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子供の頃の布団話 〜夢の世界への案内人〜

幼い頃って、本当に今思えば「何だそりゃ」って思うようなことを結構真剣に考えたりしてませんでしたか?

初投稿としてどうかは分かりませんが、今日は子供の頃に考えていた夢を見る前のちょっと不思議な空想のお話をしようと思います。 

『枕元のライオン』

私は幼い頃、父と妹と3人で川の字になって寝ていたのですが、父が帰ってくるのが遅くなったときは妹と2人で寝ていました。

妹は寝るのが早く、ひどく心細い気持ちになったものです。

その時よく出てきたのが、枕元のライオンでした。

枕元のライオンは、寝ている私を食べようとグルグル言いながら私の頭の上をのろのろと歩いているのです。

真っ暗で何も見えないなかで、じっとこちらを見ているライオン。脳裏には立髪が風に靡き、牙を出すその姿。

食べられたくない一心で、私は布団を頭のてっぺんまで被り、そしてきゅっと口を閉じます。

「あぁ、見つかったら食べられる。頭から丸かじりにされちゃう」

布団を被って息を潜める私はさながら逃げ惑う小型の草食動物の気分です。

だんだん息が苦しくなるので小さな空気口をひとつ作ってすぅすぅ、はぁはぁと呼吸をします。

何度か繰り返すとだんだん疲れて、記憶はうやむやに。ライオンと私は一緒にあたたかな夜に飲み込まれていきます。

朝になると、そこはいつもの畳の寝室です。
布団だって投げ出されてくしゃくしゃ。

ライオンもサバンナももうそこにはないのです。

夜にだけ、やってくる枕元のライオン。
まるで幼い私を夢の世界へと誘う案内人のようです。
彼は眠れない私を気遣って空想の世界からやってきたんだろうけど、幼い私には不安と恐怖のメタファーだったのかも。

あいにく、今は眠れない夜はスマホがあったり、そもそも仕事に疲れて泥のように寝落ちたりと会うことは無くなってしまいましたが、今ならその立髪をわさわさと撫でてみたいものです。

皆さんにもそんな体験あったりしませんか……?

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