詩/ただ海を眺めるきみと僕
ただ海を眺めるきみと僕
きみが作った程よく小さなホールケーキ
目の前に現れたのは夕飯の前
UFOが不時着したのは
僕が作った程よく小さなテーブル
非日常マジックに指を鳴らす
ただ海を眺めるきみと僕
丸い外側の型を静かに持ち上げ
華麗なるマジックのフィナーレに息を飲む
足もとは砕かれたビスケットのステージ
肩に羽織った透明のフィルムを脱がす
厚切りのレアチーズケーキが肌を見せる
ガスコンロで炙る包丁
12時から3時をきみと分け合う
あと3回楽しめるねときみが言う
ただ海を眺めるきみと僕
夜な夜な
森の陰から魔女が指を鳴らす
きみがかけられたブラックマジック
ホスピタルのハットトリック
穴の空いた救助船
辿り着いた無人島
少ない漂流木に火を着ける
ノロシは魔女に吹き流される
ただ海を眺めるきみと僕
きみが作った
程よく小さなホールケーキは冷蔵庫
ブラックマジックが解けないから
残りは全部食べてねときみが言う
なんかごめんねときみが言う
いいよいいよと僕が言う
穴の空いた救助船を横目に
ただ海を眺めるきみと僕