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Episode1: ゲイシャから推し活まで。日本の性産業を煽る有害なステレオタイプ
こんにちは。ジャーナリストの池田和加(旧 此花わか)2025年1月25日(土)に開催した「社会問題研究フォーラム」について報告します。
今回のトピックは「ゲイシャから推し活まで。日本の性産業を煽る有害なステレオタイプ」。昨年12月31日にThe Japan Times が掲載した私の記事がベースになっています。
今回、参加してくださったのは私を含め9人。建築会社勤務、テック勤務、ジャーナリスト、ノンフィクションライター、大学教授、ポッドキャスター、反性産業ロビイスト、コンサルタント、映画監督など様々な職種、そして、フランス、カナダ、ブルガリアと日本という多文化バックグラウンドの人々が集まりました。
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開催場所は溜池山王のハンガリーレストラン「ドブロギ」。グーヤーシャ(スープ)、ランゴーシュ(ハンガリー版ピザ)、チキンパプリカ(パプリカソースとチキンの煮込みにライスとハンガリーのパスタを和えたもの)のランチコースをいただきながら楽しく建設的なディスカッションができたと思います。
日本の性産業と社会的ダイナミクスに関する議論ポイント
■経済的背景
通貨下落によるセックスインバウンドの増加
性産業の規模は年間2〜6兆円と推定
約30万人がセックスワークに従事
■文化的ステレオタイプ
19世紀オリエンタリズム的視点の持続
芸者や混浴文化が性的解放としての誤解
連綿と続く遊郭
■法的・規制環境
法的に売春・買春は違法だが、実際は売春者だけが逮捕される
挿入だけを(表面的に)違法にしている現行の法律は、挿入以外の性的サービスを拡大し、フェティッシュ社会を構築している
セックスワーカーの搾取に対する規制が見られない
■サブカルチャーという名の色恋搾取ビジネスと依存症ビジネス
美容整形
パパ活
ホストクラブ
地下アイドル
ファン課金モデル
■社会制度的課題
社会のセーフティネットとして作用
特に若い女性がターゲットされる
性産業や色恋搾取ビジネスの公共広告による日常化
■倫理的懸念
経済的・社会的ニーズを必要としている人を搾取
性的虐待とトラウマの再演
ポルノ中毒
有害なジェンダーステレオタイプをまき散らすことで女性蔑視が進行
個人のウェルビーイングと尊厳への影響
■まとめ
簡単な答えが出て来ないステレオタイプと性産業。人権やインティマシー(親密さ)を教える教育が大人にも必要。2兆円から6兆円とも言われる巨大産業はコングロマリットにもなっており、政府機関にも入り込んでいるほど撲滅は難しい。とはいえ、合法化したオランダ、ニュージーランド、ドイツでは女性の地位が低下し、ニュージーランドでは性産業を再び違法化する動きがある。
女性の体が商品化され、色恋ビジネスや依存症ビジネスを通して性産業から抜けだせないような循環が出来上がっている社会では、当事者本人が自分の意思でセックスワークを選んでいるのか疑わしいと思います。私たち一人一人ができることは、子どもたちに自分たちの体はモノではないことを教え、性的関係の意味について丁寧にディスカッションし、ジェンダー平等や社会について学び、自分自身をアップデートしていくことではないでしょうか?
ディスカッションの後はプラムの蒸留酒「パリンカ」でEgészségédre!(エゲースシェーゲードレ!)と乾杯しました。
また次回もよろしくお願いいたします!
ジャーナリスト池田和加(旧 此花わか)
よろしければ私の過去記事もご一読ください。
https://linktr.ee/wakaikeda