一年を綴った広報記-2024年編-
和歌山ウェイブス新体制が発表された2023年11月。
激動の一年が幕を開けた。
同年優勝を果たした和歌山ウェイブスは、当時選手として在籍していた西河が現役引退を発表。
その後間もなく球団代表へ就任することをリリースした。
長年在籍していたこともあり、地元スポンサーや地域住民からの信頼も厚い。
これまで外部の人間がたびたび就いた“球団代表”の座に、西河は右も左もわからないまま座ることとなる。
もちろん周りの支えなしには歩き出せなかった。
そのため新たな世界で戦うことを決意した彼にはたくさんの人が寄ってきた。
変革を起こした運営会社に新規スポンサー企業の皆様。
圧倒的に巻き込む人の数が増え、ようやく“地元に愛される球団”への一歩が進み始めたように思えた。
そしてこのタイミングで首脳陣の総入れ替え発表。
監督には元阪神タイガースの西村憲。
野手コーチには元和歌山ファイティングバーズの一員として地元を盛り上げた、松本聡・藤原楓の二人が就任した。
「若手の力+外部の風」
これまでの球団史を覆し、節目のピリオドとなる予感をも思わせた。
…しかし。
蒔いた種の芽が出るまでには苦味と辛味の日々が続いた。
プレーヤーとして名を馳せた西村も自身初となる監督業。
コーチ二人も選手の立場でしかグランドへ立ったことがないため、こちらもいわゆる未経験。
西河代表と同じくみんながみんな一年生だった。
2月のキャンプインから様々なアイデアや意見を導入。
しかし積み上げられた常識を壊すには、想像以上の時間を要した。
お互いの意見が理解し合えない。
人目を気にして自分と向き合えない。
やるべきことが定かでない。
決してプラスではない言葉や感情が球団内で飛び交うことに。
案の定お互いが探りを入れ合う状態でOP戦が始まった。
戦力すらもままならない中始まった対外試合。
大敗することも少なくなかった。
ストライクが入らず四死球連発。
慣れないポジションによる失策の繰り返し。
チャンスを掴みきれない打撃陣。
挙げ句の果てには怪我人続出により試合決行が困難に。
当初予定されていた10試合のうち、消化した試合は6試合だった(1試合は雨天中止)。
最悪の状況が想定される中、開幕戦を迎えることに。
正捕手森(悠)の不在によりマスクを被ったのは捕手経験の浅い馬場。
平野-馬場のバッテリーで始まった兵庫ブレイバーズとの開幕戦は幸先よく先制した。
それまでの不安はすぐさま払拭。
…したかのように思えたが後半につれ、もつれ始める展開に。
シーソーゲームとなったこのゲームでは、最後の追い上げが惜しくも叶わず6-4で逆転負けを喫することとなってしまった。
一週明けて迎えた開幕2戦目。
初勝利を期待された次戦では、地元田辺へ帰っての花火ナイターが催された。
100人を超える観客が足を運んだ田辺スポーツパークでは、多くの人が今年初観戦となっただろう。
地元の人に見守られながら先発のマウンドに立ったのは森宗一郎。
初回こそ制球に苦しんだものの、この日6回2失点と先発投手としては十分な内容。
自身公式戦初の先発マウンドを華々しく飾るのであった。
打線も許した先制点はすぐさま返上。
痺れる試合が予想されたが、それ以降快音が響くことは叶わずこの日も3-1で惜敗した。
新生ウェイブスが待望の初勝利を迎えたのは開幕から数えて4戦目のこと。
奇しくも紀三井寺球場でのナイターゲームだった。
和歌山ウェイブス史に残る一つの変革として、ホーム地の拡大が挙げられる。
それ以前は田辺市・上富田町を中心とした紀南地方を拠点に活動。
しかし想像以上の集客難や経営難により、活動範囲を県内全域に拡大した。
(具体的には紀三井寺球場でのホームゲーム開催増加)
その想いへの周りの理解と協力を募るべく、2月にはクラウドファンディングにも挑戦。
支援は合計58人の方からいただくことになったが、“支援”という形に残るものだけでなく、拡散や提供による協力者の数を合わせると優に100人は超えている。
この場をお借りして感謝申し上げたい。
そんな背景を踏まえると、2024シーズンの初勝利が紀三井寺球場で良かったのかもしれない。
これから予想される大熱戦への前祝い。
記念すべきプレゼントを和歌山県から、そしてファンの皆様からいただく形となったのだろう。
しかも相手は“淡路島ウォリアーズ”。
当時在籍していた生島大輔監督兼選手は和歌山ファイティングバーズおよび和歌山ウェイブスにおける大功労者。
昨年までお世話になった選手からしても返せた恩は計り知れない。
追いかけてきた背中を追い越していき、新たな時代への小さな一歩が踏み出された歴史的瞬間だった。
この日のウイニングボールはその日の夜、株式会社BenK(運営会社)社長の元へと届けられた。
選手から監督へ。
監督から社長へ。
文字通りみんなにとっての初勝利。
選手・監督の粋な計らいと心意気を読者のみんなにも共有したい。
その後、延長戦を制した大阪ゼロロクブルズとの試合で今季2勝目を飾ったウェイブス。
続いての姫路イーグレッターズ戦では7回コールド勝ちを見せ、今季初の連勝を記録した。
幸先よく始まった5月のゲーム。
しかし上向きの鼻はすぐさまへし折られることとなる。
GWでのホームゲーム。
その前試合でコールド勝ちしていた姫路との2連戦目は4-7で痛恨の敗北。
ここから投打の歯車がズレ始めたのか、引き分けを挟んで6連敗を喫することに。
打たれることも抑えられることも多かった苦しい時期。
守備の乱れで自ら点を与えることも少なくなかった。
途中岡村雄斗という異色の経歴を持つ男が加入したことで新たな風が吹き始めたものの、試合の結果を動かすまでには時間がかかった。
結果が出ないと焦りや苛つきが生まれるもの。
開幕前を漂わせるマイナスな雰囲気がチームを包んだ瞬間もあっただろう。
前半戦(6月)を終え残した成績は8勝18敗1分。
満足している者は誰一人としていなかった。
もう一度自分と向き合う時間を確保する。
これから迎える夏場に向け、トレーニングの意識と量を強化した。
この辺は大人気シリーズ“試合後の監督室”で再三西村監督が言葉にしているのでこちらも合わせてご覧いただきたい。
年に一度串本町で開かれるホームゲーム。
野球教室を待ち望んだ子どもたちの期待に反し、展開は大きく切り離されていった。
普段は1番中堅で出場することが多い小川だが、この日は遊撃手として先発出場。
しかも9回にはマウンドに上がる姿も。
誰が予想しただろうこの展開。
一体どんな投球を繰り広げるのか、心が躍ったのは私だけではないはずだ。
様々な意見を受け入れて、それでも西村軸をブラさなかった監督像は徐々にチームに浸透するようになっていく。
その結果、8月に入った途端ウェイブス野球が確立されていく。
8月6日の姫路戦にコールド勝利したウェイブスは、この日に限りヒーローインタビューに加えて監督インタビューも行った。
その時選手がとった実際の行動がこちら↓↓↓
埋まりつつあった監督-選手の溝が決定的になくなった瞬間だった。
ここから初の三連勝を遂げたウェイブスは、時を同じくして新企画が始まることに。
それが先述した“試合後の監督室”だ。
開幕前より西村監督が思い描いていた“ファンを増やす”ための取り組み。
その一つがこの企画である。
シーズン残すところもあと2ヶ月。
そんな時期に始めたこの企画は周りの反響とチームの雰囲気を波に乗せた。
西村イズムの全てを理解するのは苦労する。
なぜならそれだけ彼の野球と向き合う時間が長いから。
そんな彼の想いと意図をを少しでも理解しようと努力してきた選手は、この動画をさらなる教材へと活用する。
その結果は自ずと良い方向へと向かい出す。
勝った試合とその日の監督室(動画)はファンにとっても2度美味しい。
まさに正のサイクルが生まれていた。
進むべき道、やるべきことが見つかった選手は自分と向き合う時間が長くなる。
周りの目を気にせず、正解だと確信した道をひたすらに進む。
2024シーズンの後半戦。
前半、特に開幕当初と比べるととんでもない成長を見せてくれた。
いきいきとグランドで躍動する姿。
周りに対する声の質。
結果は出なくとも目の前の事象に取り組む姿勢。
本当にたくましく誇らしいミカン戦士たちへと変貌していた。
8月の成績は3勝1敗。
その勢いをそのままに、9月に入ってすぐの試合でも2連勝を飾ることとなる。
彼ら選手の成長はリーグ内では収まらない。
9月11日に行われた中日ドラゴンズ二軍との交流戦。
ウェイブスから選ばれた3名の選手(堅木・小川・唐澤)がそれぞれ武器を生かした活躍を見せる。
特に堅木は自身初のリーグ選抜に招集され、途中出場ながらも長打を放ち得点へと結びつけた。
本当に自慢できる結果だ。
リーグ順位こそ芳しくはないが、こと個人にフォーカスしてみると他球団の主力と遜色ない力をつけている証拠だろう。
=彼ら以上の成長を今シーズンの間で遂げたことになる。
自分と向き合いやるべきことを継続する。
社会に通用する人材育成がこのグランドではなされていた。
今季最終戦となった堺とのホーム試合。
130人の観客に見守られながら進んだ試合は1-3で惜しくも敗北。
結局今シーズン堺相手に0勝10敗を記録した。
それでも私は彼らのことを誇りに思う。
凄まじい成長を間近で味合わせてくれた。
もっと彼らの試合を見ていたいと思わせてくれた。
何よりファンの心を動かした。
最終順位はリーグ4位。
個人としては唐澤がセーブ王のタイトル獲得。
彼の取り組みもまた、観ているものを応援させてくなる。
しかし全力で駆け回ったシーズンだからこそ、結果以上に得たものは大きかったのではないだろうか。
それぞれの道へと巣立っていく選手も多い中、“監督のもとで野球がしたい”と声を上げ、残留を表明する選手が相次いだ。
みんな西村イズムに魅了されている。
野球選手の去就が気になる10月。
全野球人が目標とするドラフト会議が始まった。
ウェイブスからは昨年に続き小川が指名対象選手に選ばれている。
ホテルの一室を借り、多くの選手・関係者に見守られながら淡々と他の選手が呼ばれていく。
緊張と不安に包まれた会場の雰囲気は想像に難くない。
今か今かと指名を待つ中、次第にドラフト会議は幕を閉じた。
2年連続の指名漏れ。
成績こそ昨年の方が印象強かったものの、確かな手応えを感じていた今シーズン。
周りが想像している以上に悔しいものがあるはずだ。
それでも後輩たちに残した影響は大きい。
普段のグランドで見せる姿勢。
野球に対する考え方。
極め付けは指名待ちできるあの立場。
全てにおいて超えるべき基準。
それを引き上げてくれた彼の功績はとてつもなく大きい。
11月に入り始まった秋季キャンプ。
シーズン中にも劣らない、むしろ増している熱量には火傷の恐れありだ。
その熱量に引けを取らずYouTubeのバリエーションも増してきた。
シーズン中は監督室のみの撮影にとどまっていたものの、やはり野球の主役は選手たち。
選手個人にフォーカスした企画から、トライアウト密着、季節にちなんだ企画など、視聴者からの反響も比例するかのように増すことに。
我々球団が起こしたアクションにリアクションをくれるのが鯱軍ファン。
皆様の声は欠かさず全て受け取っています。
本当に少しづつではあるものの、紀北地域・県外地域の方にも応援(協賛)をいただくことも増加。
絶対に後悔はさせません。
そんなこんなで気づいたら年の瀬を迎えることに。
新生和歌山ウェイブスの歴史的一年が終わろうとしている。
来年からは大成長を遂げた既存の戦力に加え、新たに加わる新戦力。
この二つが化学反応を起こし、より大きな波を起こしていくこと間違いない。
“一年生だから”は通用しない。
“多めに見てやって”とも懇願できない。
しかしそんなことを言う必要がないくらい、ファンの皆様を魅了する。
こんなに楽しみで期待できる球団は他にはない。
今からでも遅くはない。
和歌山ウェイブスが起こす大きな波に、一緒に乗っかってみませんか?
きっと自慢できる球団であると思います。
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最後までご精読いただき誠にありがとうございました!
今年一年の和歌山ウェイブスを見届けてくださった皆様へお願いです。
“今年一年楽しかった!”
“来年こそは優勝しろよ!”
“NPBへ行って夢を見させてくれ!”
“もっと応援させてください!”
どんな声でも構いません。
和歌山ウェイブスの取り組み、または選手の夢をサポートしてくださる方は、ぜひともチップにてエールをくださると大変嬉しいです!
いただいたチップはより良い球団・選手育成への資金に活用させていただきます。
どうぞよろしくお願いします!
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