グレーな日に「ランド」を始める 525
朝、予報通りの雨が降り始めたと思ったらすぐ止んで青空も見え始めた。
外の空気は止まっている、というか雨降り前の空気(温度・湿度)のままなので室内にいる方が寒く感じる。
そんな青空もお昼前から本格的な雨降りのグレーな空に変わった。
グレーと言えば…
最近「キレイなグレーだなー…」とうっとりした色がある。
大河ドラマ「光る君へ」で喪に服した女性がまとっている着物、そのグレーが本当に美しくて、その場所だけシンとした空気になるような、そんな色をうっとりして眺めるのだけど…不謹慎かもしれない。
あのグレーにはきっと名前があるんだろうなぁ…色の名前もキレイな名前多いよなぁ…なんて、考え出すとキリがない。
そんな日に「…どうかなぁ」なんてちょっと及び腰になりながら「ランド」を読み始めた。
そう、山下和美さんの漫画「ランド」。
手塚治虫文化賞も受賞していて、とにかく面白いと聞いていた「ランド」。
わたしの中で山下和美さんといえば、オンタイムで読んだ「スカイブルーへようこそ」と、ドラマで知った「天才柳沢教授の生活」だった。
「スカイブルーへようこそ」は新築の「青空マンション」に越してきた小学生の男女のお話だったのだけど、印象に残っているのはなぜだか生理の話で。
ちょうど生理が始まる年齢だった主人公の女の子の洗濯物を見つけた、双子だったか定かじゃないお兄ちゃんが「血のついた洗濯物がー!」みたいにオロオロするという場面。
恋愛や笑いで溢れる話がたくさん並ぶ少女漫画の中で、そんな流れに慣れきって油断をしていたわたしに「あぁそうか、男子はビックリするものなのか…」とか「色々ちゃんとしないとな…」とか、でもそういう事がこういう感じで周りに知られていくことのなんともいえない「違和感」や「仕方なさ」みたいなものを飲み込みたくないけど飲み込まざるおえない感じとか…ひとつの「うず」を起こしていった作品だった。
って、そんな風にしか覚えてないわたしもわたしで「山下さんごめんなさいね…」というしかないのだけど。
ちなみに、原作の漫画は読んでいないけど楽しみに見ていた「天才柳沢教授の生活」が予定より早く打ち切られたドラマに「このドラマを分からないとはっ!」と憤慨していたことも覚えている。
そう、話は「ランド」に戻って。
「いつか読みたいね」と話していた漫画ではあったのだけど、そのまま時間は流れていたら…旦那さんがメルカリで全巻手に入れてくれて我が家にやってきた。
表紙の絵を見た第一印象は「あ…ちょっと無理かも」だった。
雰囲気としては「蟲師」や「鬼滅の刃」辺りの和風味を感じるもので、「蟲師」なんかは好きな方だったけど…
なんというか…おどろおどろしさがありそうで、こっちがヒョロヒョロしたメンタルだとガッツリ自分の中に入ってきそうで、それに翻弄されそうでちょっと構えてしまった。
ムー民のくせに…。
そんな及び腰で読み始めた「ランド」は…
今一巻を読み終え、二巻目に突入したところ。
「地球における南極のことも含まれてるのかしらん…」なんてムー民らしく妄想を膨らませながら、「人間が群れになるとほんとロクなことがないな…」なんて改めてゲソッとしている。
でも…おもしろい。
全11巻…この印象がどんな風に変わっていくのか、自分のその時々の印象もチェックしながら読んでみようと思っている。
…って、読書感想文嫌いだったのに、こういうことするようになるもんなんだなぁ…大人になるって、不思議なもんだ。