【ESSAY】静岡で最高の朝食バイキング
先日、久しぶりに静岡に行ってきた。
僕の会社は静岡に本社があるため、仕事の関係で月一くらいのペースで行っていた時期もあったのだが、今回は約1年ぶりの静岡訪問だった。
便宜上、本社への出張として行けることになったので、交通費・宿泊費は会社経費、更に静岡の社員さんたちとも飲みに行くことができたのだが、今回静岡に行った目的は仕事ではなく、ずっと会いたかった静岡住みの友達に会いに行くことだった。
その友達も弾き語りをやっている音楽仲間で、配信で出会い、僕の記憶だともう2年くらい繋がりがあるのだが、会うのは今回が初めてだった。
ようやく会えるということで、約束が決まった日からそれはそれは楽しみにしていたし、実際に一緒に弾き語りをしたりご飯を食べたりしてめちゃくちゃ楽しかったのだが、今回の話のテーマはそれではない。
バイキングの話だ。
唐突で申し訳ない。
僕は小さい頃からバイキングが大好きだ。
船の形のアトラクションの方ではなく、食事スタイルの方。
好きなものを好きなだけ食べられる、夢のような空間の方だ。
小学生のとき家族でディズニーに行き、お昼にバイキングスタイルのレストランでお腹がはちきれるほど食べ、その後苦しくなって何のアトラクションにも乗ることができなかった記憶は、未だに鮮明に残っている。
一見バカバカしい話だが、バイキングを前にすると人は無力だ。
それは大人になろうと関係ない。
バイキングを本気で楽しむとき、人は子供に戻れるのだ。
実際、僕は大人になってから何回も、バイキングで子供に戻ることができた(=食べ過ぎて苦しくなって動けなくなった)。
中でも一番好きなのは、ホテルの朝食バイキングだ。
朝起きて、非日常の空間の中で、好きなものをお腹いっぱい食べられる幸せはもちろん、ホテルに泊まった翌日はだいたい楽しい予定なことが多く、その記憶も含めて好きなのかもしれない。
今回は会社経費だったこともあり、ずっと気になっていたキレイ目のビジネスホテルを予約した。
もちろん決め手は、朝食バイキングが美味しそうだったからである。
いざ、静岡到着。
金曜日のAMに到着したので、日中は本社で仕事に励んだ。
そしてその日の夜、会社の人たちと飲みに行くことになっていたのだが、朝食バイキングガチ勢は、前日からの調整を惜しまない。
飲み会の席では美味しそうなフードがズラリと並んでいたが、翌朝を万全な状態で迎えるため、腹七分目に留めた。
バイキング前日はとても大人である。
二次会のカラオケまで参加し、リクエストされたDISH//の猫を歌い上げたところで先抜けさせてもらい、ホテルにチェックインしてシャワーを浴びた。
寝る準備が整った深夜1時半、案の定お腹が空いてきたが、朝食バイキングガチ勢にとってこれはむしろ喜ばしいことと思い、そのまま寝た。
翌朝7時に起床し、大浴場でシャワーを浴び、湯船につかり、サウナまで入って完全に整った状態で、8時半、いざ朝食会場へ向かった。
アルコール消毒をして、ビニール手袋をはめる。
手先が不器用な僕にとってこのビニール手袋はかなり煩わしいのだが、感染症対策なので仕方ない。
むしろコロナ禍ではバイキングなんてほとんど無くなっていたのに、こういう工夫をしてまで復活させてくれたのはとてもありがたい。
さぁ、お盆にお箸とお皿を乗せて、いざおかずコーナーへ。
ここで僕は自分の目を疑った。
ホテルの朝食バイキング、おかずコーナーの順路1個目のおかずがなんと、「ロールキャベツのクリーム煮」だったのである。
初手から攻めすぎじゃないか?最高だな???
当然のように2個取った。
次が、このホテルの目玉である、鳥と野菜のグリルだった。
これはホテル予約時に画像を見ていたのでそこまで驚かなかったが、順路2個目にこれもまぁまぁ攻めている気がする。
攻めているというか、ただただ豪華である。
順路3個目にして揚げ物が出てきた。
桜エビのクリームコロッケと、静岡名物黒はんぺんのフライ。
もう他では見たことがない朝食バイキングのラインナップに興奮がやまなかった。
順路4個目は富士宮焼きそばだった。
ここにきて初めて手を出すか悩むものが出てきた。
僕は普段自炊をする方なので、外でご飯を食べるときは普段自分が作らないものをよく食べる傾向にある。
その観点で言うと、順路3個めのメニューまでは普段作らないものだし、シンプルに美味しそうだったので何の迷いもなくお皿に乗せた。
それに比べて焼きそばはその真逆を行くものである。
焼きそばなんてものはどれも同じような見た目、味である。
屋台の焼きそばなんて雰囲気で売ってるだけで、冷静に食べたら家で作るものとそんなに変わらない。
というか焼きそばに美味い不味いなどあるのだろうか。
誰が作ったか、どこで食べるか、でしか差別化ができない。
ただ、富士宮焼きそばというのは少し気になる。
普通の焼きそばと何か違うのだろうか。
僕は結局、興味本位でお皿に乗せた。
焼きそばに関しては先に結論を言うが、富士宮焼きそばと言えど、やきそばはやきそばという感想だった。
味はちゃんと美味しかった。
コーナーを曲がった先はサラダコーナーだ。
バイキングでサラダは取らないのでスルー。
野菜はむしろ好きなのだが、サラダでお腹いっぱいにしてしまうのはバイキングにおいてもったいない気がしてしまう。
更に角を曲がると、蒸しサバとスクランブルエッグが出てきた。
ようやく朝食バイキングの定番メニューだ。
スクランブルエッグに関してはできたてだった。
あの黄色くて大きいふわふわに、でっかいスプーンを入れる喜びは他には例えられない。
他にも色々あったが、メインのおかずは網羅したし、それぞれ沢山取っていたらもう乗らなかったので、ご飯と飲み物を取って一旦席に着くことにした。
本当は味噌汁も取りたかったがスペースがないので諦めた。
バイキングなんて1周目で回り切れないことくらい当然だ。
はなから2周目に行く前提で取っているのだから。
そんなことを考えながら、お茶碗にご飯をよそっているとき、あることに気が付いてしまった。
カレーがあるじゃないか。
バイキングでカレーなんて、それこそ、それでお腹いっぱいにするのはもったいないと思われそうだが、バイキングのカレーは不思議と食べたくなるのである。
2周目は絶対にカレーだ!そう決意したその瞬間!
カレーをお皿によそったおばさんが颯爽と席に向かって歩いて行ったのだが、そのカレーには、スクランブルエッグがトッピングされていたのだ。
天才か。
そこで僕はひらめいた。
よし、2周目にカレーを取るときは、最初にとったフライ2種をトッピングして、ミックスフライスクランブルエッグカレーにしよう。
オレンジジュースをついで、窓際カウンターの席に着いた。
土曜日の朝だったこともあり、全体的にかなり人が多かったが、席数も多くスペースも広かったため、難なく座れた。
思えば、バイキングスペースもかなりゆとりがあって、ストレスなく選ぶことができた。
落ち着いて選べる空間、落ち着いて食べられる席、豊富で豪華なメニュー。
ここまでは完璧だ。
さぁ、肝心の味の方はどうだろうか。
美味い。。。。。
そりゃそうだ。
順路1個目にロールキャベツを置くバイキングが不味いわけない。
一つ一つの味の感想なんて書き出したらキリがないので割愛するが、本当にどれも美味しかった。
ビジネスホテルの場合、場所によっては朝食バイキングなんて全く力を入れておらず、とりあえず食わせとけ的な大味なところも多い。
正直それでも、僕は結構楽しめるタイプなのだが、今回泊まったホテルは味もちゃんとレベルが高い。
下手したら僕が泊ったビジネスホテル史上一番だったかもしれない。
あっという間に1周目のご飯を食べきり、2周目にお目当てのカレーを取りに行った。
先ほどのトッピングも無事に済ませ、1周目で特に美味しかったロールキャベツと、鳥と野菜のグリルをおかわりした。
更にそこに、できたてのジャーマンポテトが登場した。
無類のじゃかいも好きとして、これは取らなければいけない。
更にさらに先ほど取れなかった静岡おでん。
これもいっておきたい。
そうこうしていたらあっという間に2周目のお皿が埋まった。
席に戻ろうとしたその時、先ほどのスクランブルエッグトッピングカレーの天才おばさんがまた僕の横を颯爽と抜けていったのである。
その手にはなんとアイスクリーム3種が乗っていた。
アイスもあるのか!と思うと同時に、そのおばさんのなんとも楽しそうな顔を見て、やはりバイキングは大人を子供にするんだなと、嬉しい気持ちになった。
席に戻り、第二ラウンドを開始したが、やはり2周目で初めましてのご飯たちも全て美味い。
あっという間に全て平らげてしまった。
調子の良いときは3周目に行くときもあるのだが、一度に結構取れるタイプのお皿だったので2周でお腹いっぱいになってしまい、最後にアイスを食べて、至福の朝食バイキングを締めくくった。
改めて振り返ると、本当に素晴らしい朝食バイキングだったと思う。
ただ、僕はこの朝食バイキングに2点だけ残念なポイントがあった。
一つは、カレーがシャバシャバタイプだったこと。
カレーはドロドロ派の僕にとって、シャバシャバカレーはかなり残念だったが、味は美味しかったので問題ない。
問題はもう一つの方だ。
お湯に浮いたウインナーが無かった。。。。
朝食バイキングの一番の目玉である、でっかい容器入った、お湯に浮いたウインナーが無かったのだ。
朝食バイキングには、お湯に浮いたウインナーとスクランブルエッグ、この2つは絶対にないとダメだろう!!!!!!!
家で簡単に作れる?
いやそんなことは関係ない!
お湯に浮いたウインナーとスクランブルエッグにおいては、その概念を超越するんだ!!!!!!!
とはいえ、お湯に浮いたウインナーが無くても満足できるくらいのクオリティの朝食バイキングと出会えて、静岡が好きになった。
更にその後、ずっと会いたかった友達とも楽しく遊ぶことができて、静岡がもっと好きになった。
仕事が関係なくてもまた遊びに行こうと思う。
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ちなみにこれは余談だが、僕が大好きなお笑い芸人ハライチのお二人もバイキングが大好きで、ハライチのターンというラジオ番組でも、バイキングの話が再三語られてきた。
ディズニーで、澤部さんがわんぱくにバイキング2食食いした話や、コロナ禍でしばらく中止になっていた朝食バイキングがロケ先の地方のホテルで復活していてテンションが上がった話、岩井さんがWエンジンのチャンカワイさんに、バイキング発祥の帝国ホテルのバイキングに連れていってもらってあまりの”うめさ”に感動した話など、どれも大好きな話である。
毎週面白いので、お時間があるときに是非。
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