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世界が注目する「最後の忍者」と精神を受け継ぐものたち【福井県若狭町を発掘!】
福井県若狭町に“忍者”がいるって知ってましたか?
「何かのキャラクターか、趣味で忍者を名乗っている人か、そんな感じでしょ?」
と思ったそこのアナタ!
若狭町にいるのは、正真正銘、本物の忍者なんです!
一体どういうこと⁉
私たちもわけがわからないので、会いに行くことに。
そこで出会ったのは、異端ながらも、争いを嫌い、調和を重んじる真の忍者でした。
今回は、世界的にも注目を集める若狭町の「ラスト忍者」と受け継がれる精神を発掘します!
ザ・ラスト忍者はここに!【忍之傳研修所】
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若狭町にある『忍之傳研修所』で出迎えてくれたのは、甲賀流伴党21代目宗家・川上仁一さん。
何を隠そう、この方が令和に生きる正真正銘の忍者なんです!
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出典:忍道-NINDO-
実は忍者界(?)では超有名人で、日本で忍術を正統に継承している最後の忍者とも言われており、特に海外の忍者ファンからは「ザ・ラストニンジャ」と呼ばれ、講演会などで海外からも引っ張りだこなんだそうです。
川上さんが取り上げられたYouTube動画は世界的にも注目されていて、その再生回数は1000万回以上!
“現代に忍術を伝える希有な存在”ということから、2011年には三重大学特任教授に就任。
三重県と言えば、あの伊賀忍者が拠点としていた伊賀の地です。
現在は三重大学産学官連携アドバイザーのほか、伊賀流忍者博物館名誉館長や、日本忍者協議会顧問なども務める、忍者界の重鎮なのです!
山で出会った遊び相手が甲賀流の忍者だった!?~忍術との出会い~
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寺井隊長「そもそも、どういう経緯で忍者になったんですか?」
川上さん「元々両親が忍者でそれを継承したとかではなく、6歳の頃、 家の裏山でたまたま出会った老人が、甲賀流伴党20代目宗主の石田正蔵氏でした。
何かを調べに若狭町を訪れていた彼は、度々現れては、色んなことを教えてくれました。
最初は自分が何をやっているかも分からず、ただの遊びのつもりで修行してたんです。
泥棒の術か何かを教えてもらっているのかな~と思っていたときもありました(笑)
でも、石田さんの不思議な技に魅せられ、いつしか遊びの延長で修行が始まっていました。
そこから忍術を学び続けて、18歳のときに正式に甲賀流忍術の『伴家忍之伝』を継ぐこととなりました」
一同「6歳から18歳まで!?!?!?!?」
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継承のときは、家を継ぐという形で、伴家代々に伝わる家系図や由緒書、忍術書、武術・兵法伝書、忍び道具、武具などを譲り受けたんだとか。
ちなみに、先代の石田さんは戦時中はハルビン(満州)におり、いわば日本軍のスパイとして、本当に忍者として活動をされていたようです。
しかし、特務なので軍人としての籍はなく、名もなき仕事人という感じで仕事をしていたそう。
戦争の度に雇われる傭兵のような存在ということでしょうか!
映画の中の話を聞いているようですが、そんな人が実在していたなんて、なんだかワクワクしてきます!
1ヶ月食べないことも!~忍者の修行内容とは~
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寺井隊長「忍者の修行ってどんなことをするんですか?」
川上さん「疲れない呼吸法や身体部位の鍛錬、薬草や毒草の知識習得、五感の鍛錬、武術の習得など多岐に渡ります。
かなりハードな訓練です」
寺井隊長「一番きついのだとどんなものがあるんですか…?」
川上さん「しばらく何も食べないとか」
寺井隊長「1~2日とか?」
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川上さん「1ヶ月食べない」
え!
1ヶ月!?!?!?!!?!?
川上さんいわく、健康体なら水さえ飲んでおけば生きていけるそうです(笑)
※川上さんは特別な訓練を受けています。絶対にマネしないで下さい!
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若新プロデューサー「それでも10年以上修行を続けられたってことは、川上さんにとって修行は楽しかったんですか?」
川上さん「何かできたときの達成感はあるんですけど、楽しいものじゃないです(笑)」
ある夜、家族も寝静まっている時間に静かに扉がノックされ、
それを聞いてすぐに「石田さんだ!」と気づいた川上さんは、そっと家を出て、街灯もない暗い中、遠くまで訓練に出たこともあったそうです。
川上さんの持論では、「人間は極限に至ると、自己の限界を知り、人生に余裕ができる」そう。
10年以上忍者としての修行を積んだ方の言葉だと思うと、納得感がありますね。
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小林局長「ご自身が本流の忍術を習っていると知ったタイミングはいつなんですか?」
川上さん「自分が高校生の時に忍者ブームがあったんです。
『忍びの者』という映画が大人気で、自分も映画を見に行ったんです。
そしたら『これ自分がやってることや!』と(笑)
映画に出てくる忍者がやけに格好良く演出されていて、そこから甲賀や伊賀の忍者などについて、 自分でいろいろと調べだしました。
中学卒業後は高専に進学し、その後、大手メーカーに技術者として勤めたのですが、自分が忍者の家を継いだことは、隠していたわけではありませんが、大きな声で言ってもいませんでした」
会社勤めをしながらも忍術の研鑽を止めることはなかったそうですが、先代から学んだのは、技術的なことがほとんどだったので、川上さんは先代から譲り受けた古文書などの研究にも没頭していきました。
それが後に三重大学との連携研究に繋がっていったそうです。
忍者修行が自分の居場所でもあった~忍者と普通の生活の両立~
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若新P「地元では超異端児だったと思うんですが…、忍者をしながら、どうやって学校生活や社会生活を送っていたんですか?」
川上さん「学校は嫌々行ってましたね。
地元では変わり者だと思われていたと思うんですけど、元々ポツンと1人でいるタイプの人間だったので、そこまで周りの目は気になりませんでした。
寡黙で偏屈な人間なので、みんなと一緒のことをするのが嫌だったし、むしろ、忍者修行が自分の居場所で、おもしろいから続けていました」
大川隊員「私は不登校だったので、ちょっと気持ちが分かります」
川上さん「学校帰り、山の方面に師匠を見つけては、忍術を教わりに行っていました」
と、そこで気になるのは家族の反応…。
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川上さん「最初の頃は、自分自身も、僕って泥棒みたいなことをやっているのかな?と思っていたので、親には黙っていました。
おばあちゃん子だったので、おばあちゃんは気づいていたと思います。
ただ中学生の頃、壁や岩をなぐったりする修行で手が白くなってたことがあって、それがきっかけで親にバレました(笑)」
忍者でも親には隠し切れなかったようですが、それでもご家族は、“子供が知らないおじいさんに忍術を習っている”と知っても、無理に止めさせることはなかったそうです。
川上さんを温かく見守るご家族の存在が、自分が好きなことにトコトン没頭する川上さんを育てたんだなと感じ、あたたかい気持ちになりました。
現代社会でも活かせる忍者スピリット~最後の忍者の使命は『忍道』を広めること~
川上さんが“最後の忍者”であるなら、このままだと川上さんを最後に家は途絶えてしまいます。
川上さん「忍術は、いわば古典的な軍用技術。
現代では反社会的な行為にもなる忍びの古い技を、そのまま今、身につけることに疑問を抱いています」
とのことで、いわゆる忍者としての後継者を育てるつもりはないそうです。
その代わりに川上さんが今取り組んでいるのが、武術の背景にある忍術の考え方『忍道』を広げることなんだそうです!
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川上さん「忍術=武術と捉えられがちで、特に海外の人は、映画や日本のアニメの影響からか、忍術を格闘の類と誤解している方が多いです。
しかし、本来武術は侍がやるもので、忍術と武術は別だということを先代からも言われていました。
忍者の目的は、密かに行動して任務を遂行することです。
人知れず敵の重要な情報を得て、無事に任務を達成して生きて帰ってくる事が大切なので、実は戦わないことが大事です。
そして、相手から情報をうまく引き出すために、耐え忍び、相手の話をじっくり聞く」
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川上さん「つまり、忍者として優れているかどうかの一番のポイントは、コミュニケーションです。
そこから、『忍道』の理念は、『忍を以て和を成すこと』だと考えています」
なるほど〜!
忍者の本質は、争わずに耐え忍んで、調和して生きていくことなんですね!
川上さんの「みんながお互いに、少しでも耐えれば、もっと生きやすい世の中になると思う」という言葉が印象的でした!
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忍之傳研修所
福井県三方上中郡若狭町瓜生61-15
http://www.eonet.ne.jp/~bankeshinobi/
楽しく学べる忍者体験はこちらで!【若州忍者道場】
続いてやってきたのは、同じ若狭町の熊川にある『若州忍者道場』!
川上さんが継承されているような本格的な忍術ではなく、私たちがよくイメージするような忍術を楽しく気軽に体験できる施設です!
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案内してくださったのは、県外から移住された彫刻家の新野佑一さん。
…彫刻家がなぜ忍者道場?
実は、新野さんの工房が観光地である熊川にあり、店の窓を明けて彫刻活動をしていると、「熊川で遊ぶところないですか?」と聞かれることが多かったそう。
そこで、遊べる場所を作ろうかと考えていたところで川上さんと出会ったため、古民家を改修してその世界観や精神性に触れることができる忍者道場を作ったそうです!
新野さんも、川上さんに劣らずすごい異端児…。
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忍者屋敷と言えば、からくりが仕掛けてあるイメージがありますが、この道場にももちろんありました!
ネタバレになってしまうので、道場内に潜むからくりや仕掛けについては実際に訪れて体験してみてください!
ということで、ここでは武術の体験の様子をちょこっとだけご紹介。
川上さんからは主に忍術の精神性についてお話していただきましたが、いざという時の武術も重要!
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まずは、太刀の体験をさせてもらいました。
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天井が低い部屋で刀を振る練習です。
単純に刀を振り上げると「コツンっ」と天井に当たってしまうので、新野さんに身体の使い方を丁寧に指導してもらいました。
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上級者になると、しゃがんだ姿勢から鞘から刀を抜いて、正面に座っている敵を切りつけることもできるそう!
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そしていよいよ手裏剣体験です!
忍者の武器といえば手裏剣!みたいなイメージがありますが、実際はあまり使わないそう。
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新野さん「手裏剣って、持ってると目立つし、鉄で重いから何枚も持ってると邪魔でしょ?しかも、一回投げたあとまた取りに行くわけにも行かないから使い捨てなんですよ。
それで敵に当たらなかったら、もったいないじゃないですか」
言われてみれば、たしかに!!!
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その代わりに、そのへんに落ちている長い釘みたいなものを、敵に怪しまれないようにサッと投げたりしていたんだそうです。
しかし今回はあくまで体験なので、しっかり的を狙って手裏剣を投げてみました!
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構えて、
真っ直ぐ手を振りおろす!
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大当たり!!!!
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ちゃんと的に当たると、点数に応じて認定証がもらえますよ!
訪れた際は、是非チャレンジしてみてくださいね!
若州忍者道場
福井県三方上中郡若狭町熊川16-36
http://www.ninjakushu.com/
忍者の精神性と、異端児たちの居場所
忍者と言えば、忍んで敵を武術で攻撃するというイメージがありましたが、
実際は、忍耐力とコミュニケーション能力が重要であり、武闘派よりもインテリ系な存在であるよう。
戦わず、相手の話をじっくり聞いて任務を遂行する。
そんな忍者の精神を受け継ぎ、川上さんが広めようとしている『忍道』の理念は、「忍を以て和を成すこと」だそうです。
つまり、「争わずに耐え忍んで、調和して生きていく。そして、お互いが生きやすい世の中にしていく」ということ。
実際に、川上さんも新野さんも、いわゆる“異端児”と言われるタイプの方だと思いますが、それぞれが“忍者”という世界に自分の居場所を見出し、
「忍を以て和を成す」という精神性を体現するように、うまく世の中と調和しているように感じました。
そして、忍者の精神は、私たちが現代社会を生き抜くためにも重要な精神だと感じますし、すでに日本人の心の中にすでに根付いているような気もします。
忍者というとずいぶん遠い世界の話の気もしますが、
思いがけず、現代の日本人の精神性にまで思いを馳せる発掘となりました。