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ハンドルの向こうの 信号は 赤に変わり ため息にも 似た 虚ろな 眼差しは 橋の向こうの街…
あの夏の アパートの 玄関の前で 壊れたカメラを 手渡されたぼくは 嬉しくて 目の前の お父…
きれいな ありがとうが 言えなくなった のは 枯れてしまう ほど ごめんなさいを 言いすぎた…
「ゆっくりと」 現場の左隣りは郵便局 ゆっくりと 助手席から眺めた 日替わりの景色は 青い…
「真昼の夕暮れ」 寝ぼけた足取りで 珈琲を淹れる為の水を汲み、 電気ケトルをセットした 自…
紫の記憶 坂の上にある小学校の校庭 暗くなるまで夢中になったのは なりきりごっこのキャプテ…
「日曜日の夜」 寂しくなりかけた 日曜日の夕方 少し潤った空気が連れてきたのは あの日見つけた 海岸の景色 さっきまで一緒だったギターはスタンドへ しばらく 休んでいた ミニギターとぼくは、悪あがきのドライブに、 ムネを 弾ませた 沈みゆく夕陽を背に 歩くひとたちが、バックミラーに消えてゆく ハンドルを切る うろ覚えの交差点 見覚えのある駐車場への入口 立場(は)だかるカラーコーンと警告看板 結局、封鎖という 追い返しをくらってしまった ムネを弾ませた 悪
「どんな味」 もう なくなってしまったけど たしか、2回だけ行った あの日の うな丼の味を…
「明日のウイスキー」 つい、飲みすぎてしまう 水割り 今夜は すこし多めの氷と、強い香り…
「とうめいなせんぷうき」 はねをひろげて わたしのほうを向いて 好きなときに 好きなだ…
「どれも母の日」 母のことを思って感謝を伝える日 母のことを思って花束を贈る日 母の母を思…
「母の日は」 母の日は 母に花束を贈る 母に感謝を伝える 母が喜ぶプレゼントをする そう思…
「0番ホーム」 外へ出るのも 若いうちだからと じゅうはちの僕は 0番ホームから旅立った 車…
「才能恋愛」 ただの恋愛は あなたがあのひとに恋をする 才能恋愛は あなたがあのひとの才能や振舞いに恋をする ただの恋愛は 恋は恋のまま愛が生まれて たとえ離れてもまためぐり逢える 才能恋愛は 恋も愛も才能に消されて やがてまた別の恋をくりかえす あのひとの 才能や振舞いは 消えるかもしれない あのひとの 仕草や話し声が 失われるかもしれない 才能恋愛をしてしまうと あのひともあなたも 後悔の涙をながす 失うことを悔やまず 恋が恋のまま 愛も愛のまま生きられる