2024年度秋学期 The Guardian書評
9/26 The Guardian書評
Japan has just 13 female CEOs among top 1,600 companies, survey shows「9/18日本の1600社の中で女性CEOはわずか13名」
要約
2024年の調査によると、東京証券取引所の上場企業1,643社のうち、女性CEOはわずか13名、全体の0.8%に過ぎないことが判明した。これは、日本のビジネス界における女性の活躍推進の進展が依然として遅れていることを示しており、政府は2020年代末までに女性が30%の管理職を占めるという目標を掲げているものの、その達成には多くの課題がある。OECDの2022年の調査によれば、日本では管理職の15.5%が女性であり、英国(40.9%)やフランス(45.2%)と比較しても非常に低い水準であり、エコノミスト誌の調査では、日本は「ガラスの天井指数」で先進国29か国中27位にランクインしている。一方最近では、元客室乗務員の鳥取三津子氏が日本航空の初の女性社長に就任するなど、女性が重要な役職に任命される例も増えている。
総括
近年日本でも女性管理職の割合は多少増加しているように感じるが、経営者や政治といった面では依然として女性進出が進んでいないことが明らかとなった。この要因の一つとしてロールモデルの少なさが挙げられるのではないかと思う。これに関連して近年京都大学をはじめとする国立大の理系学科において受験字の女子枠を創設したことがニュースになっていた。アファーマティブアクションの問題から批判を受けることもあるが、このような女子枠の創設により構成員の多様化が図られ、女性のロールモデルが増加するというのは評価すべき点ではないだろうか。これを本記事の問題にも応用することができるのではないかとも考えた。
URL
https://www.theguardian.com/world/2024/sep/18/japan-female-ceo-reports-survey
https://www.asahi.com/thinkcampus/article-110453/
10/3 The Guardian書評
Japan’s incoming prime minister Shigeru Ishiba to call snap election – reports
9/30日本の次期首相が解散選挙を呼びかける
要約
日本の次期首相である石破茂氏は、今月末に衆議院の解散総選挙を行う見通しである。67歳の石破氏は、過去5度目の挑戦で党総裁に選出され、10月3日に首相に正式に任命される。しかし、総選挙は10月27日に実施される可能性が高く、これは通常の選挙予定より1年以上前倒しとなっている。石破氏は早期選挙を行うことで総裁選での勝利を活かしつつ、立憲民主党の新リーダー野田佳彦氏に対抗する狙いがあるとみられている。一方、総裁選で石破氏に敗れた高市早苗氏は、自民党の要職を辞退したとの報道もあり、党内の統一に向けた課題が残っている。
総括
今回の解散総選挙然り、内閣メンバー然り石破新首相は「言っていることとやっていることが違う」という国民の声をよく見かける。解散選挙に関しては当初論戦を行ってから衆議院総選挙を行うとの意向を示していたものの予定を前倒しにして行われることが決定した。これに対して野党から批判の声が上がっている。これに加え自民党総裁に決定した際その他の候補者を適切なポストに配置すると発表していたものの、内閣メンバーには候補者9名中2名しか入閣を果たしていない。このような振る舞いではまたもや支持率が下がってしまうのではないかという懸念と政権交代を狙う野党第一党党首の野田代表の動きなどに今後注目すべきだと考えられる。
URL
https://www.theguardian.com/world/2024/sep/30/japan-election-prime-minister-shigeru-ishida-ldp-party
10/10 The Guardian書評
More than 70 retailers urge Reeves to make 20% cut to business rates10/7イギリスの70以上の会社が事業税20%の削減を求める
2024年10月、英国の主要な小売企業70社以上が、財務大臣レイチェル・リーブスに対し、事業税の20%削減を求める手紙を送付しました。この手紙は、テスコやマークス&スペンサーなどが署名し、現行の不動産税が多くの店舗閉鎖の原因となる可能性を警告しています。小売業界は、税負担が過剰であり、投資を抑制し、雇用を失わせていると主張しています。リーブスに対する要望は、労働党政府の最初の予算案に向けての圧力となっていますが、政府は22億ポンドの財政赤字を抱えているため、大幅な減税は難しいとの見方もあります。小売業界は、事業税の削減が地域経済や投資の促進につながると主張していますが、現時点では具体的な改革案は示されていません
現英財務大臣であるレイチェルリーブスは初の女性財務大臣であり、日本の「失われた10年」の研究をしていたことも知られています。彼女は労働者のための成長経済を目指すとしていますが、どのような結果になるのかは不透明です。
URL
10/17 The Guardian書評
Afghan women fight to hold Taliban to account over gender apartheid 10/9アフガニスタンの女性は性別アパルトヘイトをめぐりタリバン政権と対立
アフガニスタンの女性活動家たちは、タリバン政権が行う女性への組織的抑圧を「性別アパルトヘイト」として国連に認定させる運動を展開しています。1990年代にこの概念が初めて提唱され、2021年にタリバンが再び権力を掌握した後、女性や少女の権利が厳しく制限されています。女性は学校や職場から排除され、公共の場で声を上げることも禁じられました。活動家シーマ・サマルは、この状況を犯罪とみなすべきだとし、国際刑事裁判所や国際司法裁判所でタリバンを追及する試みを行っています。データ収集プロジェクト「ビシュナウ」は、電話調査や対面インタビューで集めた証拠をもとに、性別アパルトヘイトの実態を明らかにしようとしています。2023年の調査では、67%の女性が自分たちが抑圧されていると感じており、国連にこの状況を犯罪として認定するよう求める声が高まっています。
フェミニズム運動は19世紀末から活発化し現在では多くの国で女性の権利が担保されるようになってきましたが、イスラム教やヒンドゥー教を国教とする国ではいまだに性別の格差が残っているのが現状です。しかし、これはその地域の人々が作ってきた大切な伝統文化であるということも言えます。辻上 奈美江は確かに婚姻などの問題で格差があるものの女性(特に既婚者)の自由さは日本以上の部分もあると述べています。また、彼女らを自由を制限された可哀想な人達と捉えること自体が欧米のジェンダー論の色眼鏡を通した一方的な視点であると述べられている。
URL
10/24 The Guardian書評
Millions of teenagers in Africa have undiagnosed asthma – study
10/21 アフリカで何百万人もの若者が喘息に陥っている
アフリカの急速な都市化により、何百万ものティーンエイジャーが未診断の喘息に苦しんでいることが、最新の研究で明らかとなった。『ランセット小児青年期健康』に発表されたこの研究は、マラウイ、南アフリカ、ジンバブエ、ウガンダ、ガーナ、ナイジェリアの都市部の生徒27,000人を対象に行われ、そのうち3,000人以上が喘息の症状を報告しましたものの、正式な診断を受けたのは約600人以下であった。喘息の診断を受けていない生徒の中には、重篤な症状を抱える者も多く、薬物治療や診断の必要性が急務とされている。都市化に伴う大気汚染や気候危機が、喘息増加の要因として指摘されており、特にアフリカでは子供たちがその影響を強く受けていると専門家は述べています。この研究は、未診断の喘息患者に対する早急な対策の必要性を訴えています。
アフリカの急激な都市化はリープフロッグと呼ばれ世界的に注目を浴びていた。そしてこのような国家の成長期に報告される公害被害は中国や日本でも陥ってきたものである。このような前例があったのにも関わらず対策ができなかったのか、疑問が残る。
10/31 The Guardian書評
TechScape: Tech CEOs hedge their bets and make nice with Trump 10/29 デジタル系の主要企業がトランプ氏と対談
主要テック系企業のCEOが、接戦が予想される2024年米大統領選を見据えて、ドナルド・トランプ前大統領と連絡を取り合い、将来の規制リスクを避けようとしていることが報じられています。Appleのティム・クックやAlphabetのサンダー・ピチャイなどのリーダーが、欧州での法的問題や業務改善について話し合っています。また、AIチャットボットに関連する新たな訴訟にも注目が集まっており、特にAIがユーザーに及ぼす影響や、著作権問題が議論されています。
アメリカ、ハリウッドではAIに対する役者からのストライキが再燃しているとニュースに取り上げられていた。また、日本でも人気声優がAIを用いた声の乱用に対して法で裁くことができないとの理由からSNSで消費者に意識改革を促していた。このような声が高まる中で、企業群が団結し現状を変えようという姿勢は重要であり、社会全体の変革期であるとも捉えられる。
https://www.theguardian.com/technology/2024/oct/28/tech-ceos-trump-election
11/7 The Guardian書評
North Korea tells UN it is speeding up nuclear weapons programme 11/5 北朝鮮が核兵器開発を活発化させると発表
北朝鮮の国連大使であるキム・ソン氏は、国連安全保障理事会で、北朝鮮が核兵器開発を加速する意向を示しました。これは「敵対的な核保有国からの脅威」に対抗するためと主張しています。この発言の数日前、北朝鮮は今年初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行い、米国や西側諸国との緊張が高まっています。また、北朝鮮はロシアとの協力関係を強化しており、ウクライナ戦線には約8,000人の北朝鮮兵士が配備されているとの報告もあります。アメリカは、北朝鮮がロシアのミサイルや宇宙技術を求めている可能性があるとし、北朝鮮の違法なミサイル開発を非難しました。さらに、米国と韓国は原子力技術の輸出管理強化に関する新たな協定を発表し、経済や気候対策の分野での協力を進めるとしています。
北朝鮮の核兵器開発が活発化した場合日本にも大きな影響を与えることが考えられる。その一つに防衛費の拡大が挙げられるが、今回の衆議院選挙でも減税を謳う政党が目立ったことや防衛費拡大のための増税に対する世間の批判がある中で平和的解決に向けた国際交流?対話による解決が求められている。(武器による抑止力ではなく)
11/14 The Guardian書評
Pompeii limits visitors to protect ancient city from overtourism
11/9 ポンペイで観光客の入場制限開始
ポンペイ遺跡は過度な観光客の集中を防ぐため、1日の入場者数を2万人に制限し、個人情報入りのチケットを導入する予定です。この夏、記録的な400万人が訪れ、1日の来場者は平均1.5万人から2万人に達しました。遺跡の管理者であるガブリエル・ズークトリゲル氏は、遺産と来訪者の保護のため、人数制限を実施すると発表しました。新チケットは11月15日から個人名が記載され、特に夏季には時間別に発行される予定です。また、ポンペイ周辺のスタビア、オプロンティス、ボスコレアーレなどへの無料シャトルバスも運行し、周辺地域の観光分散を目指しています。ズークトリゲル氏は、「持続可能でゆったりとした観光」を推進し、ユネスコ遺産周辺の文化的宝の発見を促すと述べています。同様の対策として、ヴェネツィアは混雑緩和のため、今年一部期間で観光客に5ユーロの入場料を課しました。
特にオーバーツーリズムが問題となる京都にもぜひ導入するべきだと感じる。ただ、観光客が減少するとただでさえ財政赤字な京都市は破綻してしまうのでは無いかとも考えられる。観光に依存しない形で、市民生活を通した持続可能な都市の創造が求められているのでは無いだろうか。
11/21 The Guardian書評
スペイン経済相、富裕層への最低税導入をG20に提言」
スペインのカルロス・クエルポ経済相は、世界の3000人の億万長者に対するグローバルミニマム税の導入をG20首脳に呼びかけました。同氏は、選挙結果から市民が富の再分配を求めていると指摘し、「勇気を持つべき時」と強調しました。 ブラジルは、富裕層の資産に2%のミニマム税を課す提案を支持しており、年間約25兆円を調達できると見込んでいます。この資金は気候変動対策やグリーン投資に活用される予定で、フランスやドイツも支持を表明しています。また、経済学者ガブリエル・ズックマン氏の研究によれば、億万長者の税負担率は平均0.3%と、労働者より遥かに低いことも明らかになっています。 スペインでは、再生可能エネルギー投資が経済成長を牽引しており、EUからの資金を活用して脱炭素化を推進。また、サンチェス政権は国内の富裕税制度を強化し、従来から問題視されていた税制の抜け道を封じました。 クエルポ氏は、国際的な協調が税制改革を容易にすると述べ、来年の国連開発財政サミットでもこの議題を推進する意向を示しました。
グローバルミニマム課税とは、経済協力開発機構(OECD)を中心とした約140ヵ国・地域が合意し、2021年10月に定められた課税ルールを指し、財務省では「年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,100億円)以上の多国籍企業を対象に、一定の適用除外を除く所得について各国ごとに最低税率15%以上の課税を確保する仕組み。」と定義されている。
11/28 The Guardian書評
‘We had no alternative’: Reeves to defend her budget to the CBI
2024年10月30日のレイチェル・リーブス財務大臣による予算案は、雇用主の国民保険料(NIC)の引き上げなど、25億ポンドの税収増を伴う内容で、NHSの改善やインフラ整備を目指しています。しかし、企業側からは増税による投資意欲の低下やコスト増加を懸念する声が上がり、特に小売業や接客業では厳しい状況が予測されています。リーブス氏は、前政権が残した財政の「22億ポンドの穴」を埋めるために必要な措置だと強調し、反対派からの具体的な代案がないと批判しました。彼女はまた、同様の増税を今後行う予定はないと述べ、経済成長促進策の実施に向け、企業と連携して取り組む意向を示しました。一方で、英国経済の成長率が0.1%にとどまったことには不満を表明し、さらなる改善を目指す姿勢を示しています。
今回の大幅な増税は主に企業の雇用主から国民に対し還元されるもの。もちろん批判もある中で、リーブス氏は議会での演説で、労働党が7月の選挙で有権者に示した、「投資し、投資し、投資する」ことで「経済成長を促進する」という公約を果たすと述べた。「これはイギリスにとって根本的な選択の時だ。私は自分の選択をした。責任ある選択をした。イギリスに安定を取り戻すために。労働者を守るために」と強い言葉で有権者に増税の必要性を訴えかけた。このような強いリーダーシップが日本にも必要でないのか?
12/5 The Guardian書評
韓国のユン・ソンニョル大統領は、突如として戒厳令を宣言し、野党を「反国家勢力」と非難しました。戒厳令は40年以上ぶりで、政治活動や集会を禁止し、全メディアを政府管理下に置く厳しい内容でした。しかし、野党や与党内からの強い反発に直面し、6時間後に解除を発表しました。国会では190人の議員が全会一致で戒厳令撤回を求め、国会外でも市民の抗議が激化しました。ユンの行動は民主主義を守ると主張しましたが、実際には予算を巡る与野党の対立が背景にあります。この動きは国内外で激しい批判を浴び、アメリカを含む同盟国も懸念を表明しました。結果的にユン大統領はさらなる圧力に直面し、辞任や弾劾を求める声が高まっています。主要労働組合も抗議として無期限のゼネストを宣言しました。この事態は韓国の民主主義にとって大きな試練となっています。
今回の戒厳令で死傷者が出なかったことがまず不幸中の幸いだったと思います。今回の流れとして当初ユン大統領は野党が北朝鮮と連携している?反国家勢力だと主張し、戒厳令を敷いたものの、実際は自身の政治的立場が危うくなり戒厳令+議会を凍結させるという手段にでた?とされている。(結局何がしたかったの?)背景にどのようなことがあったのか詳しくはありませんが、為替の値動きや旅行会社のキャンセルなどビジネスシーンにも影響が出たことも問題だと考える。+まず最初にツイッターで情報が拡散。リアルタイムで現地の様子やコメントが溢れかえる状況となった。これは情報がスムーズかつリアルタイムで全世界の人が利用できるようになったわかり良い事例ではあるが、一方信憑性のないコメント等も溢れた。その点従来メディアは遅らせながらも確実な情報を報道。慎重さも大事
12/12The Guardian書評
タリバンが女性の看護師・助産師養成課程への参加を禁止したことは、人権団体から「無知の極み」と非難されています。この禁止令は公式には公開されていないものの、タリバンの保健省会議で発表され、教育機関に伝達されました。複数の看護学生や講師が、授業の中止を知らされたと語っています。22歳の看護学生サハルさんは「これが最後の希望だった」と涙ながらに述べています。また、ヘラート州では学生たちが抗議活動を行い、「教育は私たちの権利」と訴えました。この措置に対し、国際機関や人権団体も批判を展開しています。アムネスティ・インターナショナルの活動家サミラ・ハミディ氏は、「この禁止は女性と少女の権利に対する戦争だ」と指摘。さらに、「女性が男性医師の診察を受けられない地域では、看護師や助産師がいなければ医療が崩壊する」と警告しています。WHOのデータによれば、タリバン政権以前からアフガニスタンの妊産婦医療は危機的で、2020年には出生10万人あたり620人が死亡。国連は、十分なケアにはさらに1万8000人の助産師が必要だとしています。この禁止措置により、多くの女性が医療を受けられず命を落とす危険性が高まっています。どのような根拠があってこのような判断を下したのだろうか?信じられない。実際にはタリバン政権が厳格なイスラム主義をとっている事からこのような判断になったのだろうが、現実社会にマッチして無さすぎる。生産性を落とすことは国家としていかがなものかと思う。
12/19The Guardian書評
1. 2024年12月19日、Amazonの労働者たちはストライキを計画している。背景には、ニューヨーク・スタテンアイランドのJFK8倉庫での2022年の労働組合選挙勝利後、Amazonが交渉開始の期限を無視したことがある。全米のTeamsters支部はストライキの準備を進め、デトロイトやポートランドなど各地で抗議活動を計画中だ。南カリフォルニアの4施設やシカゴ近郊のDIL7施設などでもストライキ承認票が投じられた。Teamstersのオブライエン会長はAmazonを「労働者を虐げる企業エリート」と批判。これに対し、AmazonはTeamstersが違法行為を行っているとして反論した。ストライキはクリスマス直前に実施予定で、労使関係の緊張が高まっている。海外での労働者によるストライキがあると毎回、日本はストライキがないということを思い出させる。(そしてそれが異様なのでは?という思考も)日本がここ30年間景気が悪かったことは確かだが、それを国民が嘆くだけでなく声をあげていたならば、今の生活は少しでも変わったかもしれない。