「下草愛」あふれる水やりの時間 414
↑こんな素敵な姿では決してないけれど…この季節の夕方の水やりが好きだ。
朝の水やりもいいけれどまだ明るさが残る夕暮れ時、昼間の太陽でからっからになった土に水をかけるとシュワシュワいいながらぐんぐん吸い込んでいく。
水を含んだ土の匂いが立ち上り、グランドやアスファルトにまいた時とはまた違う植物込みの匂いに「そうそう、これこれ」なんて思いながら、こちらも涼しさのおすそ分けをもらう。
もちろん主たる目的は鉢植えの植物のみなさんにしっかりお水を飲んでもらうことなのだけど、わたしの注目はこの季節、下草のみなさんへ注がれている。
アジョガ、グレコマ、リシマキア。
庭の下草BIG3なのだけど、それぞれ真夏の姿には勝手に思い入れを持っている。
どの子ももう何年ものお付き合いになるのだけれど、ここ数年の過酷な夏を共に切り抜けたモノ同士、こちらが勝手に「さぁ、今年も一緒に生き抜こう!」と心を寄せているだけで、あちらはどう思っているのか知らないけれど。
アジョガは冬には葉の紫味がアップするものの、やっぱり閑散とした風景というかボリュームになるので、春先から青紫の花がつき始めると「ようこそカムバックっ!」とうれしくなる。
その花も終わり、葉っぱがわっさわさに繁ると夏到来!
その緑のグランドカバーに人間はどれだけ救われているか…。
そのわっさわさの葉っぱが、昼間のギラギラ太陽を受け夕方になると…ペラッペラのしんなり、くたっと茹でられたかのようなボリュームダウンをおこす。
そこに夕方の水やりをすると…こちらの勝手な解釈だけれど、めちゃくちゃうれしそうに葉っぱが鮮やかにツヤツヤに、そしてパリッとしてくる。
太陽の光で白飛びしていたような姿がちゃんと本来の色を取り戻してあおあおとしている顔を見ると「いいね、いいねー」なんて安っぽいカメラマンみたいなことを口走ってしまう。
グレコマはツル性なので、基本どんどん横に広がっていくのだけど、春夏は特に上へのボリュームが出やすくてモッコモコになるのがまたかわいい。
香りもとてもよくて、ハーブとしての使い道もしっかりあるらしいのだけど、うちではもっぱらグランドカバーを担当してもらっている。
そんなグレコマも、真夏の太陽にはさすがに手を焼くらしく、日当たりのきつい場所の葉は茶色くカリカリになったり、ボリュームダウンして葉と葉の間のツルや地面が見えるようになったりしている。
そんなところを見つけると、それは重点的に水やりをしたくなる性分で…。
「ここ、ここな。太陽容赦ないけど盛り返して行こー!おー!」なんて勝手に鼓舞しながらジャバジャバと水をかけている。
そんな声に応えてか、数日すると持ち直す…を繰り返しながら長年一緒に暮らしている。
そして、リシマキア。
丸い黄緑の葉っぱが連なるかわいい下草なのだけど、この葉っぱが柔らかくてまんまるで本当にかわいい。
春ごろからツヤツヤになってくると、必ずさわりたくなる冷たさと柔らかさがサイコーの子。
この子も日照りに弱く、せっかく広がった葉っぱもあっという間に茶色くチリチリになってしまうので、これでもか!というほどの水やりをするようにしている。
溺れるよりも上手く葉の水分に回してくれている印象で、こちらも助かっているのだけど。
そして、どの下草も水やりが終わる頃には温度が下がり、少し風が生まれるように感じている。
今日もその風を感じながら「そうか…風は火が生むと思っていたけれど、水でも生まれるものなのか…」なんて真剣に適当なことを考えていた。
適当な声かけに適当な思い、適当な寄り添いに適当な水量…
ずいぶんと適当な人間と長年付き合ってくれている植物たち、そんなメンバーで過ごす夕方の庭での時間は、やっぱりなんといっても至福の時間なのだ。
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