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一時金支給へ生産者さんを巻き込む方法

昨日、緊急事態宣言を起因とした売り上げ減少に伴い、飲食店向けの業者の支援策として一時金支給の発表が行われました。

僕たちのお店も飲食店向けに割箸を卸しているので、当然販売量が減少している状態です。正直なところ少しでも支援してくれるのはありがたい話でした。

ただし、「規模感」や「支援の範囲」の線引きがとても難しいところに踏み込んだなあ・・と思います。

どうしようもないことなのですが、政府の視点から見た「データ」のソースと「実体」とが見事に乖離している状態が露呈してしまっています。

端的な話、このあとものすごく「モメる」と僕は思ってます。

ここで、飲食業の全体像をまとめてみましょう。

お客様側からの視点にたつと、

(飲食店)→(お客様)

というわかりやすい構造がみえますね。

今回政府としては、緊急事態宣言で強調されている「飲食を伴う店」への規制をかけました。

簡単にいうと「飲食業」もしくはそれに準じる「業種」について規制と前回よりも手厚い支援を発表したわけです。

これ自体はそこまで問題になることではないと思ってますし、感染防止への協力という意味での効果もかなりあるのではないかと思います。

さて、論点はここからです。

今回は支援対象を「業種」により限定しているんです。

飲食店さん側から見たフローを次に見てみましょう。

(食材卸売業者等取引業者)→(飲食店)→(お客様)

プレイヤーが追加されました。

例えば、焼き鳥屋さんに行ったとしましょう。

「卵黄のせ、こだわりつくね」「店主自慢のサラダ」「おまかせ焼き鳥5種盛」「焼きおにぎり」「無濾過生原酒の日本酒2合」

をオーダーしました。これはおいしそうです。

オーダーしたメニューをつくる腕自慢の店主が作ってくれる先には、お店にお肉や卵、野菜、お米、日本酒を卸している業者さんがいるわけです。

あ、もちろん箸もね。

今回の一時金の支援が発表された背景には、このことをお話ししてくれた飲食業界のみなさんがいてくれたおかげだと思っています。

ただし、、もうみなさんお分かりですよね。次は僕たちの視点から見たフローを見てみましょう。

(生産者さん)→(食材卸売業者等取引業者)→(飲食店さん)→(お客様) 

新たなプレイヤーが登場します。生産者さんです。

僕たちも純然たるメーカーではありません。奈良県や石川県の生産者さんたち・輸入物であれば輸入業者さんから販売する商品を仕入れています。

今回の措置で僕たちは多少の支援を受けるのかもしれませんが、生産者さんたちは含まれません。飲食店に卸している・使ってもらっているという証拠が手元にないからです。

生産者さんの受けるダメージの大きさは相当なものだと考えられます。

日本酒を例にとってみましょうか。

店で飲まれる日本酒が少なくなる→(ていうことは)飲食店から酒販店へのオーダーが減る→(ていうことは)酒販店から蔵元へのオーダーが減る。(ていうことは)蔵に未出荷の在庫が貯まる。(ていうことは)作ったお酒が資金化されない。(ていうことは)運営や来季の酒米購入に影響が出る→(ていうことは)酒米農家へのオーダーが減る→・・・

日本酒の瓶には一升瓶(1.8L)と四合瓶(720ml)の規格がスタンダードで、飲食店向けの多くは一升瓶での納入です。
どのくらいの影響になるかは期間によるかと思いますが、一升瓶の動きは鈍化することが容易に見込まれます。

僕は個人的に火入れをしないフレッシュな「生酒」が好きなのですが、今回は貴重なものになりそうです。
大好きな蔵の「南部美人」さんがスーパーフローズンという新しい製法で生酒を保存する方法を編み出していますが、通常の生酒については冷蔵で寝かせておくしかなさそうです。

ちょっと話が脱線してしまいました・・が、このようにしわ寄せが生産者さんに偏ってしまうのではないかと危惧しているのです。

今回の一時金支給の件について、具体的な対象が明確になっていませんが、僕としては対象外になりそうな生産者さんたちを応援したいです。

おそらく生産者さん単独の手続きでは今回のケースだと支援を受けられないでしょう。そこで私なりにどうしたらカバーできるのか考えて、フローを作成してみました。

① 取引業者側で国からの一時金をもらう手続きをして、支給を受ける。(支給を受けた証拠を得る。)
② 業者サイドが生産者さんからの「納品書」「請求書」などと国から発行された「支援通知書」のコピーを用意する。同時に生産者さん側も「売上減少」の証拠を用意する。
③ 生産者さんサイドで支援を受けた業者が用意した「支援通知書のコピー」(支援を受けた取引先であるという証拠)と納品書類のコピー(実際に取引している証拠の為)を元に支援手続きをする

時間差が生まれてしまうけれど、余地があるのではないかと思います。


最後に・・・ 

今回の一件で、自分たちのお店の営業も大変なことになっているさなか、僕たち業者のことを想って声をあげてくれる飲食店オーナーさんたちに代表して御礼を申し上げます。

そして、彼らが僕たちにしていただいたことと同じように僕もサプライチェーンの上流である生産者さんたちのことも発信しなくてはと考えて、このような形でまとめてみることにしたのです。

どれだけの方が読んでいただけるのか分からないし、つたない文章なのですが、賛同できるものがありましたら、

友達のお話のネタにしてみたり、デリバリーのお弁当を食べながら「生産している人もいるんだよなあ・・」と思ってみたり、もちろんこの記事をシェアしてもらってもいいのですが(笑)、行動に移していただけたら嬉しいのです。

怒りや苛立ちではなく、優しさや友愛が今日より明日の世界に増えていますように。

はし藤本店 若旦那 拝






埋もれてしまっている宝石がたくさんあるように思います。文化だったり、製品の場合もあるけれど一番は人間の可能性です。見つけて、発信してよりよい世界を共に生きましょう。