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ロマン溢れる“未発掘古墳”への道【福井県敦賀市を発掘!】

今回の発掘調査の舞台は、我らが寺井隊長のお膝元、敦賀市です!

今回敦賀市で見つけた発掘方法は「既に観光スポットとしてポピュラーな場所は、ガイドさんと一緒に散策する!」というもの。

いや、それ定番!!
と思うかもしれませんが、「ガイドさんをつけて観光したことなんてない!」って方も結構多いのではないでしょうか。

ガイドさんに同行してもらうことで、より深く地域を知ることができ、ただ見て回るだけとは違う味わい方ができることが分かったので(当たり前だけど!)
今回はその様子を是非ご覧ください!

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まずはガイドさんの元に行こう!【観光ボランティアガイドつるが】

今回は、『観光ボランティアガイドつるが』の会長をされている増田さんに、サポートメンバーとしてご同行いただきました。

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普段はポピュラーな観光スポットを紹介することが多いお立場の方に、恐縮ではありますがいつものように質問してみます。
「ガイドブックに載っていないようなオススメの場所ありませんか?」

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「街中で言うと、大体ポピュラーだしな~…」と、
頭を抱えていた増田さんですが、
「金崎宮の向こうに、実はまだ未発掘で手つかずの前方後円墳がありまして…」

え!!手つかずの古墳!?

発掘心がくすぐられるワードが出ました!!

増田さん「金崎宮や金ヶ崎城の月見御殿まで行く人は多いのですが、さらにその奥まで行く人は少ないんじゃないかな。ましてや観光客はそこまで行かないと思う。
平成30年に発見されたばかりなんですけど、そもそも『金ヶ崎城跡を保存するためには全景を把握せねば』ってことで調査した結果、たまたま見つかったものなんです。
赤外線レーザー写真と言って、地形を調べるときに、木を通過し地表面だけを撮影するような写真があるんです。それを見て、『この形、古墳だよね?』って発見されたんですよね。
それまで木々の中に埋もれていて誰も気が付かなかったんですよ。
そして、実はまだ発掘はされていないんです」

s-金ヶ崎史跡(写真)

なんということでしょう!

最新技術によってたまたま見つかった&まだ手つかず!ってめっちゃロマンあるじゃないですか!
敦賀っこの寺井隊長も「それは知らなかった~!」と太鼓判!

というわけで、いつものようにまた山登りの発掘調査になりそうな予感がしますが、
行ってみましょう!

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観光ボランティアガイドつるが(連絡先:敦賀鉄道資料館)
福井県敦賀市港町1−25
https://www.turuga.org/othercontents/guide.html

恋に、歴史に、未発掘の古墳に!ロマン溢れる金ヶ崎!【金崎宮・金ヶ崎城跡】

今回増田さんにご案内していただいたのは、敦賀市の中でも金ヶ崎と呼ばれるエリアです。
ここは特に歴史好きにとっては「敦賀と言えばここ!」というポピュラーな場所。

かつて金ヶ崎にあった山城やまじろ・金ヶ崎城では、歴史を動かす合戦が行われており、数々の歴史上の人物がここに足を踏み入れています。

南北朝時代には新田義貞にったよしさだが、
戦国時代には織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、明智光秀が、
また、江戸時代には松尾芭蕉がここ金ヶ崎を訪れており、
大河ドラマの中でも重要な舞台として度々登場しています!
(『麒麟がくる』でその名前を聞いた方もいるのでは?)

そんな金ヶ崎でまずやってきたのは、鉄道資料館から徒歩10分ほどの場所にある『金崎宮』です。

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南北朝時代に、新田義貞にったよしさだと後醍醐天皇の皇子・尊良親王たかながしんのう恒良親王つねながしんのうらが、足利軍に攻められ落城した際、
尊良親王が新田義貞の子である新田義顕にったよしあき等の武将とともに自刃し、
追って恒良親王も毒薬を盛られて亡くなったと伝えられています。
そして明治時代に、敦賀の人々の熱烈な請願により、尊良親王を御祭神として建てられたそうです。(のちに恒良親王も合祀)

また、金崎宮は「恋の宮」の異名も持っています!

毎年桜の時期に『花換まつり』が行われていて、「花換えましょう」と声をかけあって桜の小枝を交換すると、その2人は幸せに恵まれると言われています。
なんと明治40年代から行われていたもので、当時は男女の出会いの場にもなっていたみたい!

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そんなロマンチックな金崎宮で、寺井隊長が突然…

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「実はここ、学生時代の彼女とのデートコースだったんだよね~。
ここからの景色が綺麗で、春は桜が満開なんだよ。夏でも木漏れ日で涼しいんだ~」

恋の宮がそうさせたのか、
発掘そっちのけでかつての彼女との恋バナを赤裸々に語ってくれました(笑)

「なんと、その当時の彼女が、今の奥さんです!!!!」

一同「「「………。」」」

寺井隊長の恋の発掘調査はおいといて(笑)

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ここからお目当ての古墳を目指します!

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急な階段をひたすらのぼっていきます。
かつて、この丘の上に築かれていたとされる金ヶ崎城は、攻撃するのが難しく、なかなか落とすことができない、いわゆる”難攻不落の城“であったそうで、その名残なのか、急な階段が続き、我々をも簡単には目的地へ辿り着かせてくれません。

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普段ならスルーしてしまいそうな石碑などもしっかり解説してもらいながら…

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まずは、月見御殿に到着です!

この付近は金ヶ崎の最高地で月見崎といい、通称「月見御殿」と呼ばれています。
南北朝時代の金ヶ崎城の本丸跡と言われ、 戦国時代などにも武将が月見をしていたんだとか!

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下は断崖絶壁!!!!
戦国時代、ここを攻めるのはさぞ大変だったことでしょう。

当時の戦国武将に思いを馳せつつ、引き続き古墳を目指します!

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ひと休みできそうな場所もありました。
(ここも寺井隊長の定番デートスポットだったらしい(笑))

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さて、結構歩いてきたつもりではあるのですが、目的地である古墳はまだ看板にも載っていないので、あとどの程度歩くのかもわからず…。
さらに15分ほどアップダウンが続きます。

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道中、かつて山城であった名残も発見!
これは自然な窪みではなく、堀切の跡です。
尾根を切って堀が作られており、襲撃されると堀に掛けてある板橋を引き上げて通せないようにしていたんだとか。

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大川隊員「まだまだ階段のぼるぞー!」

古墳らしきものはまだ全然見えてこないので、まだまだ先は長そう、と思ったのですが、

増田さん「ここが古墳です」

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え⁉…ど、どこが古墳??

古墳

増田さん「こんな感じです」

前方後円墳の後円の部分ってこと⁉

ただの“こんもり”やん!
これはガイドさんがいないとわからないわ~!!!!

増田さん「実はもう1つ、さらに大きなこんもりした場所があるんです」

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「ここは公表されていないんですが、同じような形なので古墳じゃないかなと思っているんです。ここも手つかずなんです。ロマンですよね~」

歴史的な観点でも金ヶ崎城跡はとても重要な場所なので、様々な考古学者が発掘に乗り出したいと考えているようですが、地権者が明確でない等の諸問題があり、手つかずのままなんだとか!

ここに歴史を解き明かす貴重な情報が眠っていると分かっているけど手を付けられない、
というのがたしかにロマンを掻き立てられますよね!!

最後に金ヶ崎の小話を1つ。

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神社の鳥居の裏側には、寄進者の名前が書かれていることが一般的なのですが、
金崎宮の鳥居の反対側を見てみると、

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「献納 初代大和田荘七妻 大和田繁」の文字。

大和田荘七さん(二代目)はかつて敦賀港の発展に寄与し、その後銀行家として名を馳せた名家、大和田一族の元締めだそうなのですが、鳥居にはその先代奥様の名前が掘られています!

普通はあまりこういう書き方をしないそうで、
恋の宮だから奥様の名前を書くことにしたのかは定かではありませんが、
もしそうだったら素敵なことする人だな~と勝手に想像を膨らませてしまいました!

ちなみに俳優の大和田伸也さん、大和田獏さんは、この大和田家の血筋にあたるそうです。
(お二人とも敦賀市出身なんですよね!)

恋、歴史、手つかずの古墳と、ロマンが溢れる金ヶ崎発掘でした!

金崎宮
福井県敦賀市金ケ崎町1-4
http://kanegasakigu.jp/

こっちも!縁結びの観音様【金前寺】

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金崎宮のすぐ横に位置する金前寺にも行ってみました。
実はここも縁結びにゆかりがある場所なのでロマン続きで簡単に紹介を!

平安時代末期に成立したと見られる説話集『今昔物語集』に金前寺の説話が収録されており、ざっくり言うとこんなお話みたいです。

敦賀に信仰心が強い落ちぶれた一人娘がいて、ある日、高貴な人が訪れてきた。そのとき、差し出す物がなく、十分もてなすこともできなかったけれど、信仰していた観音様の助けもあって、心から接待をできたことから、のちに高貴な人がその娘を妃として迎え入れ、幸せに暮らすことができた。

こんな説話があることから、縁結びの観音様と言われているそうです。

金崎宮だけでなく、こちらも縁結びスポットなんですね~!

金前寺
福井県敦賀市金ケ崎町1-4
http://www.konzenji.jp/

ガイドさんと “定番”のその先へ!

敦賀市は、嶺南地域の中でももっとも人口が多い市町であり、有名な場所も多い事から、「まだ知られていないこと・もの」を探すのは大変そうな気がしましたが、観光のプロ、ガイドさんと一緒に同行することで、深~い歴史やエピソードに触れることができました!

普段はネットで情報を調べて旅行をする皆さんは、たまにはガイドさんを付けてみてはいかがでしょうか?

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