストがかかるし面倒くさい」だったんだよね。
もえは:そうそう。日本では、国の指示に必ずしも従わないし、コストのことばかり気にしてしまうから、なかなか進まない部分もあるんだろうね。こういうのって時間とお金をかけないと定着しないだろうし、すぐに諦めてしまうことも多いと思うから。
かれん: ヨーロッパの人たちって、自分がいいと思ったことをやるだけで他人に左右されない、っていうのがすごいなと思うんだよね。他の人がチキンを食べてても、「私はベジタリアンだから」って普通に自分の信念を貫く。それが本当に素敵だと思う。
もえは: その強さってすごいいいなって思う。
かれん: バレエの公演に置き換えてみよう。日本ではヨーロッパのバレエ団だからっていうだけで、人が集まるよね。日本だとすでに評価されているものを、他の場所から持ってきて、ブランディングされたものとして広める方が、もしかしたら効率的なんじゃないかなって思うんだよね。
もえは: 確かにそれは間違いない。
かれん: 例えば、去年か一昨年だったかな、ウクライナのバレエ団が日本に来て公演してたけど、「ウクライナのバレエ団です」ってだけで、すごい集客できてたんだよね。
もえは: うんうん
かれん: バレエダンサーの周りでサポートしてる人たちも、テレビ局の人とかが関わっていたりして、テレビ局の人が海外の団体を誘致していたり、出版社が海外公演のサポートをしていたりするんだよね。でも、海外の人からすると、日本で公演するのは出稼ぎみたいなイメージに近いらしい。
もえは: なるほどね
かれん: 海外だと、チケットが売れるかどうかは本当にその時のパフォーマンス次第だから、観客の応援がなければチケットも売れなくてパフォーマンスそのものへのモチベーションが高くなる。でも、日本だとブランディングだけで、パフォーマンスする前からチケットが売れちゃうから、逆にモチベーションが低くなりやすいという話をダンサーの人に聞いたことがある。
もえは: え〜!そうなんだ
かれん: 関係者の人たちの中では、「今日はあの子手を抜いてるね」って話してたりするらしくて。例えば、ウクライナでは絶対に手を抜かない踊り方なのに、日本だと手を抜いてるように見えるっていうのを聞いて、やっぱり日本の現状だとそうなっちゃうんだなって思う。
もえは: 確かに、それは怖いね。日本の企業も「ナンバーワン」や「トップワン」になることをブランディングの目標にしてるから、特定の分野で名が知られていれば、それだけで人が集まる。中身がどうであれ、業界内でその名前が有名ならそれでOKってなっちゃう。それって危ないよね。
かれん: 危ないし、質も上がらなくなってくるよね。
もえは: だから、日本が今経済停滞しているのも、そういう要素が絡んでるんだろうね。