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青菜の「いし」を超えてゆけ 531
昼間はちょっと暖かい時間が増えているここ数日。
今年はしっかりした紅葉が見れないかと思っていたけれど、なんだか島の山々も
「はい、始めますよー」みたいな感じで紅葉してきたので「あ、今年はやるの?」みたいな感じで眺めている。
山間地の見事な紅葉にはもちろん及ばないのだけれど、それでも「秋の紅葉」って言いながら冬を連れてくるこのイベントは目を喜ばせてくれてうれしい。
冬を連れてくるというか、冬になったら出てくるのが…グラタン。
あ、今は一年中か…。
でも、グラコロイベントをはじめ、クリームもののグラタンにグンとスポットライトが当たるこの時期。
みんな気づいてるかな…そこにはほうれん草の存在があることを…。
レシピなんかだと、ホワイトグラタンにはよくほうれん草が入ってるんだよ…。
別にほうれん草が苦手ってワケじゃない。
どっちかというと好きな野菜だし、運よく「結石に気をつけないといけないから…」みたいな控える理由もない。
「おひたし」なんて言って、誰かがたっぷりのほうれん草を出してくれようものなら、それはもう喜んでモリモリいただきます、はい。
モリモリいただくんだけどね…
自分でその青菜を茹でるとなるとね…
途端に体にも心にもずっしり重りがついたように鈍ーーくなるんだよね、これが。何もこれはほうれん草に限らず、小松菜でも水菜でも青菜全般に対してわたしの反応がそうだという話で。
なんでそうなるのかっていうと…「石」なんだよね、石。
あのゴロッとした石、小さいけど固い石。
茹でたからって柔らかくならない石。
根っこの方を口に入れたら時々、いや結構な確率で「ガリッ」と頭蓋骨に響く音を響かせる、あの石。
あの「ガリっ」を避けるべく、目を皿のようにして(?)真剣に、そして丹念に水洗いをしたつもりでも…なぜだかどうして「ガリっ」といったりする、あの石。
自分が料理した時に自分に当たったら、人のところに入らなかっただけよかったってなものだけど…えぇ、わたし個人としては急激にテンションが下がるんですよ。
しかも自業自得だし…というか、別に歯が欠けたりしたわけでもないけど、なんていうか…言葉にしづらい、誰のせいでもないから「んもー!」なんて当たる場所もない、なんとも言えない状態。
そのことが頭に浮かぶと「…ちょっとやめとこか」なんて、スーパーなんかでもついつい「また次回」なんてスルーしてしまうのだけど。
ところが、そういうものに限って体に必要だったりするから不思議なもので。
アーユルヴェーダのお話の中で「苦いもの」は浄化・排毒に必要だと聞いたことがあって頭に残っていたのだけど、そこから桉田優子さんが著書の中でお母さんの病気治しの際の食事として「青菜とキクラゲの常食」について書かれていたことも思い出した。
そうだ、「苦い」って言われると、すぐゴーヤを思い出し「ごめんなさい、無理です」と言ってしまうのだけど…「苦い」にも色々あるはず。
アーユルヴェーダのインド人医師が日本にいらした時に「日本で苦いものを探すのはとても難しい。日本人はどうしているんだ?」みたいな話になるらしく、最近スーパーでコリアンダーが気軽に買えるようになって滞在中みなさんとても助かっているらしいみたいな話を聞いた。
苦味に属する食材を見ていると、緑茶やレタスなんて身近なものもあってホッとするんだけど、なんと!どうやら青菜もそこに入るらしい。
確かに、ここ数日体が重くて「なんだかなぁ…」みたいな時に、小松菜のおひたしを口に入れたら…苦い…そう、苦味があることがちゃんとキャッチできて「なるほど…」と納得してしまった。
しかも、おひたしが一品あるだけで、スッとこもった熱が抜けるというか、口が落ち着くというか…何にせよ、わたしにはどうやら必要らしいということがよく分かったのだった。
日本で苦いものといえば「春のもの」という印象だけれど、この冬は意識して青菜をいただくようにしようかなーと思えた12月の初めだった。
勝手な思い込みだけど、ほうれん草よりは小松菜の方が石が少ないような気もしているんだけど…でも、ほうれん草は甘くておいしいんだよね…なんて、わたしの中の「やりたくない虫」がグズグズ言っているけれど、それは聞かないフリをして…。