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秋の気配と文庫の紐と…  413

30度の表示を見て「まだ涼しいな」なんて言いだしたり、ちょっと風が吹いてきただけで「これこれ、こういうのサイコー」なんて喜んだり。
夏も極まると、もはやこちらのモノサシも寛大になってきたのか壊れてきたのか、グダグダと幸せのマーブル度がすごい。

こんな暑さ真っ只中のように感じるタイミングで毎年「立秋」がやってくる。
「暑中見舞い」から「残暑見舞い」へ、誰かが決めたルールではあれど、わたしはこういうのがちょっと好きだ。


目に見えているものからすると「ちょっと先取り」いや、ずいぶん先取りな気もするけれど、実は空も風もギアチェンジをするのはこのタイミングじゃないかと思っていたりする。

空の雲は秋の顔になってくるし…って、入道雲ももちろんご健在だけど。
風も出てきやすくなる気がしているというか、夕方の凪を超えた時間に出てくる風が冷たくなってくる気がしている。

この辺の海じゃ、お盆を過ぎたらクラゲが増えるから、もう海には入らない方がいいなんてわたしが子供の頃にはよく言われていたし、泳いでいたら本当にこのタイミングでクラゲがわんさか増えていたと記憶している。
でも、この間7月の中旬頃に桟橋から海を覗いた時には絵に描いたような白いクラゲがわんさかいて驚いた。

絵日記にもってこいのザ・クラゲな姿だったけれど、残念ながら今年のわたしには絵日記の宿題は出されていない…。


数日前から読み始めた文庫本の小説も、この暑さの中で読んでいると本当に「いつかの夏」がフラッシュバックしてくるようで、物語の世界とも混ざり合ってなんとも不思議な体感が突然やってきたりする。

懐かしい文庫本の紙質、端の方がちょっとさばけている栞紐…

って、みんなこの紐の名前知ってる?
このヒモの栞のことを「スピン」って呼ぶらしく、その呼び方は日本独自ってことも驚きだったのだけど、なんとこのスピン、新潮文庫にしか付いてないということも本当に遅ればせながらこの夏に知ったのだった。
こんなの自由研究のネタにできそうじゃないの!なんて、そんな宿題出なくなってから色々知りたくなっちゃうこの不思議よ…。


そういえばドラマ「すいか」の中で、ハピネス三茶の大家さんであるゆかちゃんは文庫の「半七捕物帳」にハマってたっけ。
文庫本をちょっと丸めてエプロンのポッケに入れて、庭の掃除をしながら思いついたら取り出してチョコっと読む。

…エプロンのポッケに文庫を丸めて入れてまでちょこちょこ読みをするアイデアが自分になかったことをその時に知ったのだけど、そんな技があると知ったからといって物語と現実世界の切り替えがゆっくりのわたしにはちょっとハードルの高い技のように思えて、真似しようということには至っていない。

でも、どんなシチュエーションで読んでもいいんだから、ゆかちゃんみたいにもっと自由なタイミングで、もっと身近なところで読む「読み方」を探してもいいってことだな…と久しぶりの文庫本を手にちょっと周りを見渡してみたりしている。



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