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【豊かな心になる話】人には「物語」にして伝える

「豊かな心になる話」では、「わかさ生活」の社長、角谷が従業員に話してくれた、「ためになる話」を毎週紹介します!

あなたは、仕事でもプライベートでも「自分の思っていることが、自分のイメージしているように相手に伝わればいいのに」と思うことはありませんか?

わたしは、そのような時は『伝えたいことを物語にする』ようにしています。
毎日の生活の中で、自身の記憶に残っていることは何があるか、思い出してみてください。現代はたくさんの情報があふれています。

しかし、人の印象に残る情報とは“体験”に基づいているのです。

例えば、ある商品の説明書があります。
その説明書に商品の機能が小難しく書かれている場合と、その商品の機能をどんな想いを込めて作ったかが物語として書かれている場合とでは、記憶への残り方が変わってきますよね。

“説明”ではなく、“共感・納得”をしてもらうことが大事です。

相手に伝えるためのプロセスには『物語』が欠かせません。

わたしが「物語にして伝える」ことの大切さを感じたのは、初めて就職した会社でのことでした。

その会社は百貨店や大きなスーパーマーケットで、いろいろな雑貨品を実演販売することが仕事でした。

入社当時のわたしは、倉庫整理をしていました。
「寮付き」という求人に惹かれて就職しましたが、入社初日に案内されたのは、商品を管理している倉庫。結局、空いているスペースで段ボールの上に布団を敷いて寝泊まりをしました。

毎日、その倉庫から商品を出したり戻したりを繰り返していると、どの品物が何個あるか、どこにあるのか、自然と覚えてしまいました。

中には、何回出しても売れずに戻ってきて場所を塞ぎ、わたしの寝室を狭くする商品がありました。

それが「2,400円のフライパン」でした。

今では当たり前の特殊加工技術ですが、そのフライパンは「少ない油でも焼ける」「焦げ付きにくい」「持ち手が熱くならなくて安心」といった特長が売りでした。

しかし、料理をしないわたしには、そのメリットがわかりませんでした。

先輩社員に「あのフライパン、売れないんですね?」と聞いてみても「ありゃダメだ。店長が売っても売れなかったんだから。しばらく置いておくしかないね」と言われました。

販売部署のトップであり、最も実績をあげている店長でも売ることができないフライパンだと言うのです。

わたしは、毎日フライパンと寝食をともにしているうちに、だんだん「どうにかならないかな」という気持ちになっていきました。

ある日、お店で親しくなったお客さまに「このフライパン、どう思いますか?」と尋ねてみました。

すると、「わたし、このフライパン使っているけどすごくいいよ」と言うのです。

詳しく聞いてみると、油の引き方をちょっと工夫するだけで目玉焼きや野菜炒めもきれいに作れるし、洗剤も少なくて洗うのも楽など、いろいろ教えてくれました。

「そうなんだ、でも使ったことないから実感がわかないんですよ」と伝えると、「じゃあうちにおいでよ。直接見せてあげる」と、家に招いてくれました。

そのお客さまは、実際にフライパンで焼いたり炒めたりするのを見せてくれたうえに、昼食までご馳走してくれました。
確かにフライパンにこびりつかず、料理はきれいに仕上がっていました。

わたしは、そのお客さまが見せてくれた「このフライパンを使うと上手に目玉焼きや野菜炒めが作れる」、「後片付けが楽でうれしい」という姿に、料理をする人の「物語」を感じました。

心底納得して「これだ!」と思い、次の日、店長に「あのフライパンを売る時間をください」とお願いしました。

店長はわたしを見つめて、少し考えてから「じゃあ、10分だけやる」と言いました。

わたしは急いで、お客さまから教えてもらった物語を整理して、10分に収まるようになんとか「物語」を組み立てました。
 
そして、運命の10分間プレゼンの日を迎えました。

「みなさん、目玉焼きや野菜炒めがきれいに焼けたら嬉しいですか?もちろん嬉しいですよね? それがこのフライパンで出来るんです!」

「少ない油でもこびりつかず、きれいに焼けるんですよ」

「なぜなら、フライパンの真ん中がレコード盤のように渦を巻いているから。この渦のおかげでこびりつかないんです!」

「油が節約できるだけじゃないんです、油の摂りすぎは健康によくないですからね」

など、お客さまから教えてもらった料理をする人の「物語」を伝えました。

その日、120個以上あったフライパンは、たった10分の「物語」のおかげで完売しました。

おかげでわたしの寝室はとても広くなりました。

お客さまが快く買ってくれたのは、私が実際に見て聞いて体験したことを、うまく「物語」に乗せられたからではないかと思います。

実感がこもっていたからこそ、人の心に響いたのです。

一般的にビジネスシーンでは、「人の心を動かすには数字が大切だ」と言われています。
たしかに、データやロジックを示されると人の心は動かされますが、これではただの“説得”です。

一方で、物語によって人の心が動く場合は“納得”になります。
「この商品を買ってよかった!」と感じていただくためには、説得ではなく、納得してもらわなければなりません。

本当のよろこびや満足感は納得でしか得ていただくことは出来ません。
物語を語るからには感動してもらおう、などと考えすぎる必要はありません。

「なるほどな」「すごいな」「おもしろいな」「そうなんだ」といった、人の心をちょっとだけ動かせるものがあればいいのです。
少しでも相手の心が動いてくれれば、その「物語」は人の心に響きます。
心に響いた物語は、いつか心だけではなく、その人の行動も変えてくれる
のです。

本記事は、わかさ生活 社長ブログ by Amebaの投稿を編集して投稿しています。

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