日本語・解説を知った方がより楽しめる・ジブリ映画「風立ちぬ」(The Wind Rises)
英語力ゼロで始めたカナダカナダ生活10年目のWakeiです。
今回はジブリの宮崎駿監督が最後に作った「風立ちぬ」をネットフリックスで観た鑑賞メモです。※ 表紙画像はアニカンさんのサイトからお借りしました。もうテレビの放映は終了してます。
ジブリ映画は日本語で観る方がいい
ジブリ映画もカナダのネットフリックスで観れるようになりました。
今回の「風立ちぬ」も私も初めは英語バージョンで見始めたんですが、言っていることの内容やニュアンスがやはり、英語と日本語で違うことに気づき、日本語に戻して観ました。
例えば、初っ端からですが、英語吹き替えだと、妹のキヨが兄の次郎を呼ぶときに「Jiro」と呼び捨て。日本語だと「にい兄さま」。「にい兄さま」だと兄弟間でも兄を立てる兄妹関係・育ちの良さと言った文化背景がわかります。呼び捨ての「Jiro(次郎)」では、こうした背景を感じません。
しかもこの吹き替えは、字幕の英語とも違います。字幕の英語は「Big brother」。つまり、こんな感じ。↓
オリジナル日本語「にい兄さま」、英語字幕「Big brother」英語吹き替え「Jiro」。オリジナル言語、字幕、吹き替えのどれも違うのです。
英語で聴くとジブリ映画の美味しさが十分伝わらなくなるのです。同じことは、外国映画を日本語吹き替えで観たときにも起こっているでしょうね。
英語の勉強用として「英語吹き替えで聴いて、日本語字幕を見る」という方法もありますが、じっくりジブリ映画に入り込んで楽しむことを優先するのであれば、やはり日本語で観るのがおススメです。
解説を知るとより楽しめるジブリ映画
私はこの「風立ちぬ」を観る前にYoutuber 岡田斗司夫の解説動画(無料版)を観てから観ました。
私の場合、ゼロ戦設計者の「堀越二郎」やジブリ映画について、あまりにも予備知識がなかったので、解説を先に観ることで、より楽しめたと思います。
私も何本かはジブリ映画を観ていますが、今まで観てきたジブリ映画は面白いんだけど、最後がスッキリしない・意図がよくわからない、という不満がありました。この「風立ちぬ」も多分、事前に解説を観てなかったら同じ感覚だったかもしれません。
今まで気にしてこなかったんですが、ジブリ映画って実は細かいところにこだわりがあり過ぎるんです。書籍だったら、描写をじっくり読むことで、気づいたり、考えたり、想像する余裕が、個人のペースであるんですが、ジブリ映画の場合、一瞬のシーンに込められているので、わかる人にはわかるけど、気づかない、意味が分からない人には、全くスルーされる情報がたくさんあります。
絵もキレイだし、ストーリーも面白いし、多くの人が娯楽として観て十分楽しめる映画にはなってますが、解説を観ると「えっつ!そんな意図や工夫があったのかぁ」と驚きます。
例えば、二郎が日本軍の責任者との会議に参加するシーンがあるんですが、「この時の軍関係者が話している言葉は、日本語を話しているように聞こえて、実は言葉になっていない」んです。って普通わかりますか?
きっと観客は勝手に聞き取りにくい日本語だなぁ、ぐらいで私のようにスルーするでしょう。ところが、これは「二郎は自分にとって意味がないと思った話は聞いていない」という二郎目線の感覚を日本語に実はなっていないことで表しているとか。こだわりがエゲツナイ!
そんなこだわりのオンパレードです。
絵が無茶苦茶キレイ
言うまでもありませんが、本当に絵がキレイです。ああ、そんな光だ、とか情景を思い浮かべることができるし、動作にしても本当にそんな背中の雰囲気だ、とか思います。これは是非、実際に観て欲しい!
「風立ちぬ」おススメ
本編アニメでは時系列も飛んだり、その間の説明も省略されているので、歴史的背景や「堀越二郎」について予備知識なして観たら、結構わかりにくいです。
映画は、実在の「堀越二郎」をモデルにしていますが、フィクションとノンフィクションを織り交ぜて作られているので、歴史アニメ・伝記アニメでもありません。飛行機を愛する仲間として、宮崎駿監督も共感する熱い思いが伝わってくる映画でした。
おススメです。