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共同親権の雑感&疑問

どうも!おはようございますからこんばんわ!まで

 世の中には浮気癖(病気と表現したら良いのかな?)な人を許す人もいれば三行半を突き付けて離婚という決断を下す夫婦もいます。夫婦の間に子供がいて離婚という決断をする場合、登場するキーワードとして親権が出てきますが親権をめぐる議論の中に共同親権というキーワードがあります。今回はその辺の雑感を書いてみたいと思います。

1.そもそも親権とは?

 民法の教科書を見てみると、親権とは未成年(現在は20歳未満を指すけど2022年4月1日からは18歳未満)の行為能力を補う役割を子の親に与えることを言うそうです。と書くので権利としての側面があるように見えますが、学説上は義務としての側面が強いのが親権の特徴だそうです。(『民法7 親族・相続』(以下、民法7):pp188)婚姻中は父母が共同で親権を行使するのが原則なのですが、離婚した場合(婚姻していない)時は父母のっ法が親権者となります。これは、婚姻していない父母が共同で親権を行使することは困難であるという背景からくる民法の規定だそうです。(『民法7』pp190~191)

 2.共同親権議論の背景

 ここでいう共同親権とは文字通り別れた夫婦の双方に親権を認める仕組みで、前述したように現在の民法では離婚後は単独親権しか認められていないため法律上の仕組みとしてはありません。

 離婚後親権を持っていない方が実子に会ったり・電話を掛けたり・手紙のやり取りをしたり・旅行に行ったり等をすることを請求する権利を面会交流(面会交渉)権といい、2011年の民法改正で制度化されたとのことです。(『民法7』pp105)制度上、離婚後も実子との接触はできなくないわけではありません。だけど、共同親権の議論が沸き起こる背景にはなにがあるのでしょうか?

 一つにはこの福祉という観点があると思われます。ベリーベスト法律事務所のホームページで挙がっているコラムの中で、共同親権のメリットとして次の記述があります。

•子どもが両方の親と関われる
日本では、両親が離婚すると子どもは親権者となった親としか関われなくなるケースが多数です。面会交流が行われない例も多いですし、行われたとしても最初の数回だけで、やめてしまうこともあります。親権者にならなかった方の親が「会うとつらくなるから会わない」という場合もありますし、親権者となった親が「今の生活を乱さないでほしい」と言って面会を強く断る例もあります。 共同親権であれば両方の親に子どもを監護教育する権利があるので、同居親が一方的に面会交流を断ることはできませんし、離れて住む親も遠慮する必要はありません。自然な流れで面会交流を実施し、子どもは「両親から愛されている」という安心感を持ち続けることができます。

•離婚時の熾烈(しれつ)な親権トラブルを避けられる
日本では離婚後単独親権となるので、夫と妻の両方が親権を希望すると離婚時に激しい親権争いが発生します。協議離婚や調停離婚ができず離婚訴訟にもつれこみ、散々もめた後でようやく家庭裁判所の判決により、親権者が指定されます。そうなると、お互いにしこりが残り、離婚後の面会交流や養育費の支払いもスムーズに行われにくくなります。共同親権が認められるようになれば、離婚裁判などしなくても協議によって離婚し、元夫婦が協力して子どもの養育に携わっていくことが可能です

 離婚という夫婦の別れが子にとって親権者でない父親か母親どちらかとの別れとならないためという側面と離婚をめぐる夫婦間の親権を巡る熾烈なトラブルを避けるためという側面があるという見方もできなくはありません。

3.疑問

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 上記の図は一般的な家系図の書き方です。父母の間にある2重線は婚姻関係にある状態を指します。

 日本に今後共同親権制度が導入されたと仮定した場合、例えば離婚した父母のどちらかは結婚したけどもう一方は結婚していない状態で民法上の親権の定義内にまだ子供の年齢がある場合親権の取り扱いはどうなるんでしょうか?そのまま共同親権者で親権を行使するのでしょうか?それとも傍系という形で新しく結婚した方に親権が移り、面会交流権のような形で接触できる機会を設ける形になるのでしょうか?子の福祉という側面で議論される傾向にありますが、仮に導入された後の未来を想定した議論ができているのかな?という部分に共同親権議論への疑問を感じます。

4.最後に

 私自身は素人のため、共同親権を長らく議論されてきた方からしたら甘っちょろいと思うかもしれませんが、それでも共同親権を導入することを子供の福祉という側面で考えた場合、という時間軸だけでなく未来という時間軸まで見据えて考えないと真に子の福祉に即した共同親権議論ができないのではないか?と正直思いました。

 今という時間軸で議論するのも大切ですが、離婚という選択肢を選んだ以上夫婦関係は破綻しているという状態であるということを考えたとき、父母のどちらかは新しいパートナーと結婚したけどもう一方はしないままで親権の定義上の年齢にある状態をどう法システムとして切り抜けるのか?という視点を、私は提案したいと思います。

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