自分を理解することできっと我慢は減らせる。
10年程前、離婚し、同時に色々なものを失った。配偶者、持ち家、人間関係。その後数年間は2人の娘を育てるのに必死だったので、何かを失ったという感覚さえなかった。そして1年程前、私は正社員という立場も失った。
そして気付いた。色々失い、私自身はどんどん楽になっているということに。
失った瞬間はいちいちひどく落ち込み、自分の不甲斐なさを嘆き、不運さを呪った。失えば、失う程、必死に色々としがみつきたくなったものだ。それは特に娘たちを育て上げるという大きな大きな仕事があり、守らなければならないと思っていたものがあったからだろう。
離婚前後には集中力の著しい低下も経験した。勢いだけで生きてきたようなところがあったので、今でこそ、更年期障害の症状の一つと思えるが、当時は自分に何が起きているのか分からなかった。我慢しないで頑張る選択肢ししか私にはなかった。
だが、ありがたいことに娘達の自立のめどがほぼ立った昨今、あの頃の悲壮感は私にはない。色々と失っているはずなのに、ただただ気持ちが楽になってきているのだ。以前の私だったら最初に手に入る正社員の仕事をつかみ取りに行っていた。が、今は本当にやりたいのか?と自分に問える余裕がある。自分が失った、と思っていた物事はもしかすると実は無意識に自分から手放していたのかもしれない。
今、私は自分にとって何がベストなのか、自分は一体本当は何が好きなのか、こんなことを一つ一つ理解しようとしている。だが、自分の気持ちが楽になっているという事実があるのにも関わらず、まだ葛藤がある。
そう、それは長年に渡って縛られ続けられている”こうでなければならない”という価値観との折り合いがまだ完全にはつけられてないのだ。
散歩をする。風を感じる。空を見る。海の音を聞く。行きたいところには一人でも行く。自分を知り、理解することで我慢は減らせることを頭では理解できている。まだ存在する葛藤と折り合いをつけるには自分を理解するという修行を更に続けるしかないのだろうと思う。