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私達移民は今
ニューヨークは「人種のサラダボウル」と呼ばれているが、なかでも私が住んでいるクイーンズの地下鉄⑦ライン沿線は、東アジアや南アジア、東南アジア、それに中南米からの移民が多く住んでいる。だから、至る所に各国の食品を扱うスーパーマーケットがあるし、タイ料理、インド料理、チベット料理、ミャンマー料理、中東料理、中南米料理のレストランが軒を連ねている。そして、そのどれもが美味しい。
これは、各国からやってきた移民たちがそこに暮らし、生活を営み、地域に溶け込んでいる証拠だと思う。
なかでも中南米からの移民が多いこの地域には、色々なステイタスの移民たちがいるのだけど、大きく分けると4つに分けられると思う。
① 既に市民権を取ってアメリカ市民になっている移民
② 合法的なステイタスを持つ(グリーンカードや各種ビザ)をもつ移民
③ 難民申請中の移民
④ 合法的なステータスを持たない移民
③の移民は、母国の情勢不安等で逃げてきた人で、米国入国時に難民申請をした人。連邦国土安全保障省が個別審査を受けて、申請結果が出るまで(数年かかる)強制送還猶予を与えられ、ソーシャルセキュリティーナンバーと就労許可も与えられて、この間合法的に滞在できる。
(先日YouTubeで日本のニュースを見ていたら、この③の移民の人達の事を「不法滞在者」と何度も言っていた。。。実際は不法滞在者ではない。もう少し学んでからニュースにして欲しいと思った。
トランプが、③の移民たちも不法滞在者だと言い始めているから、それに忖度したのかな。。)
さて、2025年1月20日に第2次トランプ政権が発足した。
トランプが重要視している公約の一つが「不法移民の摘発と強制送還」
前回のトランプ政権が発足した当時もそうだった。
クイーンズのヒスパニック系住人が多く住む地域の地下鉄駅付近で、ICE(アメリカ合衆国移民・関税執行局)の職員がヒスパニック系の人に声をかけ、一部連行しているのを見たことがある。それでも、目立った動きは最初の数か月だった。
だから今回も「見せしめ的な?」「移民たちの間に恐怖を植え付ける為に?」等が目的なのかと思っていた。
でも、今回のトランプ政権が始まってすぐに前回以上の規模の大きさ、速さで次々に拘束、強制送還していっている。
連邦政府の発表では、「逮捕歴がある犯罪者」を強制送還のターゲットにしていると言っていたが、ふたを開けてみるとどうだろう。。
実際には「犯罪歴が無い人」も拘束されているし、③の移民(難民強い正中の合法者)も「強制送還」されている。←これはトランプの発言のせい。
最悪なのは、①②の移民までもが強制送還された例があること。
ICE職員はIDを確認せずに「見た目だけ」で判断しているのか?
ICEは、連邦政府から1日1500人強制送還させろとノルマを与えられているとニュースを見た。ノルマに達さないとペナルティもあると。
だから手あたり次第拘束しているということなのか。
これは、「聖域州・都市」の1つニューヨークでも同じこと。
「聖域州・都市」とは、ICEの法執行への協力を制限する政策を取っている州・都市のこと。
それ故、これらの州・都市がトランプの連邦政府からターゲットにされている。
私はNY市長が嫌いだけど(笑)良いことを言っていた。
「この街は移民の街で、この国は移民の国だ。移民の人達の不安を和らげたい。」
聖域都市のニューヨークだから③④の移民達が多く住んでいるし、彼らへの救済措置もある。
ニューヨーク州では、「不法滞在者でも車の免許が取得できる」し、
ニューヨーク市には、不法滞在者でも「IDNYC」という身分証明書の取得や、「NYC CARE」というプログラムで、無料または低価格で医療が受けられる。
こんなニューヨークでも、ヒスパニック系の人達が街から消え始めている。
我が家の近くにある公園まえの通りには、毎朝工事現場で働く日雇い労働者を募り連れて行くバンや、仕事を求めている人達でひしめいていたのだけど、最近は誰もいない。
多分彼らは滞在資格を持たない④の移民。ICEに見つかったら強制送還だから、恐怖で外に出れないのだと思う。工事現場側も工事が送れる。
今までは、学校や教会、病院等でのICE捜査は禁止されていたのだけど、トランプが捜査できるようにしてしまった。
移民の子ども達が多く通っている近所の学校では、移民の親たち向けに「親が拘束されてしまった場合の対応」についての集会が開かれたと聞く。
移民たちが多く通院しているNYの公立病院グループでも、強制送還を恐れた患者たちが治療に来ない。命に関わることなので病院側も心配して下記文章を発表した。
日本語訳は下
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日本語訳
「ニューヨーク市健康・病院公社(NYC Health + Hospitals)からのメッセージ
私たちは、今この時期が多くの皆さまにとって困難であることを理解しています。しかし、私たちの病院、介護施設、地域医療センターは、皆さまの出身、移民の状況、性自認、支払い能力に関わらず、引き続きご利用いただけます。
私たちの使命は変わりません。それは、すべてのニューヨーカーに対して、思いやりと尊厳、敬意をもって最高水準の医療サービスを提供することです。
深刻な病気や緊急事態になる前に、必要な医療を受け続けてください。
NYC Health + Hospitalsの方針
医療を受ける際、移民の状況に関する情報の提供は必要ありません。
患者ご本人の許可なしに、または法律で義務付けられない限り、個人情報を第三者と共有することはありません。
施設を訪れた際、スタッフが保険の取得をサポートします。 もし保険に加入できない場合は、「NYC Care」プログラムにつなげ、無料または低料金で診察を受けられるようお手伝いします。
私たちは、皆さまとご家族が引き続き医療を受けられるよう、全力を尽くします。
私たちの医師、看護師、ソーシャルワーカー、そしてすべてのスタッフは、皆さまの健康を守るためにここにいます。スタッフの多くは移民の子どもとして生まれ、皆さまと同じ地域で暮らしています。誰もが、「恐れることなく、すべての人に医療を提供する」という使命に誇りを持っています。
世界は複雑ですが、NYC Health + Hospitalsは、皆さまの健康と安全を守ることに集中し続けます。
献身的に働くスタッフ、協力者、支援者の皆さまとともに、私たちはこれからも皆さまを支え、必要な医療を提供し続けます。」
今回は、中南米の人達と共に歩いて国境を越えてくる「多くの中国人移民」もターゲットになっている。姿、見た目の見分けがつかない日本人も職質の対象になるだろう。グリーンカードを持ち歩いた方が良いのか等SNSで話題になっていた。
今日全米の多くの州では、トランプの移民政策に対するデモが行われた。
どこまで突き進むのか、移民の子トランプは。