ユルトミリス始まる
2022年5月に再生不良性貧血(AA)の診断を受けた時、「PNH赤血球クローンがプラス」だと言われていた。このクローンが多いと「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」という病名が付き、治療が必要になるのだけど、私の場合はこのクローンが幸い少量だった為に治療の必要は無かったから、AAの治療(ウマATG 免疫抑制療法)を入院して受けた。
入院中からシクロスポリン(免疫抑制剤)+レボレード(血球数、特に血小板を増加させる世界初の経口薬)を現在まで2年半以上飲み続けている。
現在は輸血も無く、上記投薬治療を通院で受けている。
これらの薬の効果で、血球数が病気発覚時に比べたら格段に良くなっている(まだ正常値ではないけれど)
ただ赤血球だけがなかなか増えない。赤血球の正常値(女性の場合380万~480万/mm)の底辺の半分しかない。最近ではヘモグロビンも減り始めていて、このまま下降し続けたら貧血が進んでまた輸血が必要になる。
そこで担当医から「もう一度ATGをするか骨髄移植の準備が必要だ」と話があった。どちらも全然嬉しくない話で気持ちは爆下がりしていた日、担当医から電話がかかってきた。「今後の治療について話がしたい」と。
えっ?!と思ってしまった。
2週間前に再ATGか骨髄移植の話をしたばかりなのだから。
そして12月3日に受診した。
担当医は開口一番「PNHの治療を始めましょう」と言った。
先にも書いたけれどPNHとは「発作性夜間ヘモグロビン尿症」という病気。これもまた再生不良性貧血AA以上に稀少難病で、AA患者より患者数は少ない。この病気になると、造血幹細胞内でPNH赤血球クローンという正常な赤血球とは異なる特徴を持つ赤血球の集団が生産される。このクローンは、正常な赤血球とは違い「補体(免疫システムの重要な要素として生体防御に大きな役割を果たしている血液中にあるたんぱく質の一種)の攻撃から赤血球を守るタンパク質が欠損している。」
その為、新しく生まれた赤血球がPNHクローンの場合は、生まれて直ぐ破壊されて赤血球が減るのです。これを「溶血」と言います。このクローンが正常な赤血球より数が多い場合は酷い溶血が起こります。そうなるとAAと同様に貧血状態になるし、朝起きてから最初の尿から壊れたヘモグロビンが排出されて尿の色がコーラ色になる。(私の場合、尿の変色はまだ無いけれど)
体内でどれくらい溶血が進んでいるかはLDH血液検査でわかります。
私はAAになってからLDH値がずっと600前後(正常値120‐245)をキープしていたのだけど、3か月前あたりから1600以上に跳ね上がっている。これは赤血球とヘモグロビンが下降し始めた時期と重なってる。溶血が進んでいるんだなと。そして病名に「発作性~」とあるように体調を崩したり、疲労したり、寒暖差のあるところに長時間いたりすると溶血が始まる。。厄介
私の場合は、白血球数や血小板数は正常値では無いけれど十分にあるから、再ATGや骨髄移植等のヘビー級に辛い治療をする前に、PNH治療を始めて赤血球とヘモグロビンの上昇を見てみたいと担当医は言った。
実は半年ぐらい前にもPNHの治療を始めようという話があった。その時はクローンの数が減ったので治療は見送られたのだけど。。LDH値の爆上がりに今回は治療を受けようと思った。
多分皆さんは病気が良くなるならさっさと治療を受けたら良いと思うかもしれない。でもこれはかなりの決断が必要なんです。
何故?
「一度始めたら死ぬまで続けなければいけない治療だから」
だから医師もギリギリまで様子を見る。
血液疾患は悲しい。。。色んな病気に移行するから。
でも前向きに治療を受けるつもり。
治療は「ユルトリミス」という薬を点滴静注で体内に入れる。
治療の準備として髄膜炎ワクチンの接種が待っている。。