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南紀異界ホテル 作 松永 恭昭謀 登場人物 私 支配人 女 1 女 ああ、やだやだ。 女 パンダと温泉、この二つで全国的に有名なこの街は、観光に飽きてしまうとやることない。めったに顔を合わせない父親が、急に旅行に行こう。っていうので、なにやらかんやら日頃の罪滅ぼしかよ。しらんけど。しかたがないない、まあパンダを見れるし、いいかいいかと来てみれば、ああ、やだやだ。本当はこの街で仕事があるついでで、父親はクソホテルに、お金と観光クーポンと観光雑誌、それに趣味の悪
御成愛式目 登場人物 おゆり 16歳 与吉 16歳 吉村 エリ 16歳 古瀬 翔(ふるせ しょう)16歳/巨勢 新造(こせ しんぞう) 時と場所 江戸時代、元号でいうと寛文10年(西暦1671年)頃の農村。 夏頃の、河川敷と、与吉の家。 1 祭りばやしが聞こえてくる。 エリ ふぁ~~(大あくび)。 翔 もしかして、つまらない? エリ いや、まあ。 翔 吉村さん、お祭り好きだって。 エリ 好きだけど、これって、なんていうかお祭りなの? 翔 いやいやいや
アスファルト 作 松永 恭昭謀 登場人物 語り モグラ 女 犬 フクロウ 1 語り モグラはとても腹を立てていました。鼻がもげるような嫌なにおい、頭にゴンゴンと響く機械の騒音、それに体をじりじりと焼く熱。それは地面の上で人間がアスファルトを敷いていたのでした。いくら鳴いても喚いても、工事は止まるわけがありません。モグラは穴の端の方に横たわる女を蹴り飛ばしに行くことにしました。 女 お久しぶり。 モグラ やっぱりまだいた。 女 ええ、私はもう動けないから。