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出版契約を解除するには
1.出版権は自動継続。作家の側から解除しないと戻ってこない。
小説のシリーズが終了しても、出版権は戻ってきません。
出版権は作家の側から解除する必要があります。
これは書協(日本出版業協会)が出している契約書のヒナ型です。
書協は「出版事業の健全な発達、文化の向上と社会の進展に寄与することを目的とする団体」で、健全な契約書のテンプレートを公開しています。
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私たち作家は、契約書にサインして送り返しています。
小説は絶版になり本屋さんにもない。電子書籍も配信されない。あるいは電子書籍にはなっているものの、年に数百円程度の売上げしかなく、もう5年ぐらいも振込がない(一万円以上で振込とか決まっているところが多く、少額だと振り込まれません)。そういう状況でもゾンビのように出版契約だけが継続しています。
2.出版契約を解除するには、出版社の〇〇部に連絡する。
出版契約の解除は、担当編集者に頼んでもいいのですが、5年後とかに連絡したら、編集者がとうに退職していた、ということも起こります。
編集者がいたとしても、彼らにとっては業務外の用事なので嫌がられます。忘れられてしまったり、時間がかかったりします。
編集者の仕事は編集作業であって、契約解除書類を発行するのは彼らの業務ではないのです。契約書類を発行するのは総務部です。
私は総務部に直接、出版契約解除願の手紙を送っています。もちろん、切手を貼って自分の宛名を書いた返信用封筒を同封しています。
二週間~二ヶ月ぐらいで出版契約解除合意書が返ってきます。出版社にとっても、売れなくなった小説の出版権なんてどうでもいいから、揉めることはありません。出版契約解除合意書は大事に取っておきましょう。
3.出版権が戻ってきたら。
私は電子書籍(キンドル)にして自分で配信しています。もちろん、何千冊も売れるわけではないのですが、KDP(キンドルダイレクトパプリシング)の著者取り分は70%なので、700円の電子書籍が月に百冊売れただけでも四万九千円になります。この売上げは、ゾンビのままだったら入らないお金です。
次のリンクが、私が自分で配信した小説です。表紙はフリー素材です。自分でタイトル文字を入れました。
(私はアマゾンアソシエイトにより収入を得ています)
こちらが宝島社から発売された小説のリンクです。
4.出版社が倒産しているとき。
出版社が倒産して、事業を継続する社もない場合、どこに問い合わせをしたらいいのでしょうか。結論から言うと、問い合わせをする必要はありません。
前述の書協のQ&Aより引用します。
>仮にこの出版社が倒産等の理由で存続しておらず、その事業を承継してい る者がいない場合には、著作権者との間で交わされた出版契約も消滅してしまっていると考えてよいと思われます。
5.出版契約解除願に書く内容は。
日付、住所、氏名、ペンネーム、解除したい小説のタイトル、レーベルの名前、発売年月日、ISBN(書籍コード)です。
解除の理由は書く必要がありません。
電子書籍で配信されている場合は、数百円~数千円程度の電子書籍印税がある場合があります。私は百円とか二百円程度の場合は、印税の放棄をしていますが、あなたのファイトマネーです。きっちり振り込んで頂くようにお願いしましょう。
6.出版契約解除願の現物
私が実際に出版社の総務部に出した出版契約解除願の現物をアップします。テキストベースで公開しますので、必要な方はコピー&ペーストして、会社名や本のタイトル等を変えてご利用ください。有料200円です。
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