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【SS】異常な一生

※前アカウントに載せていた作品の再編/再掲です

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「うん、いい香りだ、味もまぁまぁだな」
小さく響く咀嚼音。

「今日は線路沿いでたまたま拾ったやつだけど、悪くなかったなぁ」
少年はいつも通り、トイレの個室で消しゴムを食べていた。
休み時間の至福のひと時だ。


高校2年生の彼は、小学生の時から消しゴムを食べ続ける、消しゴムマニアだ。
他に趣味や好きなもののない少年にとって、消しゴムを食べることは、少年の唯一の生きがいだった。

しかし消しゴムを食べていると言う事実は誰にも話していない。
少年はそれが『異常行為』だと自覚しているからだ。
もし見つかればみんなに引かれてしまうだろう、と。

しかし秘密というのは隠し通すのは難しい。
ある日授業の後、いつも通りトイレで消しゴムを食べていると、急に個室のドアが開いた。

鍵の締め忘れだ。

不運は重なる。

そのドアを開けた男子は、スクールカースト最上階の男だった。
彼は驚いた表情を見せながらも、すぐさま少年の写真を撮り、仲間と笑いながらSNSにアップした。

それが一気に拡散されると、少年は『異常者』として敬遠され、学校で誰からも相手にされなくなった。
恐れていたことが現実になった。彼は学校から「消された」のだ。

しかし少年は、世界から相手にされるようになった。
いや、もう少年と呼ぶべきではない。彼は今年、300歳を迎えた。

『異常事態』だ。

今でも彼は消しゴムを食べ続けている。
消しゴムが体の毒素も消すことができるという研究結果がもうじき出ることだろう。

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こちらも大学時代に書いたショートショートです。
前記事で書いた、就活時のエントリー課題で書いた作品の提出しなかった方の作品ですね。
もう一本変な作品を書いて(公開している2本も十分変)、3本を友達や先輩後輩数人に読んでもらいながら選び、結局前記事の「ノーパン早歩き競争」を提出した記憶です。

ちなみにもう一本は、「設定が怖すぎて作者の精神状態を疑う」と先輩に引かれたので、公開するのはやめておきます。
というか多分もう原文が見当たらない。
まぁどちらにせよ、引かれたくないのでこちらはお蔵で。


曲だけに限らず、文章を綴るのは結構好きなので、気が向いたらまた作ってアップします。
よかったらまたチェックしてください。

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