見出し画像

「均等法体験記」始めます。|はじめてのnote

23年前の今日のこと

 今朝何気なくテレビをつけたら、愛子様のお誕生日のニュースが目に入ってきて一気に愛子様がお生まれになった日の記憶がよみがえった。

 2001年(平成13年)12月1日、この日は土曜日で休日だったけれど、私は下町の商店街のアーケードの下を職場に向かって歩いていた。当時、私は確定拠出年金業務に従事していて、とにかく忙しかった。

 忙しさの理由は、確定拠出年金事業というものを誰もわからなかったからだ。今振り返ればずいぶんムダなことをやって時間を費やしたと思う。

 確定拠出年金制度は、その年わが国に初めて導入された年金制度だった。6月に法律が公布され、大枠は明らかになったが、ビジネスとして具体的にどうやるのか、どのようにサービスを提供して利益を得るのか、日本中の誰もがあれこれ試行錯誤していた。

 何しろ全員答えを持っていない。他社も上司も同僚も誰もが同じスタートラインに立ち、各々情報収集から始まり、必要なものは何か、ルールはシステムはどうするのか。何から何まで自分たちの頭でゼロから考えて作るのだ。こんな楽しい業務はない。
 私は仕事が楽しくて仕方がなかった。
 
 まだ働き方改革が始まるずっと前のことで、終電まで働いていても会社から何も言われない。終電に乗り遅れタクシーで帰宅したこともある。土日も必要だと思えば出社した。上司の指示で無理やり、ではなく、自分の時間を使えるだけ使って働きたいだけ働いた。
 それが許されていた、ある意味幸せな時代だった。

 愛子様がお生まれになった日は、そんな日々を過ごしていた時だった。
 休日だからスーツではなく、たぶんユニクロか何かのラフな服を着て商店街を歩いていた。
 だが何かいつもと空気が違う。
 たぶん、ニュースでお生まれになることが報道されていたと思う。
 
 「生まれるよ、今日お生まれになるよ」
 すれ違う人々からそんなうきうきとしたささやき声が聞こえたような気がした。人々の足取りも心なしか軽い。冬なのに街が温かい空気に包まれ、喜びに弾んだピンクのシャボン玉がぽわぽわ浮かんでいる中を進んでいく感じ。
 歩きながら自然に笑みがこぼれて幸せな気持ちでいっぱいになった。

簡単な自己紹介

・1965年(昭和40年) 東京都生まれ
・1985年(昭和60年) 20歳。一浪して四年制大学法学部入学
           この年男女雇用機会均等法成立、翌1986年施行          
・1989年(平成元年) 大学を卒業、就職。社会人となる。
・2022年(令和4年)   退職

 私は大学に進学し、均等法の下で就職活動を行い、バブル期末期に就職して働いた最初の世代の女性である。法学部を卒業し、新卒で入社した企業で一般職から総合職へ職種転向し、約2年前に退職するまで働いてきた。ファイナンシャルプランナーなど様々な資格も取った。

 私と同じ年齢で、同じような経歴を持つ女性はほとんどいないだろう。だが、管理職にはなれなかった。
 子会社に左遷されたのち、おまけのように昇進したが、昇進後の社内電話帳に記載された私の名前は男性の課長代理の下だった。

 だがそれでも、同世代の女性と比べて恵まれているほうだと思う。
 
 たいていの女性は同じ部署にとどまり経験する業務の幅が限られる。
 総合職に転向できたことで、社内の様々な部署や業務を経験することができた。冒頭の確定拠出年金業務もその一つだ。皮肉なことに昇進せず、現場で働き続けたことで、たいていの会社に共通するスキルが身に付き、何の不安もなく定年前に退職できた。

 もし他社に入社していたら。もし結婚していたら。
やはり今も働き続けていただろう。

 今は働かなくても何とか食べて、小さな旅行をするなど好きなことをして暮らしていけてる。目指したつもりはなかったのに、結果的にFIREしてしまったのかもしれない。

「均等法体験記」を書く理由

 私が働いてきた均等法以後の時代は「失われた30年」と呼ばれる時代とも重なっている。
 現在、NHKでドラマ「坂の上の雲」を再放送をしているが、私が均等法の下、社会人として働いてきた時代は「坂の上の雲」の時代とは真逆に、坂の上から下り坂を下り続けてきた。

 なぜか。
 均等法ができた。女性の進学率が上昇し、社会進出も進み、共働きが当たり前になった。女性活躍推進とか、男女平等・ジェンダー平等とか、少子化対策とか、景気対策とか、多くの専門家が頭をひねり、多くの人々ががんばって働いて、様々な施策も打たれてきたのに。
 
 会社を退職してから考えてきた。いや、考える時間が欲しくて退職したともいえる。
 
 均等法世代で、たぶん、私と同様の経験をしてきた女性はほぼいない。
 データからは捉えきれない、体験がある。
 だから「均等法体験記」を書いてみようと思った。

#自己紹介 #均等法 #男女平等 #ジェンダー平等 #年金制度 #女性活躍推進 #少子化


いいなと思ったら応援しよう!

わかくさか🌒キャリアブレイク中
よろしければ応援お願いします!経済分野のジェンダーギャップを解消のため、いただいたチップは主に女性を支援する活動を行う団体への寄付に使わせていただきます!

この記事が参加している募集