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【ロボプロ部の新入部員に何を教える?】

[3月に発送した便りです]

 最初に。
 受験生お疲れさま!おめでとう!学校に入ってからやりたい勉強を、今からはじめちゃいましょう。出された宿題をするのは当然として、受け身でいると振り回されてしんどくなるから、やりたい勉強を自分からはじめちゃいましょう。

「ロボットやプログラミングなら自分にできそうな気がする。おもしろそう」
「思い通りに、ロボットを動かせるようになりたい」

と、はじめたころの自分を思い出しましょう。
そして、何を経験してきたか、いま何をどれだけできるようになったか、指折り数えて自信を持ちましょう。

【ロボプロ部の新入部員に何を教える?】

 「ロボットとは、自分(人間)が考えた動きを上手によい加減で動くようにプログラミングした機械」です。

 だから、プログラミングの「正解」は、自分が決めたらいいのです。

学校の勉強のはなし
もあわせてお読みください。

 今回は、ちょっとした遊びで思考実験をしてみましょう。

★新入部員を迎える

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『ロボプロ部の設定』

 あなたは、ロボットを作る『ロボプロ部』の上級生です。4月に新入部員が入ってきます。ロボプロ部は全国大会にチームで毎回出場しています。あなたの学年のメンバー全員の夢は、今年から三年連続優勝です。
 3年後にはあなたは卒業しています。
 この春、新入部員に何を教えたらいいでしょうか?
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 新入部員は知識や経験がありません。
 かっこよさそう、おもしろそう、遊べそうと思って入ってきています。知識と技術を身につけてもらい、全国大会で優勝するアイデアを考えて、形にできる力をつけてもらう必要があります。
 さて、あなたは何を教えますか?

 もし、今年だけの優勝だったらこんなやり方があります。
 上級生がすべてを考えます。
 新入部員には、作業内容をすべて指示して、すべて期限内にやらせ、遅れたり失敗したら、叱りつけたり恥をかかせたりする方法があります。「やりながら、必要なことを勉強しろよ。でも、余計なことを考えるな」と付け加えて。

 それでもし今年うまくいったとしたら、優勝していたらうれしさもあるでしょう。目の前のロボットの使い方も上手でしょう。
 でも来年、新しいロボットを考え、来年の新入部員と作り上げていくとしたら、きっとうまくいきません。指示通りにやる、考えない、何もできない人ばかりですから。それよりも、辞めていくでしょうね。

 では、どうしたらいいでしょうか?
 必要な情報や知識をすべて教えればいいのでしょうか?

 新入部員の立場になって考えてみましょう。
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『新入部員の設定』

 興味と関心があって入ってきました。全国大会優勝は魅力的です。けれど、知っているのはテレビやYouTubeで観たロボコンくらいです。
 学校にPepper君はいましたし、週刊ロビを買って組み立てたことがあります。
 けれど、「全国大会に出るロボットを作る」って意味がわかりません。作り方の説明書通りに作ったらいいんでしょ?
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 どこかすれ違っています。上級生も新入部員も、やる気があるのは確かですが、このままではきっとうまくいきません。
 どうしたらいいでしょうか?

★上級生がやること

 一つは、あなたの夢を彼らの夢にもしてもらうのです。理解してもらい、もう一つ突っ込んで、彼らの夢にもしてもらうのです。

 その上で、新入部員に何を教えたらいいでしょうか?
 教えるのは3点です。
 「知識・情報」「考え方・やり方のポイント」「考えて手を動かして実感させる練習」

 「知識・情報」
 新入部員は、ロボットのことも、プログラミングのことも、組み立て方も工具の使い方も、困ったときに何を読めばいいかも、何も知りません。
 下手すると、操縦する面白さだけに惹かれて入ってきているかもしれません。
 だから、最初から、何を知っておかなきゃいけないか、どこまでやらないといけないかを教えなくてはいけません。

 「考え方・やり方のポイント」
 例えば、ねじを締めるのだけでも、ゆるすぎても、固すぎてもいけません。「これくらいでいいか」と考えながらやらないといけません。
 プログラミングは、わからなくなったら、本を調べ、ほかのプログラムを見比べないといけません。まず考えて、考えたことを上級生に相談するのも有効です。
 慣れてきたら当たり前のことですが、新入部員だと、あきらめるのが早かったり、頭の中がグルグルしているだけだったり、正解を教えてもらおうとしてしまいます。
 上級生も答えを知らないのですが、新入生が実力をつけるため、正解を知っていても教えないで、探し方、調べ方、チェックするポイントを教えることになります。

 「考えて手を動かして実感させる練習」
 文字通り、教えることではありません。が、新入部員が一人でやれるようになるまでつきあうので、教えることと同じです。
 ずっと横にいる必要はありませんが、教えないで、新入部員が「わかった」と実感するまでつきあいます。
 「少しやってみて、試してみて、違っていたらやり方を変えてみる」をめんどうがらずにやれるようになるよう、応援し続けます。

 この3つを教えて、やっとスタートです。
 全国大会のアイデアを考えて、材料を集めて組み立てて、思ったように動くまで調整するのはこの先です。

★新入部員がやること

 今まで、上級生目線で書いてきましたが、新入部員は椅子に座って教えてもらえるのを待っていたらいいでしょうか?上級生の指示どおりにやっていたらいいでしょうか?部屋の隅に転がっていたロボットを操縦して遊んでいたらいいでしょうか?
 楽しいこと、ワクワクすることは大事です。でも、今は何も知らないのだから、「楽」にしていては何も身につきません。
 そうです。知識を学んで、ポイントを覚えて、めんどうがらずにいろいろ試すのです。できたら、自分のアイディアを入れていければいいですね。

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 そう。気づいた人はいるかもしれません。
 「新入部員」は、ロボプロに通っているみんなとしましょう。「上級生」は、ロボット教室を開いている私、ヒューマンアカデミー、そして古田先生としましょう。
 そしてこれが、「学ぶ」ということです。
 「ロボット教室に通って学ぶ」とはこういうことです。
 あなたを応援しています。

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