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働き続けるバブル世代の女性第2号被保険者のデータがない件

ミッシングピース

まだ読みかけだけれど、近藤絢子著『就職氷河期世代』※では、就職氷河期世代の労働市場における立ち位置を比較するために扱う数値は、男性のみのデータだという。
女性は結婚や出産などにより仕事を辞めたり、正規雇用から非正規雇用に変わったりするなど、様々な要素の影響を考慮しなければならず、複雑になるからだそうだ。

※本省で扱う数値はすべて、男性のみのデータに基づく。(中略) 就職氷河期の前後の世代の女性の働き方の変化については第3章で改めて考察する。

近藤絢子著(2024)『就職氷河期世代』第1章 労働市場における立ち位置 24頁。中央公論新社。

そうか。

私は第2号被保険者として働いてきて、均等法と第3号被保険者の制度が矛盾していることに気づいた。そしてなぜ専門家が指摘しないのかずっと疑問に思っていた。
でも、新卒で就職した企業で働きづつけている女性の第2号被保険者のデータがないのであれば、専門家も気づきようがないだろう。

そりゃあ、私の世代が、均等法後の初めての世代だもんね。
なんか、納得してしまった。

バブル世代の女性第2号被保険者が働き続ける動機とは

そういうことなら、と『氷河期世代』とはちょっと違うが、私の周囲でおおよそ30年以上最初に就職した先で働き続けている友人知人、同僚や先輩後輩などを思い出し、あくまで推測だがなぜ働き続けるのか、働く動機を分析してみた。
ちなみに『氷河期世代』の定義では、私はバブル世代(87年~92年卒)である。
家庭状況については、わかる範囲で書いた。

結果は以下の通りである。
(なお、被保険者資格は、1986年に成立した現在の年金制度での資格)

  1. もともと一生働くつもりで、大学進学時も就職先を考えて学部選択して就職し、そのまま働き続けているケース

    • 実家が父親が会社員・公務員(第2号被保険者)、母親は専業主婦(第3号被保険者)、もしくは両親共働き(父母とも第2号被保険者)。昭和の中流以上の家庭で、父親が上場企業の役員クラスの場合も。

    • 大学の学部は法律・経済系、工学系、アート系

    • 既婚者の結婚のタイミングはばらばら。子持ちは20代で結婚

    • 出産後も働き続けているのは公務員のみ。

    • 超難関大学卒の場合、社内留学などを経験し部長以上に昇進。

  2. 高卒や短大卒で、家計の担い手である(あった)ケース

    • 実家は自営業(両親とも第1号被保険者)や母子家庭

    • 既婚者は40代で結婚、子なし

    • 役職は主任~課長クラス

  3. 昭和の価値観通り、就職して結婚退職もしくは出産退職を予定していたが、結果的に働き続けているケース

    • 実家は父親が会社員(第2号被保険者)、母親は専業主婦(第3号被保険者)という昭和の典型的な中流家庭

    • 学歴は、短大や大学(文学部系)卒

    • 結婚適齢期に出会いがなかったり、彼氏との別離や離婚経験がある。

    • 子持ちの既婚者は、出産のタイミングなどが産休・育休などが整備されてきた時期に当たっている。(バブル崩壊後の不景気の時期?)

    • 役職は主任以上、30代くらいで仕事に目覚めて熱中し、部長一歩手前まで昇進しているケースも。

友人・知人をこういう視点で分類するのは、我ながらどうかとは思った。
が、こうやって整理してみると、おおよそ40代半ば以下の後輩ー『氷河期世代』の定義では、氷河期後期世代(99年~04年卒)ー以降とはやはり異なっていると思った。

私の世代では、女の子は短大に行き、いい企業に就職して、25歳くらいまでに職場結婚・退職、といった価値観だった。この場合のいい企業とは、丸の内など都心にある有名な上場企業、仕事はお茶くみ・コピーとり、9時5時で退社、そして結婚相手にいい男がいる企業である。

当然仕事も腰掛意識が強く、勤務を続けず退職した理由は、結婚退職もいあったけれど、バブル崩壊後は仕事がつらい、このまま居続けてもいい男に出会えそうもない、などの理由で退職していった。

一方、氷河期後期世代以降に勤務先に入社してきた女性たちは、大卒で、最初から結婚・出産後も働くことを考えていた子が多かった。全員ではないが、上昇志向の高い後輩もいた。

そもそも、会社が高卒・専門学校卒・短大卒を採用しなくなった。高卒で勤務している人は派遣社員である。
派遣社員から正社員への採用制度もあったが、採用条件は大学卒業以上だった。

「均等法体験記」を書く目的

初めてアップしたnote『「均等法体験記」始めます。|はじめてのnote』にも書いたけれど、私はnoteで、均等法直後の世代での女性で新卒で入社した会社で働き続けた数少ない女性としての経験から、データからは捉えきれない「均等法時代」を書くことを試みている。

そして、均等法とほぼ同時に制定された第3号被保険者制度の矛盾点及びその影響を明らかにして第3号被保険者制度を廃止したいと考えている。
「失われた30年」に起きた様々な問題は、この矛盾が原因であることが多い、と考えているからだ。

研究者ではないので、残念ながら、完全に証明するには力不足だけど。
でもまあ、自分が納得するためにもいろいろ考えていきたい。

自分でいうのもなんだけど、この狙いは外れてはいないようだ。

前回のnote『最低賃金の男女平等?はて?』では、書いている途中で、平均給与には男女比が約2倍あるのに最低賃金は男女の区別がなく適用されること、最低賃金は、第3号被保険者の「年収の壁」と労働時間の上限から逆算したパートの最低賃金と同水準であることに気づいた。

今回のnoteでは、均等法直後の世代ーバブル世代で、大学卒業後、第2号被保険者以外の被保険者になったことがない女性のデータがほぼないことがわかった。

これでは、均等法と第3号被保険者の制度が矛盾していること、なんて世の中の共通に認識にならないよね。

他にも気づいたことがあるけれど、長くなったので今日はこれくらいにしておきます。

おまけ

ところで、私は1989年(平成元年)に就職したけど、「均等法第一世代」ではないそうだ。
「均等法第一世代」とは、一部上場企業に昭和61年~平成2年に総合職として採用された男女のことだそうで、私は大卒でも一般職だったから、「均等法第一世代」には当たらない。

じゃあ私の世代をなんていえばいいんだろう。

会社にもよると思うけど、この当時男性は高卒でも総合職だったけど、女性総合職なんて超レアだったもんね。しかも今も就業し続けている人といったら超超レア。

だけど、私の世代を説明しにくいなあ。「均等法第一世代に当たらない、均等法世代」とか?「バブル世代」だと、ちょっと意味が違う感じ。

世代有名人といえば、
「古田世代」・・・とか・・・?
なんか違う感じ。

どちらかといえば、こっちかな。
「ちびまる子ちゃん世代」。

どうだろ。


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