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闘魂三銃士コンプに19年かかった話③

蝶野さんへの道

橋本真也さん、武藤敬司選手と仕事で撮影し、三銃士コンプリートへ王手をかける私なのですが、「蝶野正洋」様はノールート。
一体どうしてたどり着けばいいものやら・・。
待つと決めたので、1年に2.3回思い出すくらいの感じでのんびりしておりました。
ちなみに、私が決めた仕事は「プロレスのリング上」というしばりです。その縛り外しちゃうと、多分できちゃうし、それはなんか違う感がすごいあって、「リング上」限定にしました。
カメラマンをやっていると、芸能人やミュージシャンを撮影する機会は結構あります。(だからこそミーハーじゃなくなっていくんだけども)
私は音楽にも疎くて、めちゃくちゃ好きとか、見てみたい人はプロレス界にたくさんいるので撮影自体は結構気負わずに挑めます。

話はそれますが芸能の撮影が普段のいろんな撮影と違うところは「規模感」ですかね。とにかく人が多い。売れっ子ならなおさら。
スタイリストさん、ヘアメイクさんとチームで一日動くことがあるようで、どわっと来てワサササササーーーっとすごい勢いで準備してはい出来上がり、みたいな感じです。なので、その方と初めましての場合、
クライアントとカメラマン以外はチームワークが出来上がってる事が多くて、以下にそこに自然に溶け込んでやってくか、みたいなところが難しさとしてはあるかなあ、と。
あとは欲しい写真がだいたい決まっているので、そこを外さないように
自分の色がでるように撮影していくスキルが必要ですね。
ミュージシャンとかはイメージが必要なので、本人のイメージに沿った写真をその場で撮影していくとか。
プロレスは逆に少数精鋭。
写真に対してもそこまで細かくない印象があります。
イコール、写真の評価は結構自分の腕にかかってるところがあります。
不安な点は全て聞くこと。みんな忙しくしているので、とにかく捕まえて、
何のための撮影か、どれくらい点数が必要か、とかとにかく自分で詰める必要が多いですね。どっちがどっちもなくて、それぞれの立ち回りが全然違うって感じかな。

話は戻って、小蝶野正洋とか、蛾野正洋とか、蝶野出来事とか、偽モンに関しては知り合いにうじゃうじゃいるものの、ご本人ルートだけが異常につながらない日々をすごしておりました。
蝶野さんの会社「アリストトリスト」さんにも知り合いはいたものの、
「お声掛けいただくまで動かないスタイル」だったので
動かず騒がず刀は磨いて・・・・・

で、そんなことしてると時は流れるわけです。当然ね。


終わりはある日突然に・・・

昨今の話です。プロレスリング・マスターズなる興行が人気だと聞きました。
武藤敬司選手が中心となり、現役、引退問わず(これは武藤選手がおっしゃってました)往年人気を博した選手がとにかく出る興行で、入場曲だけで会場が大爆発、そして酔いしれる、プロレス好きなら誰もが一度は通った人気レスラー達が一同に会すというそれはそれは人気の興行で、チケットはいつも即完売。
出場選手は、藤原喜明選手、藤波辰爾選手、平成維震軍etc・・・とにかく豪華豪華。
一度私も行きましたが普段のプロレス会場とは客層も違う感じで仕事帰りのサラリーマンが多かったように思います。みんなプロレス少年に戻ったような顔で今か今かと開始を待ちわびていた風景が印象的でした。

さて、そのマスターズと蝶野さん、そして私がこれから1本の線でつながることになります。


2018の冬のある日、アリストトリストさんから連絡がありました。
「今度マスターズに蝶野が出るので、ぜひオフィシャルとして撮影をお願いしたい。」


つつつつつついにキターーーー!!!!結構あっけなくキターーーー!!!


宮「え?試合されるんですか?」
ア「いえ、メインでT2000が出ます。そのマネージャーと言う形で参加するので、そこを撮影してほしいです。」
宮「なるほど!」

ついに、私のコンプリートまでカウントダウンが始まりました。


コンプリートの瞬間ははっきりいって控えめです

プロレス興行において個人のオフィシャルというのはなくはないのですが、普段はほぼない、に等しいです。でも、マスターズや、私がオフィシャルをつとめた「デストロイヤー追悼記念興行」など、やはりマスターズが揃うような大会ですと個人オフィシャルがちらほら存在します。

個人的には人生初の個人オフィシャルでそれが蝶野さんになるとはひとしお・・・・。そうして、マスターズ当日を迎えるわけです。

マスターズは行かれた方はわかると思いますが、

とにかくカメラマンが多い!!!!!!

リングサイド正面だけでは場所が足らず、サイドにまでカメラマンがいます。びっちりと。
普段お世話になっているカメラマンの面々も揃いに揃っていて、
おそらく東京のリングサイドカメラマンカタログみたいになっております。
控室前のマスコミたまり場で待機していると往来するマスターズの面々。
みんな週プロで見た人ばっかり!
選手だけでなくマスコミもマスターズ状態。この興行に日本のプロレスの歴史があらゆる場所に散りばめられております。


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ちなみに齋藤彰俊選手も平成維震軍で出ていたので、撮影させてもらいました。かっこいいいいーーーー!

そしてそろそろメイン。

T2000のメンバーが出たあと会場がシーンとなり、鳴り響くCRASH
会場が一気に盛り上がります。これ以上ない声援と手拍子で後楽園が揺れます。さすがマスターズ!

そしてご本人登場。
オフィシャルとして一生懸命その姿を撮影します。
眩しい・・・。

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リングインからのマイク。会場が息を呑む。一体何を話すんだろう。。。

蝶「みんな年くってんだよつつっっっ!!!!!」

蝶野流のマスターズへのマイクでした。
そうだ、TVでみていた蝶野さんはいつもこうしてズバッと本質をつくような事を言う選手だった。
そして思う。

「コンプリートしたー・・・・」

私が今、闘魂三銃士をリング上での撮影でコンプリートしたことなど
もちろん誰も知らない。
ただ異常な興奮と充実感、感無量感に浸りながらシャッターを切った気分は、橋本選手を撮影した学生の頃に似ていた。
まだここで写真を撮ってられることに感謝しつつ、一瞬を追いかける。

もちろんマスコミなので、無表情で淡々と。
でもめちゃくちゃテンション上がってた。
こんな日が来るとは思わなかったわけで、学生の頃の自分に教えてあげたい。

「闘魂三銃士を自分のカメラで収める日がくるよ。あと、新幹線のチケットはちゃんとチェックしとけ。なくすから。」

試合は嘘じゃなくあっという間に流れ去った。
目の前のことがあまりにも早かった様に感じられたから。
リング上の豪華なレスラー達、大歓声のお客さん、ひしめくリングサイドカメラマン、そして最後の三銃士蝶野さん。
何もかもが普段している撮影と違う感じで冷静さを欠かないように必死になっていたからいつにもまして記憶がなかったが、自分のカメラにはちゃんと残っていたようで、安心した。
そして私の夢も無事に叶った。
その日はつきなみな言い方だが、胸がいっぱいだった。

心の中で壮大な物語を

試合後にアリストトリストさんへお礼と報告を。

宮「今日、実は闘魂三銃士をコンプリートできたんです。」
ア「え?いままで撮ったことなかったの?」
宮「ないです。ないです。なので、めっちゃ嬉しかったです」
ア「そうなんだ!良かったね」

伝えてもピンと来ないほど、私にだけ壮大で私にだけ価値がある。
誰しも1つくらいはこういうことを胸に秘めていると思う。
がむしゃらに追いかけてもいいし、じっと待ってみるのいいと思う。
もし運命というものを信じているのであれば、
縁が必ず向き合わせてくれるように思う。


大事なのはいつも心のなかにおいておくこと。
壮大に、繊細に。


あとひとつ。19年かけてきたと散々書きましたが、どうやら長くても18年間の話だったようですね。写真をみて時間軸を計算して気が付きました。大変失礼いたしました。テヘペロリン。


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