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裸族!?

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4年前、神奈川県、多摩川

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河原でBBQをしようと企画した友達とマンションの下で落ち合って、BBQできる場所を下見しようという事になった。

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朝方の多摩川沿いはランニングをするスパッツ族や犬の散歩をする人達が休日の始まりをさわやかに迎えていた。

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「そうそう、この前犬の散歩中に良さそうな場所みつけたんだよ。人もあんまり来なさそうだし」

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「じゃあ、そこに行ってみよう」

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そんな訳で竹藪の小道を掻き分けて進んでいった。

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「この道じゃ、ちょっと荷物運ぶの大変かもね」

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と友達。確かにそうだね、ちょっとこの坂と尖ってる竹が危ないかもね。でも、ここなら車を使わないでも運べるよ。

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なんて実況見分しながら生い茂る竹藪を掻き分けて進んでいった。

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「ほらほら、あそこが川のすぐそばで、平らになっているよ。この前犬の散歩で通った時は誰かが焚き火をした跡も残っていたし」

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あれ、おかしいな。煙があがってる。あ、すでに先客がいる。

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あれは、、、

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キャスケットを被ったおじさんが、、、

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焚き火の前で新聞を読んでいる、、、。

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全裸で。

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真っ裸で!!

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何故だー!!何故キャスケットを被っているのにそれ意外は真っ裸なんだー!!しかも椅子に座って足を組みながら新聞を読む姿はまるで紳士の休日。

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引き返す訳にもいかないので、ぼくと友達はそろりそろりと進んでいった。

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全裸紳士は

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「私は一切間違った事をしていない」というヌーディスト結界を張りながら、毅然とした立ち振る舞いで相変わらず新聞を読んでいる。

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「なんか、ここではBBQ出来なさそうだね」

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「そうだね。紳士然としてるとはいえ全裸のおじさんの横でBBQはしたくないね」

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と別の場所を探すことになった。

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他の場所を探している最中、友達が溜まりかねたように

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「おかしいよ!なんでオレらが遠慮して小声にならなきゃいけないんだよ。どう考えてもおかしいのは全裸の方なのに」

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と怒りだした。でもね、りゅうじ君。朝方の竹藪の先にね、キャスケットを被った全裸の男がいたらね、そりゃ、こっちは小声にもなるよ。

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それにしても、キャスケットを被るだけで全裸でさえも紳士風に見せるなんて「帽子」ってファッションの中ですごい重要な部分なんだな、と改めて「帽子」の威力を垣間見ました。

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只野 漠
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