SNSが変わろうとしている:Twitterの分散化方針をアナタは知っているか
今回私は2020年以降のSNSの動向を記そうと思いnoteを書き始めた。
そして今まさにTwitterはSNSの歴史的な岐路へ立っている。それは何故かを先ず語らなくてはこの話は進められないだろう。
つい先日、Twitter創始者のJack DorseyがTwitterのネットワークを分散化方針を発表したのだ。
この発表は多くの人々に衝撃を持って受け止められ、SNSをバックグラウンドから支える技術的理解の高いITエンジニアのみでなく、SNSという現代社会のコミュニティを肌で熟知するヘビーユーザー達もまたセンセーショナルにこの発表を受け止めた。
アナタがもしまだこの発表へリーチできていないとするならば私はこの件を1人のファンとしてnoteへ書き、アナタたちへ情報を共有しアナタたちのリアクションを待とうと思う。
Jack Dorseyの提言
彼の一連のツイートには大まかに以下の様な内容であった。
・将来のTwitterのため分散型SNSの新しい通信プロトコル規格を定める。
・本来Twitterは分散型ネットワークを目指していたが諸事情により中央集権ネットワーク化してしまった。
・中央集権ネットワークでは悪意あるツイートを1つのルールによって管理するのは不可能である。
・SNSは怒りや論争に注目が集まりすぎる傾向にあり、健全に管理するのは困難である。
・SNSではオススメするレコメンドアルゴリズムが重要だが、アルゴリズムは各社が独自に開発したオリジナルであり、各社によって独占され、第三者が自由に利用したり、正真正銘に完全一致するクローンアルゴリズムを開発することは不可能であり、代替も出来ない。
・ブロックチェーンという誰にでもオープンな技術を得たことにより分散SNSを実現する目処が付いた。
・1つの民間企業が独占するのではない万人が参加できる分散SNSのプラットフォームではなくプロトコルを開発することを決定し、それをblueskyと名付け新たなメンバーを雇用する。
Twitterは憎み合いを加速させた
もう認めざるを得ないだろう。
多くの人々に愛されたTwitterはJack Dorseyが望む望まないに関係なく結果として、人々の憎み合いを加速させ、対立を巻き起こし、社会へ大きな溝をいくつも作ってしまった。
私はTwitterの黎明期をよく覚えている。
Twitterが公開された当初はそのコンセプトを理解したイノベーターやアーリーアダプターが多く参加し、必然なのかその人物たちは情報技術に明るく、まるでTwitter運営側とユーザーは同じチームかのように日々Twitterのシステムを改善しようという熱意に燃えていた。
ある者はバグを報告し、ある者は新たなユーザ体験をもたらすTwitterクライアントの開発をし、ある者はTwitterの周知に動いた。無償でだ。
Twitterは日々使いやすくなり、不具合も減り、サーバダウンの頻度も目に見えて落ち着いていき、そして『チーム』の努力は実を結んで多くの人々がTwitterを利用するようになった。
ただ、現実は非情である
Twitterは多くの人々が利用するようになると、運営コストが巨額に膨れ上がり、サービスを維持するためより高い収益化とコストダウンに迫られた。
収益化のための高頻度の広告の挿入をはじめるというところまでは許容できた。しかしTwitterは更なる収益化へ向かい広告のインプレッション数を高めるため遂にTwitterAPIの制限を開始する。
TwitterAPIはTwitterへ貢献するために重要な要素であり、そのAPI制限がUserStream廃止まで至ったとき黎明期を支えた『チーム』が愛するTwitterは居なくなり『チーム』は解散した。
その後はアナタたちが知る「ファシズムだ」「アカだ」「ポリティカル・コネクトレスだ」「差別だ」「悪だ」「バカだ」「アホだ」と罵り合うTwitterである。
1つのルールはグローバルな公正を得られないからこそ分散化を選ぶ
何を嘆こうともTwitterの現状は変わらない。Jack Dorseyを中心に現在のTwitterは今ある問題へ対処しなければならないのだ。
その答えの1つとして想定されているのがTwitterというSNSの分散化ということになるだろう。
Twitterの分散化とはどういうことか?
簡単に解説するのであれば、各国各地域へ対し相互に通信し合うTwitterサーバーを設置するということである。
当たり前の話であるが、現在の世界は200以上の国と地域によって構成されており、それぞれの国と地域は歴史も文化も伝統も法律も価値観もまったく違う。
これを1つのルールによって裁き切ろうとするのは無理がある。しかし現状のTwitterは1つのルールを運用しており、そのジャッジの全責任を負う形となっている。
Twitterはアメリカで生まれたSNSなのでアメリカの歴史や文化や伝統や法律や価値観に詳しい。もし詳しくなくともアメリカ国内で専門家を容易に探せるだろう。しかしそれが他国ならばどうだろうか?難しいと理解できるはずだ。
そこで、例えば日本の歴史や文化や伝統や法律や価値観に詳しい日本人の手によって、日本にTwitterサーバーを設置して貰い、アメリカにあるアメリカ本家Twitterサーバーと相互通信して貰えばどうだろうか?
もし日本Twitterサーバーで日本人Twitterユーザーが問題ある言動を取った際、日本Twitterサーバー運営者はよく理解する日本の歴史や文化や伝統や法律や価値観に合わせたジャッジをし、そしてそのジャッジの責任を日本Twitterサーバー運営者の日本人が負うことになる。
アナタもTwitterサーバー運営者になれる
Jack Dorseyは言った。誰もが参加できるオープンな分散SNSプロトコルを作ると。
言葉通り受け取るのであれば、つまりそれは各国各地域へ対し、本家Twitterが認証して1つずつTwitterサーバーを分散するのではなく、Webサービスを運営するための知識と技術と資金さえあればTwitterサーバーを誰しもが運営できるということだ。
更に言えば実際のところ技術と知識すら必要なくなる可能性がある。Webサービスに関する技術と知識を持つ民間企業がサードパーティTwitterサーバーを用意し小難しい保守周りを請け負って月額いくらで貸し出す、サードパーティTwitterサーバーのいわゆるホスティングサービスを開始する可能性が高い。
そう多くはない資金さえあれば知識や技術に不安のあるアナタもサードパーティTwitterサーバーの運営者へとなれるのだ。
家族や友人のみを受け入れるサードパーティTwitterサーバーを設置することや、近年流行しているオンラインサロンのメンバーのために設置するサードパーティTwitterサーバーを設置することも可能、アナタの持つコンセプトやルールでサードパーティTwitterサーバーを設置することができる。
Twitter分散化の未来
前述したようにJack Dorseyの言葉通りに受け止めるのならば、資金などある一定のコストを負えるのであれば誰しもがサードパーティTwitterサーバーの運営者へとなれる。
サーバーのランニングコスト
つまりそれは少なくとも数百のサードパーティTwitterサーバー、Twitterのブランドを考慮するのであれば数千のサードパーティTwitterサーバーが登場することになる。
するとまず考えられるのはサーバーのハードウェアに性能差が起きるということ。より理解しやすい表現を使うとサーバーダウンの頻度やテキストよりはデータ量の大きい画像が表示されるまでの速度など、ユーザーが体験するTwitterの品質がサードパーティTwitterサーバーによって差異が生じる可能性が高い。
当然ながらアナタが運営するサードパーティTwitterサーバーの品質が高ければユーザーは評価しアナタが運営するサードパーティTwitterサーバーを利用したいと考えるが、高性能なサーバーは当然ながら維持するためのランニングコストが非常に掛かるという欠点がある。
ランニングコストを抑えようと低性能なサーバーを採用するとユーザーが体験する品質は下がり、ユーザーはアナタが運営するサードパーティTwitterサーバーを利用したくなくなるだろう。
難しいのは性能とランニングコストによる品質確保のバランスであり、その絶妙なバランスを取れるサードパーティTwitterサーバーへ結果的に人気が集まるはずだ。
しかも注目すべきはアナタがもしサードパーティTwitterサーバーのホスティングサービスを利用したいと考えた際、ホスティングサービスの選択肢は何も日本国内のみでないということだ。
人件費や電気代の安い新興国のホスティングサービスを利用すると、日本のホスティングサービスと同一性能サーバーであっても新興国の方が月額いくらが安くなる傾向にある。同一サービスに関する新興国と先進国の価格差は既にIT業界で起きていることなのだ。
ただ当然ながら日本以外のホスティングサービスを利用すると日本語によるサポートが得られなくなる。時差によるサポート受付時間の問題もあるだろう。そこに問題を感じるのであればホスティングサービスの他に利便性や安心感も買うという思考が重要になってくる。
サーバー対立
数千のサードパーティTwitterサーバーが登場し、そのコンセプトやルールはサーバー運営者に委ねられるということは説明した。
そのような状況下でほぼ間違いなく起きるのは、特定の政治および社会思想の持ち主のためのサードパーティTwitterサーバーの登場という現象だ。
私も本音を言えば書きたくはないが明確に示すため敢えてオブラートに包まずそれを口にするならば「ネトウヨファシストサーバー」や「日本型ネトフェミサーバー」「反自民サーバー」「著作権戦士サーバー」と揶揄されるようなサードパーティTwitterサーバーが登場する。
これらのサーバーが対立を始めるのは火を見るより明らかで、Twitterの分散化方針はこれをどうにかする為に発想されたことであるはず。
しかしながらこの現象はTwitterが分散化することによってある程度抑えられるという予想がある。何故ならば、Webサービスを運用するサーバーにはURLドメインブロックという機能がある為だ。
現在のTwitterは特定のユーザー単位でユーザーアカウントをブロックすることが可能であるが、Twitterが分散化するとURLドメインブロックの機能を用いることで、サードパーティTwitterサーバー単位でブロックすることが可能となり、特定の政治および社会思想で成立したサードパーティTwitterサーバーに集まるユーザーアカウントすべてを1度にブロックできる。
対立するサーバーは双方が双方をURLドメインブロックするようになるであろうし、あまりにも対立が酷い場合、おそらくはアメリカの本家Twitterサーバーが対立する双方をURLドメインブロックという両成敗を実行する。
もしかすると日本の価値観では対立するサーバーのどちらかが正しいかも知れない。しかしながらアメリカの価値観ではどちらも悪いと判定される可能性は捨てきれないのである。
結果的に本家Twitterサーバーから『破門』された双方は、争いをしない善良なサードパーティTwitterサーバーユーザーの目に入らなくなっていく。
ここから理解できることはサードパーティTwitterサーバー運営者は本家Twitterサーバーから『破門』を言い渡されないよう所属するユーザーを管理する必要があるということだ。
言論の自由とはブロックスピーチを拒否する自由のことである。これをフリースピーチと呼ぶ。
しかしながら無制限なフリースピーチは誰かを傷つけられる可能性があり、だからこそ他者を想いやり言葉を選ぶ。これをセーフスピーチと呼ぶ。
サードパーティTwitterサーバー運営者は所属するユーザーへ対し言論の多様性を奨励する必要があり、Twitterは分散化をすることで多様性のあるSNSにしようと考えているわけだ。
Twitterがメインコンテンツでなくなる未来
Twitterが分散化をすることで予測されることは他にもある。それこそがTwitterのサブコンテンツ化だ。
Twitterが作ろうとしているものはプラットフォームではなくTwitterが分散化するための通信プロトコル規格だ。
これはつまり世の中に様々な形式のTwitterクライアントが存在するように、分散化したTwitterでは様々な形式のサードパーティTwitterサーバーが登場することを意味する。
これを更に理解しやすく解説するのであれば、自動車には軽自動車があればスーパーカーと呼ばれるリッチなものもある。今後登場するサードパーティTwitterサーバーも同様にソフトウェアとして大きなものから小さなものまで存在するようになるということだ。
この中で小さなサードパーティTwitterサーバーは便利な機能は少ないものの、まるで軽自動車のように低燃費でサーバーの処理能力を大きく使う必要がなく、Twitterを利用するということがメインではなくメインコンテンツを補完するためのサブコンテンツとして運用される。
より実態に則したソリューションを例に挙げるならば、ブログのコメント欄がTwitterになる、レビューサイトの投稿欄がTwitterになる、企業Webサイトのサポート窓口がTwitterになるということである。
メインコンテンツとして運用されるWebサービスが運営者とユーザーまたはユーザーとユーザーの双方向コミュニケーションを想定しているものであれば、小さなサードパーティTwitterサーバーは最適な選択肢となり得る。
昨今はスマートフォンゲームアプリが流行している。スマホゲーム内ではプレイヤー同士がチャットによるコミュニケーションを取れることは珍しくないが、このチャットがTwitterになるのであればどうだろうか?
アナタはそのスマホゲームに興味はあるがゲーム内の雰囲気が事前にはわからない。しかしながらチャットがTwitterであればゲームをスマホへインストールする前にゲーム内の雰囲気がTwitterを通してアナタは知ることができるのだ。
ゲームだけではない。あるファッションアイテムのレビューが知りたいときオープンで透明性のあるレビューをアナタはTwitterを通して知ることができるし、そのレビューサイトへアナタが購入したファッションアイテムのレビューをTwitterを通して書き込むことができる。
今までの常識であればTwitterはそれをメインコンテンツとして利用するものだった。しかしながらTwitterが分散化することによってTwitterはサブコンテンツとなり、Twitterそのものが双方向コミュニケーションを取るためのインフラとなるのだ。
私が分散化するTwitterになぜ詳しいのか
ここまで私のこのnoteを読んでいただけた方には不思議だろう。なぜこのライターはここまでまざまざと分散化したTwitterを予知できているのかと。ただそのカラクリは言ってしまえば単純なものである。
分散SNSには前例があるのだ。
分散SNSの国際標準プロトコル規格ActivityPub
インターネットで使われる様々な技術の規格を定めるW3Cという団体がある。
そのW3Cは全く違うSNS同士が双方向で接続するための通信プロトコル規格ActivityPubを定めている。Twitterがこれから作ろうとしている通信プロトコルはActivityPub互換ではないようだ。
実は私がこれまで語ったことは、ほぼすべて既に存在するActivityPubを採用した分散SNSで語られ、そして実際に起きてきたことなのである。
ActivityPubで起きた政治・社会思想対立
ActivityPubが採用され現在最もシェアのある分散化SNSにMastodonと呼ばれる分散SNSサーバーがある。
Mastodonはニコニコ動画を運営するドワンゴや、イラスト系SNSコミュニティのPixivの資本が入っていたのでもしかするとご存知の方が居るかもしれない。
そのMastodonはAGPLというライセンスでオープンなソフトウェアとして無料で公開されており、Webサービスを運営するための知識と技術と資金さえあれば誰でも運営できるのだ。例えそれが社会が怪訝な目を向けるような集団でも。
それが実際に起きてしまったのが表現・言論の自由を無制限に実行する、つまり極限のフリースピーチを目的としたアメリカのSNSコミュニティGabである。
Gabはその表現・言論の自由からアメリカのオルタナ右翼と呼ばれる社会思想を持つ集団の巣窟と化し、ユダヤ教礼拝堂襲撃予告に使われてしまった。
そのことからアメリカのインターネットでは差別主義者のSNSコミュニティと認識され非難に晒された結果、収益源であったAppleやGoogleのアプリストアから排除された。
Gab運営はサービスを維持するためコストダウンのために無料で利用可能なMastodonのソースコードに目を付けてGabをMastodon互換の分散SNSサーバーに置き換えたのだ。
当然ながらMastodonコミュニティはそれに不快感を示したが、AGPLライセンスには特定の思想者が利用してはならないという規定は一切無いためGabを排除することはできない。
可能であったことは各々のMastodonサーバーの運営者がGabをドメインブロックすることであった。
Pawooの鎖国
Pawoo(パウー)はイラスト系SNSコミュニティであるPixivが設置したMastodon互換の分散SNSサーバーである。
分散SNSサーバーであるMastodonを設置する際にすべてがMastodonと名乗ると紛らわしいので、Pixivは自身が運営するMastodon互換の分散SNSへPawooと名付けた(早い話がWebサイト名だと思えば良い)。
Pawooはイラスト系SNSコミュニティという特性上、クリエイティビティ溢れるイラストレーターが多く参加しておりイラストレーションの表現の自由に対して非常にセンシティブである。
Pawooへ参加するユーザーは描きたいものを描き、そして公開するわけだが、その公開されたイラスト作品は万人が受け入れられる作風とは限らない。
その結果としてPawooから流れる一部のイラストが海外のMastodon互換分散SNSサーバーで問題視されるという事件が起きた。Pawooはイラスト系SNSコミュニティなのでイラスト公開の頻度は想像が容易だろう。
それを認識したPawoo運営のPixivはイラストを含んだメディアが他のActivityPubを採用する他の分散SNSへ流れ出ないように、自身が運営するPawooをカスタマイズしたのだ。
これは「Pawooの鎖国」と呼ばれている。
理解しやすい表現をすると、画像を含んだメディアに限定した逆ドメインブロックである。
このPawoo運営による他の分散SNSサーバーへイラスト作品の配信を強制的に止めてしまうという決定にPawooへ参加するユーザーたちはどういう反応を寄せたのか?
それは好意的なものだったのである。Pawooへ参加するユーザーは口々に「住み分けは大事」と反応を寄せたのだ。
それぞれが国と表現される分散SNSサーバ
分散SNSは分散SNSサーバー運営者が自由にルールを定めることができる。そして各々の分散SNSサーバーを利用する参加ユーザーは各々の分散SNSサーバーのルールや文化を吟味して利用する分散SNSサーバーを選択する自由がある。
Gabを名指ししてドメインブロックするのも、Pawooが逆ドメインブロックするのも、それぞれの分散SNSサーバーが定めるルールであり、現実の国家がそれぞれ独自の法律を定めるのと同じく自由の権利であるのだ。
Mastodon創始者の過ち
これらそれぞれ分散SNSサーバーがルールを自由に定められる権利が一時脅かされたことがある。
ActivityPub互換分散SNSサーバーMastodonの開発・創始者であるEugen Rochkoは前述したGabのMastodon移行問題が発生した際にMastodonクライアントアプリケーション開発者へ対して各々のMastodonクライアントアプリケーションがGabをブロックするようにと要請とも取れる煽動をしてしまったのだ。
アメリカのオルタナ右翼の巣窟と化しているGabが不快であるというのはMastodon創始者Eugen Rochkoの自由意思であり、その自由意思は脅かされるべきではない。
しかしながらGabを不快な存在であると判断するかどうかは、それぞれの分散SNSサーバー運営者およびMastodonクライアントアプリケーションを利用するユーザの自由意思であり、Eugen Rochkoが決めて良いものではないのだ。
Mastodonコミュニティはその観点からEugen Rochkoを糾弾した。
勘違いしてならないのはMastodonコミュニティはGabを擁護しようとしたわけではなく、Mastodonコミュニティはルールを定められる自由を擁護しようとしたのである。
ActivityPubは万人が参加する自由があり、その意思決定の自由も尊重されなければならないのだ。
現在のTwitterでは考えられないほど高度な自由観であろう。そしてTwitterがなぜ分散化を目指したのかもよく理解できるはずだ。
更に言えばTwitterの『チーム』から抜けた者たちが現在どこに居るのかも自ずと想像が可能であろう。
Twitter分散プロトコルと競合するActivityPub
ActivityPubは明確に今後登場するTwitter分散プロトコルと競合する。
つまり、分散SNSへ興味のあるアナタたちは既に運用されているActivityPubへ投資するか、今後登場するであろうTwitter分散プロトコルへ投資するか決断に迫られている。
もちろんTwitterのブランド価値を考えれば、Twitter分散プロトコル一択のような考えを持ってしまいがちであるが、Twitter分散プロトコルはアナタたちが利用できるまで年単位の時間が掛かることをJack Dorsey自身が言及している。
そして繰り返すがActivityPubはもう既に運用されており、SNSというWebサービスへ対し技術的に高い理解を持つイノベーターやアーリーアダプターたちの支持を集めている現状があり、そしてActivityPubをサブコンテンツにする応用や、分散SNSとして運用するノウハウはこれもまた既にある。
例えばActivityPubを用いて全く新しいWebサービスを立ち上げるという草案があれば、それは即日プロジェクト化できるであろう。それくらいActivityPubは分散SNSプロトコルとして実績が既にあるのだ。
何よりもActivityPubの凄さはActivityPub互換分散SNSとして現在わかるだけでも200万アカウント以上存在することにある。
これは何が凄いのかと言えば、Webサービスの開設当初は当然ながらユーザー数はゼロなのである。しかしながらActivityPubへ対応することによって即日200万アカウントのユーザーを得られてしまうのだ。
Twitter分散プロトコルが完成さえすると億単位のアカウントが得られるのは間違いない。しかしそれはJack Dorseyが言うように数年後の話なのである。流れが異常に速いインターネットの世界で数年は永遠とも思えるような長さだ。
もしTwitter分散プロトコルの登場を待つとして、その間にActivityPubが分散SNSの覇権を握ってしまう可能性は捨てきれない。
だからこそ分散SNSへ興味のあるアナタは決断しなければならない。時は金なりという諺に従うか有名ブランドを信じて待つかを。
私はアナタたちへこのnoteを通じて情報を共有しアナタたちのリアクションを待ちたい。
参考リンク
Jack Dorseyの当該ツイート日本語翻訳
テック系メディアによるTwitter分散化の報道
ActivityPub仕様日本語翻訳
Gab問題が言及されている記事
Pawoo鎖国に関する情報
様々なActivityPub互換分散SNSサーバーの情報
ActivityPubを中心とした分散SNSコミュニティが主催したアドベントカレンダー2019年版
写真利用ライセンスによる表記
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