見出し画像

こんなにポジティブな大人たちが、こんなにいると思ってなかった #TalkYourWill

日本には色々なおっさんがいるということ、身をもって体感してしまった。おっさんは怖いものだと思っていた、でもそうじゃなかった、というのを、とあるイベントで思ったので、それを書き綴っておきます。

みなさんは「1分で話せ」という本、ご存知でしょうか?

まさに1分で話すことを軸に、何を伝えるか、どう伝えるか、何が聞きやすいかがテクニックからマインドセット含めめちゃめちゃわかりやすく書かれている本です。人と話す職業、つまり全部の職業なんですけども、そういうお仕事されている方にマジでおすすめします。

で、この本を書かれた伊藤羊一さんという方が主催したイベントが先日あったんです。今回はその参加レポートと言うか、参加してみての感想の記事です。めちゃめちゃ長いです。

私は「こういうチャレンジできる系はとりあえずやってみる、そうすると多分そっから先の景色が変わる」と思っている人間です。なので、すごい無謀でバカかもしれないんですが、なんかよくわからないけど面白そう!と思う気持ちが止まらず、このイベント「Talk Your Will」のプレゼンター側として、誰にも(夫にすら)相談せず応募してみました。

余談ですが、あるイベントでお会いしたことのあった角勝さんという方のFacebookでのシェアがなければこのイベントについて知ることもできなかったので、ホント人ってメディアそのものだよなとしみじみしています。素敵なきっかけをいただき、ありがとうございます。

恥ずかしながらそれまで「1分で話せ」は読んだことがなく、このイベントきっかけでしっかりと知りました。そう、先ほどはもっともらしく紹介をしてましたが、私自身はイベント直前になってこの本を読み始めた形でした(すみません)。

参加表明直後に「1分で話せ」Kindleで即購入し、長めの通勤時間を突っ込む形で読書を開始したところ、ここで冷や汗ひとつめ。平易な言葉で書かれているんですがかなり内容が濃い。テクニックも満載なのですがこれは濃すぎて全部取り入れられない。ヤバい、今直前だぞ。しかも設定されたテーマは「あなたの譲れない想い」。生半可な気持ちのこと言ったら聴衆にバレちゃうしどうしよう……とあたふたしていました。

1分で話せることなんて無限にあります。でも本心から言えることって本当に少ない。私は、悩んだ末に趣味のフィールドであるクラブイベントに来てみませんか、ということを話そうと決めました。が、その決意のタイミングは当日の朝でした。それまで優等生なもっともらしいことを言おうとしてたんですが、本気で信じてないことについては論拠のほうがついてこないのです。3つ理由を述べよ、と本には書かれているのですが、やめたほうのトピックはどう考えても2つぐらいしか出てこなかった。たくさん理由があるところを凝縮して3つにするのとはわけが違うなと感じました。

たかが1分、そのために私は何日も恐怖していました。めちゃめちゃディスられたらどうしよう。会場にだって誰がいるかわからない。でもこんなに何かを心から準備しているのは久々で、だからこそ9割怖い中でも残りの部分はワクワクしていました。

当日。会社終わりからすぐ銀座線で虎ノ門へ。SENQ霞ヶ関という綺麗でオシャレな会場に足を踏み入れると、すでに聴衆がずらっと並んでいる状態。冷や汗、ふたつめ。

そしてみっつめの冷や汗は、各々のプレゼンが始まってからでした。プレゼンターは私を含め26人。私は23番目。前半戦と後半戦に分かれているので、休み時間を挟んでからだな、と思っていたのはつかの間。最初からクオリティ高いプレゼンが連発でした。おいおい、みんなガチか。ヤバいぞ私。

たかが1分、されど1分。1分で、どんな人なのか、どんな個性なのか、どんな思いなのか手に取るようにわかる。そこには、(言い方は悪いかもしれないですが)純粋なエンターテイメント性がありました。1分に想いを注ぎ込むそれぞれの姿があり、それに熱心に耳を傾ける人たちがいました。

この会場で、何名かのプレゼンが終わった後に気づきました。

この場には聴衆も含めて、色々なことを振り切って『ポジティブであろう』と決めた人しかいない。

そしてポジティブであろうと決めた人が集まると、惜しみない賞賛と応援とチャレンジと激励がそこにはあるわけです。拍手ひとつにも、そこに含まれる思いが全然違いました。このテンションの高さ・熱さは、(ちょっとピンとこない表現になったらすみません)、いわゆる「バイブスが高い」ってやつです。

こんなバイブスが高い場を、社会的地位のある実名の大人たちが仕事外の時間で作れる、というのは驚愕の限りでした。私は広報や人事を始めとした若手の集まりによく顔を出して運営側にもいるような人間です。純粋な熱狂と興奮を生みだす音楽イベントの運営側にも携わってきました。それだけに、この「1分で話せ!」イベントの盛り上がりは正直ヤバいと思いました。だいたい参加者の意欲なんて、生半可な告知や集客や運営でコントロールできるものではないのです。しかし、いいオトナが、本気を出すと、バイブスがヤバい。

ここで私は、さっきまで出てた冷や汗のことを忘れられたのです。「ああ、ここでならきっと、誠意と勇気を持ってぶつかったら、否定されることなんてないんだ。」と直感的に思わせてくれる何かがありました。冷えていた体は(空きっ腹に流し込んだハイボールとともに)いつの間にか熱くなっていました。

そして23番目。自分の出番中、何を言ったかはしっかり覚えていません。覚えているのは、準備した言葉と全然違う言葉がとめどなく出てきたこと、それが事前には思いつけなかったキラーフレーズだったこと、DJしているときと同じ、我を忘れる感覚だったこと。ちょうど1分で終わったこと。そして聴衆がしっかり耳だけじゃなくて目までしっかりこちらに向かっていたこと。

自分のことを客観視する余裕もありませんでした。まあ1分なのでそりゃそうなんですけども。

うっすらと思い出したのは、中学生の頃、英語のスピーチ大会に出場し、全国予選まで行ったことです。高円宮杯英語弁論大会というものなのですが、その時に出場したときの感覚ととても似ていました。怖さもありながら準備したものを発散し、我を忘れる、いつの間にか終わって、そして仲間ができている。その時のことがきっと忘れられなくて、私は、高校では弁論研究部に属してスピーチをし、大学ではアカペラサークルに所属し、社会人になってからDJをやっていたんだと思います。一周回って、自分の原点に帰ってきたような感覚を覚えました。

講評の際、「もしかしてもともと何かやってましたか?」と聞かれ「高校の時、弁論研究部にいました」と答えたのですが、それだけではなく、多分ずっと私はこれまでの人生、誰かと想いを共有したくて、ずっとプレゼンしてきたんだろうなと思います。

一番評価されたのは、「手の動きにちゃんと意味があった」というところ。最後の全体を通してのプレゼン指南タイムにも澤円さんからも言及していただいて、言葉を失うほどに嬉しかったです。ここについては、DJをする時に、ないとあるとでは大違いだなと思い7年ぐらい実行し続けてきた部分でした。なんというか、マジで手前味噌なんですけど、人生の総決算だったなと思います。ありがとうございます。

1分のプレゼンの後に1分間で行われる講評は、1人ひとりの良いところに言及してくれる場でした。会場も同じ気持ちでいる。ネガティブなこと言おうと思ったら無限に言えるはずなのに、26人分、良いところを、丁寧に、取り上げてくれる。グラレコでかわいく記録すらされている。プレゼンの後に、絶対に笑顔が返ってくる。とてつもない安心感です。こういう場がもっと増えたらいいのに、と心の底から思いました。

私は、これまでの仕事人生ではずいぶん落ち込んだり上手く行かなかった側の人間です。それはもうさまざまなアンチパターンを踏み抜きながら、精神と体力をすり減らすなど様々な事情で5回も転職してきました。それぞれの場所で様々なことを学ばせていただいて感謝の限りなのですが、(怒鳴るような、ないしは積極的に否定してくる)人生の先輩たちが怖いという思いはこれまでなかなか捨てきれませんでした。あえてこの表現をするのですが、つまり、「おっさんが怖い」。

あらゆるおっさんには怒鳴るリスクがあります。安全かつ十分な距離をとっていないといつ怒鳴られるかわかりません。私はこれまでの人生経験からてっきり、おっさんは基本的に否定ばかりするものだと思っていました。それが誤解だったことが、このイベントに参加することで、やっと実感ができたのです。世の中そんなに捨てたもんじゃないな、と。

こんなポジティブな空気の会社や集団が増えたら、日本は大きく変わるんだろうなと本気で思います。そして、そういうポジティブな人たちが少なくとも100人ぐらいはいて、それがこの会場にいる人たちなんだと感じました。まさに今ここが、何かの出発点のひとつだなと。

組織論だとか色々ありますけど、まずはその集団の中にポジティブな大人がどれだけいるか、それだけでバイブスは大いに違ってくるわけです。それが×100もいて、私の恐怖さえ包み込んで、嬉しさしか残らない、そんなイベントあっていいんですかね?

終わった後も、「あなたのプレゼン、よかったですよ!」って嬉しい言葉を絶え間なく色々な方からもらって、新たなつながりもできて、こんな嬉しいことがあってたまるかという気持ちです。すごいイベントだった。

まさに、見える景色が変わりました。

今回得たこの感覚は、所属してる #PRLT だとか #HR_Chat とかにも還元したいし、職場でもいつか活かせたらいいなと思っています。

この「1分で話せ!」ピッチイベント”Talk Your WIII” はまだまだ色々な場所で開催していく模様です。世の中のおっさんに絶望している人こそ参加してほしいし、おっさんにだって参加してほしい。絶対に大丈夫だし、勇気をだしてプレゼンターになると、色々な発見があるはずです。

あなたが信じることを、信じたまま伝えていい。そういう実感は、人生を変えます。Talk Your Will、とてつもないイベントでした。

伊藤羊一さん、素敵な本の執筆と、人生を振り返りながらも1歩踏み出せるようなイベントを開催していただき、本当にありがとうございました。次回の開催を待ってます、だけではなく、今後は(気持ちだけでも)一緒に作り上げていくメンバーでありたいなと思っています。ありがとうございました!

サポートされたら、おいしいお菓子を買ってさらにしあわせになっちゃうな〜