〜7歳までに育つ4つの感覚 その3『運動感覚』Vo.1
前回の『生命感覚』に続き、子どもが豊かな心と体を持ち成長するため
に大切な『4つの感覚』の残りの2つ、『運動感覚』と『平衡感覚』
について、山西先生の幼児シュタイナー教育のプロとしての豊かな
ご経験をもとにお話いただきました。
教育のプロとしてだけではなく、子ども達を温かく見守る一人の教員としてのご経験や豊富な知識は、現在子育て中のお母さんやお父さんにもとても共感するお話が盛りだくさんでした。
『子どもには自分で育つ力があるんです』
力強く語られる先生の言葉には、何十年もの教育の現場で子ども達を見守っていらっしゃった先生のさまざまな想いが込められているような気がしました。
山西先生のお話の後には、4つの下位感覚を育てるためにご家庭でできることについて、皆で意見を出し合いました。
では、早速始めましょう。
運動感覚は、『筋肉を動かす感覚』と言い換えることができ、『空間に自分がどのように存在しているかを認識できる感覚』であるとも言えるでしょう。
具体的な動きとしては、次の4つです。
●可動性に関わる動き
●同調性に関わる動き
●器用な動き
●自分を表現するような動き
具体的に、どのような動きがあるのかをみてみましょう。
シュタイナー教育を実施する幼稚園によっては、3歳で針、年中になるとノコギリを使わせることもありますが、決して強制ではなく、先生がやっているのをみて『やりたい』という子どもがチャレンジします。
3歳では、何かを作るという目的が明確にあるわけではなく、ただその『針を刺していく』、ノコギリで切るという行為自体が楽しいのです。
これらの動きを取り入れるときには、子どもに『達成感』を味あわせてあげることが大切です。
細い棒をノコギリで切ってみる、小さいにんじんを包丁で切ってみるなど、子どもに合わせて素材を選び、体験させてあげましょう。
また、表現する動きの先にあるのは『自由』です。
自分を表現することで、広がりを感じ、人間にとって最も大切な『自由』を感じる力へとつながっていくのです。
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どれも特別な運動ではなく、ごく当たり前の『日常生活』の中にある動きですよね。
改めて何か運動させる必要は全くありません。この『日常的なささやかな動き』がとても大切なのです。
日常的な動きを、何度も繰り返し行うことで、運動感覚を養っていくことになるのです。
周りのお友達が動き回って遊んでいる中で、端っこの方でぽつんとお友達が遊んでいるのを見ているお子さんも、この日常的な運動感覚を養っていくことで、自由に、自発的に動けるようになっていきます。
(もちろん、動かずに見ている方が本人にとって心地が良い状態であれば、無理に混ざって遊ぶ必要はないのですが、子どもは本来の質として、自由に動き回っていたいという想いを何かしら持っているものなので、それを引き出せる環境を周りの大人が整えてあげることは大切です)
これらの動きを、日常生活の中で繰り返し行なっていくことで、『運動感覚』が養われ、やがて上位の『言語感覚』へとつながって行きます。意外に思われるかも知れませんが、『話す』ということは、高度な『運動』なのですね。
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