若葉荘A 葉っぱの裏側

若葉荘A 【葉っぱの裏側】

私はただ、前を向いて進めているのでしょうか。

はなはだ疑問です。

この町にきて、どのくらいの時間がたったでしょう。

あの事件から、10年ほどでしょうか。

私は、この町では小さなカフェを持っている。

萌木町(もえぎちょう)では、住人が住む際に、つきたい職についてのアンケートがあり、事前アンケートをされ、具体的であれば、その職につくことができる。

しかし、その分の若干のの税額が多くなったりと損する部分もあるんだが、人間関係を気にせずに個人経営できるのはいいものだ。

父と母の影響で幼いころから、ひっそりとしたカフェは経営までわかっていたため今回のように事業計画書を出すのも簡単だった。

都会の生活に疲れ、、、、田舎に帰った私を優しくコーヒーの匂いが包んでくれた。

今日も一日、がんばろう。

「ちょっと良いですかな。」

大きい老紳士に声をかけられた。柔和な表情で帽子を抑えながら、熊のカチューシャを着けた女の子を抱き抱えている。

かわいい、、お人形さんみたい。

「なんでしょう。お店はもう少し、、、後二、三分くらい開きませんよ?」

老人は、少し驚いた表情で顎に手を当てこういった。

「ご名答。見事ですな。やはりそれほどにここのシフォンケーキはおいしいのですかな?」

「いえいえ、そこまで自慢できるような代物というわけではないですよ。最近、ニュースでたまたま取り上げえていただいて、その類の質問が多いだけです。お孫さんとおじいさん良かったら椅子お出ししましょうか?」

抱き着いていた女の子が、地面へ降りてスカートを少し払い裾に手を添え、こういった。

「それには及びません、爺様はどこも悪くないですし、私も、今日の陽気を花壇のお花と楽しみますわ。」

案外大きい、小学生低学年くらいだろうか。育ちの良い挨拶だ。老紳士は手を口で覆い必死で笑いをこらえている。

「上手な挨拶ありがとうお嬢さん。では、もう少し待ってね。」

では店の準備を続けよう。

一方、老紳士と幼女はというと、、、、、

「さっき笑ったかしら?」

「全然笑ってない!『今日の陽気を花壇のお花と楽しみますわ。』とか全然笑ってない!」

「いうなーーーー!!」

「まあでもわしも結構恥ずかしいからな?我慢してちょ。兄さんの調べで今回、
『葉っぱの裏側』店主 七星 八雲(ななほし やくも)を確保する。これだけしっかりやって帰ろう。」

、、、、、さて、開店は10:00ゆったりできるのは悪くない。

「いらっしゃいませー」

声はかけるが、先ほどの二人。子供用の椅子は必要なさそうですね。

「店の方、おすすめはありますかな?」

ご機嫌な顔で、聞くものですね。本当に楽しみにしてくれているのでしょう。

「この時間は、開店から一時間しかやってないモーニングや、シフォンケーキセットがおすすめですね。」

老紳士は、モーニングのパスタを指さした。

「モーニングはトマトソースとジェノベーゼソースから選べます。」

顎に手を当て少し沈黙し、老紳士はよく悩む方なのですね。肉は衰えないのでしょうか。
「では、ジェノベーゼでお願いしよう。」

「ではミネストローネとサラダもお持ちしますね。ドリンクはホットをアイスはどちらにしましょう。」

ドリンクはコーヒーですが、ホットがいいと思いますね。

「ホットでお願いしますじゃ。」

いい選択ですね。体はあったまるほうがいいですね。

お孫さんは真剣に悩んだ結果シフォンケーキにするようだ。

「お嬢さんはチョコはお好きですか?」

ポリフェノールはリラックスする作用がありよく眠ることができるのですよ。
健やかな発育にはかかせませんね。

「ええ!!目がありません!」

是非是非、かけてください。

「では、上から回しかけておきますね。飲み物はココア、コーヒー、オレンジジュースだとどれがいいですか?」

どれがお好きなのでしょう。コーヒーはないとして、、、、。

「コーヒーでお願いします。」

以外ですね。てっきりココアかと。

「大人なんですね。」

少し焦って、どうしたのでしょうか。

「、お、お砂糖とミルクもお願いしていいですか?」

「そうですよね。勿論ですよ。」

なぜか老紳士も胸をなでおろしていますね。不思議です。

「店主、一つお聞きしてもよいかね?」

怪訝な顔をして老紳士が尋ねる。

「夢はあるかな?急な質問すまない。」

急な質問ですね。夢ですか、、、あまり考えたことがなかったですね。今、この現状において満足しているかといわれると困ります。家族と一緒に生活をして、仲間と一緒に食事をする。そういった選択肢も事件がなければあったのでしょう。10年前の旅客船沈没事件船の名前から通称「笹船事件」は、199人の死傷者を出す事件だった。しかし、そんなに規模の大きくないこの事件は世間にもあまり認知されていない。事前の募集で子供の定員をカウントしていなかった旅行会社のミスによるもので、私は、その事件の唯一の生き残りである。

こんな私の夢は、父と母との再会である。

「、、、そうですね。しいて言うなら、モップが欲しいです。最近は拭き掃除だけだと取れない汚れも多くて困ります。」

そうゆうと老紳士は、ちょっと寂しい顔をした後に大きく笑った。

「はっはっは、それは良きことだ。きれいな所での食事はいいものだしな。すまない、余剰なことを聞いた。おとなしく待っておくよ。」

怪訝な顔で、女の子が口を開く。

「少し窓を開けてもいいですか?掃除の匂いが、、、。」

あー、、、確かに、換気をしていなかった。消毒液の匂い、洗浄剤の匂いすごいですよね。

「そうですね、、。開けましょう。ちょっとコツがいるものですから。」


窓を開く。大きな窓、昔の両親も見ていたのだろうか。隣は、奇跡的に畑であり、うちで使っている野菜もそこで仕入れたものだ。農薬は、萌木印の物らしい。健康被害が極端に少ないのだとか。よくは知りませんが、味もそこそこですし、外の物は高いですからね。

「春先ですよ。お爺様、このような陽気に永眠でもいかがですか。」

辛辣な言葉が、後ろで飛び交いますね。

「ちびよ。わしにくたばれと言って居るようにも聞こえるのじゃが今日のご飯はカレーにしようかな。」

「兄さまが食べていいた。おいしそうなにおいのすごく辛いあれですか。いやがらせなんてそのとしてみっともないですよ。あと、今から朝ごはんなんですが、ボケたのかしら。」

「君の方がとしはーーーー確かに下だな。んーやりずらいなまあゆっくりしましょう、、。」

私は、メインの準備をしましょう。

肉たたきを手に取り、震える手を抑える。

一発ですよ。あとは、トマトを切ってパスタを煮込む。冷蔵庫には、シフォンケーキがありましたね。

さあ、できました。コーヒーもいい香りです。では、、

「いい包丁ですな。」

、、、すこし驚いた。心臓が、脈打つのを感じました。

「そろそろ出来上がりますよ。席でお待ちになられては?」

キッチンはあまりみられたくない。奥には、あれが、、、。

「いやお手洗いのついでに、気になったのだよ。」

何が言いたいのでしょう。キッチンの手洗い場の鏡に私の顔が映る。目が死んでいます。

「何がでしょう?」

よく効き返したものだ。しらじらしいですね、私。でも、もう少しです。クラシックはいいものです。店内BGMを大きくした。
その行動には触れず、大柄な紳士はつづけた。


「一つ目は、消毒についてだ。清掃をしていく中でそんな量必要なものなのだろうか。
 二つ目は、そんなに消毒液を使ったのに、外に出てきたことだ。看板を出すだけならわ
 かるが、看板も持たず外にいた。
 三つめは、その肉たたきだ。ここのメニュー一通り見たところ、肉を扱う料理がない
 ように思う。一つ目と、二つ目は、たまたまでも違和感はないだろう。でも、その肉た
 たきは何なのかな。」

見事ですね。わかったのでしょうか。学校の先生なら花丸満点な疑問です。気持ちの高揚をこらえるのです、私。

「そうですね、、、一つ目から行きましょう。私は、隅々まで清掃をしないと、気が図まないタイプです。落ちないんですよ。匂いが、、、、。二つ目は、店外でお待ちいただいてる方にお見苦しいところをみられたくないんですよ。見つかりたくないですし、、、。三つ目はー、、。」

私は目の前の、肉たたきを振りかぶって、側頭部にたたきつけます。

「いい肉が目の前にいるからですねえ!!!」

しっかりとやりました。高鳴る心臓の鼓動、この感覚は、何時でも新鮮ですね。さあ、若いツバメは初めてです!!!さあ、、、笑顔笑顔。

テーブルの上に、コーヒーを置く。シフォンケーキを置く、そのタイミングで、女の子が口を開く。

「こういう細かい部分に気が付くようになったのは恐らく、爺様のせいなのですけど、なぜ爺様の分が、ないのでしょう?」

勘のいい子供ですね。まあ、チョコをかけて、、、。

「そうだね、、。お手洗いに行っているよう出し、お出しするのはもう少し後かな。」

シフォンケーキを見ながら、女の子が口を開く。

「その時はなんとお声掛けを?はしたないお爺様でもうしわけないですわ。」

本当にできた子だ。気の使える子は重宝されますし、家でもいい子なのでしょうね。

「『私は、お手洗いに行ってきますじゃ。』そう言ってたよ。」

間髪入れず、大人びた声がする。

「嘘つき。」

すっと、幼女のほうに目をやると、鋭い眼光で、こちらを見てくる。
見とれていると、チョコソースをかけ終わった。

「わしの一人称はわしだ。」

後ろを振り返るとでかい若者!?。誰だこいつ、いつ入った、何を見た。くそ。
「あなたは誰ですか?何時からそこに?」

先ほどの幼女が若者の陰からひょっこりと顔を出す。何がおこってる。何時移動したなぜそこに、、、!。息が荒くなる。

「なぜ?どうして?そうか、わしが聞きたいとこだな。まあまずその臨戦態勢を解いてくれ。といっても無理なのだろうと思っているので、このまま話をする。良いかな?」

私はとっさに、パンケーキについていた、ナイフをとっさに構えた。

「なんだお前!邪魔をするなら許さないし、お前も鍋に入れる!」

なだめるように、だがどこかあきれたように男がつぶやく。

「落ち着けよ。まあ、無理か。はぁ、どこから説明しようかな。ナイフは向けていろ。わしらに敵意はない。」

「そんなの信用できるか!質問に答えろ!」

急に表れて変なことを、、、。

「そうなるよなー。んー、わしはさっきの爺さんだ。なんて言っても信用はできないと思うので、先ほどキッチンから拝借したストローがここに、これをきれいに蛇腹状に剥く。
そして、ちび?頼めるか?」

何を言っている。確かに、一発感触もあった思いっきり、、、。

「もう、正体ばらしたんだし、ちび呼びはやめて。お安い御用よ。」

少女は、ストローを指さしくるくると指を回し始めた。

「と、この通り元に戻る。勿論、時を進めて朽ちるまでを君に見せることもできる。」

逆に指を回したかと思うと、封をしたストローが上から順に粉になって消えていった。

「じゃ、じゃあ、老紳士が君だったとして、私は確かに頭をかち割ったそれでも?よみがえる?というのか?はっはそんな、、そんなわけ、、。」

じゃあ、どうしてどうして、、、。
男は、何食わぬ顔で続ける。

「この能力は勿論これだけではない。だがな、いかんせんわしらにはこれをいかせるだけの能力がない。」

「何が言いたい?」

私は、お前も、他にも何人も、、、。

「わしらに協力してくれ。勿論ただではない。君の願い改めてなんだ?モップはあるだろう?」

先の質問の答えを繰り返したとき、私の中で糸がつながった。

願い、、。どうすれば良かった。何があれば、助けられた。朽ちる父と母を食べた私に!こんなにも無知な私に、、、、。

「『この世のすべてを知りたい。』知っていれば私はこんなことを経験せずにすんだんだ!」

息が上がる。両手でナイフを抑えると一瞬の静寂のあと、女の子が口を開く。

「何があったの?何があなたをそうしたの?」

「おじょうさん?ウミガメのスープを知ってるかい?」

「いいえ。知らないわ。」

「では、少し昔語りですね。私が君より小さかった時の話、笹船事件でのことです。沈没とされていますが、座礁に近かったのですよ。数日間、私は、船の自室にいました。ずっと、そこには父と母もいました。毎日配給されるお肉のスープを持ってきていました。事故あと毎日、毎日、、、ある日父がいなくなったのですよ。母は『男の人が優先なんて。なんて嫌味なのかしら、先に行ったわ。あの人。』と笑顔で泣きながら、お肉のスープを私の口に流し込んだのです。わたしは、その後ベットで安らかに眠る母を眺めて初めて、人の死を経験しました。そのあと、船を見渡しに自室の外へ出ました。生き残ってるのは、とうに私だけだったんですよ。凍傷でそうなったのか、切り傷や、欠損をした死体が多かったのです。そこで私は、走りました。いくつもの部屋を抜け、食料のある部屋へ。もしかすると大人がいて、お肉のスープをくれるんじゃないかと思いました。缶が転がっていました。封が空き、地面で凍っている。ガス系統も止まっていましたが、どうにかマッチで火を起こし、凍った少しのスープをとかしました。牛のスープも鳥のスープも豚のスープも少しずつ、、、、。味が、違ったのです。そこで私は、気が付きました。胃が痙攣し、おなかの中身が全部出た時に、あれは人の肉だったのだと気が付きました。」

二人とも、あまり動揺しないのですね。

「話を続けます、、、私は、父と母が丹精込めて作った、、解体した人肉を食べていたのです。そのあとも、私はお肉のスープを食べました。毎日、毎日、毎日ある日大人が来ました。そして私は何事もなかったように世の中に戻されました。ほんとに何事もなかったように
そして私は、、お肉が食べれなくなりました。時間たち、私はこの町に来ました。そこで、、お腹が減ってしまいました。野菜はもう嫌だった。『お肉のスープ』を作りました。1人で一か月も食べれるんです、、。私はそうすれば良かったんですか?どうすれば、、、。」

何事もなかったかのように淡々と男が口を開く。

「じゃあ、確認をしていく。タグチ、、、、。」

男女問わず名前を読み上げていく。『お肉のスープ』になった人たちの名前ですね。

「計30名。これは、たらふく食ったなあ、、、ユズキチ今日この人たちを救って戻って来 来ることは可能かい?」

「時間はかかるけど、可能よ。、、、あなたも手伝ってよ?人は重いし。」

可能?なかったことにでもするのでしょうか。

「そうか、じゃあ問題ないな」

問題ない?なぜ?問題は私が持っている!!そんなわけないでしょう?!

「な、にが、『問題ない』なのか説明してほしいですね!!」

「あーっと、、現状の被害者はこの町に来ての30人と笹船事件の200人プラスアルファこれらの人間の命を救おう。しかし、条件は君の望みであるものを叶える、まあ、家族とはともに暮らせない。これは、能力における制限のなかでもっとも考えられる代償、呑み込めないのは仕方がない。だが、君は時間の逆行やわしの蘇生を目にしている。」

私は、確認するように、蚊の鳴くような声で、つぶやいた。

「生かしてはおけないとでも言いたいのですか?」

それに対し、キョトンとした顔で男が返す。

「いいや、拒否しても構わない。だが、割とここの警察機関は優秀だ。そろそろ見つかるし、わしらみたいな民間の少人数に見つかってるわけだ。この町自体がそれを容認しているまであるが、そんなこと続いていたとして不気味ではないかね?」

言われてみればそうだ。この町にきて沢山の人と出会った。しかし、なぜばれていないのかそこも私は引っかかっています。もう逃げ道はないのでしょう。

「、、、そうですか、、確かに一理あります。私も、以前の自分に戻れるなら、そうしたいものです。」

できなくてもいい。チャンスがあるのなら怪しいこの男でも利用します。

「呑み込みが早くて助かる。凶器はおかなくていい。ではわしの手を握ってくれ。」

気遣いなのでしょうか、まだ信用できませんが、殺意はなくなりました。

「『夢は糧によって芽吹く』。」
まばゆい光とともに、手のひらと頭が熱くなります。世界の情報というべきなのでしょうか大量の情報が頭を支配する。鼻の下を伝う血の感触鼻血が出ていますね。鏡を見ている訳でもないのに、血だと判断できる、上がる口角の間から口腔内に血が入ってくる。
「素晴らしい!。今なら何でもできそうな感じがします!。世界は一時の感情と社会の歯車によって構成され!、、、福音は今現在も電子のだるまとともにあるのですまさにこの感嘆こそが愉悦であり、。」
足が止まらない。この高揚感を胸に私は今外に飛び出すのです。
「おいおい何をわけのわからないことを言っているんだ。待てって!まだ詳細がわかってないのに飛び出すなって!!」
何か言っていますが、そんなのはお構いなしに私は外の世界に足を踏み出した。
瞬間、視界は赤く染まり、耳は激しい耳鳴りと、爪の間から血が滲みました。
いたい、、そう感じる、考える?どちらが近いのでしょう勿論知識として痛いのです。
意識が、、、遠くへ、、。
「、、、ひどい出血ね。目は覚めたかしら。」
先ほど、少女だった女性が隣で看病をしてくれていたのでしょう。
「やべーなこれは、頭が痛くなるぜ。」
頭を抱えていますね、私が外にでるからでしょうか。
「私は、普通にしゃべれますよ。すがすがしいのです。外に走り出しそうです。でも足も変色して立てません。」
不快感はありません、しかも、痛みもありません。変形もしています。
「意識がないのに、三回もおなじことやってたのか、うわごとを叫びながらドアに激突し外に飛び出す。こえーって。」
死にかけで蘇生を繰り返しているのでしょうか気になりますね。
「恐怖の感情は理解できますが、笑みが出るほどすがすがしいのです。糸が楔が切れたように。」
解放のような感情に胸が躍っています。
「わかった、失血のタイムリミットもあるので、手短に行くぞ。知識は、たぶんこれで知らないことはほぼほぼないだろう。でもな、使う場所を失った。、、要するにここから出られない。」
残念ですね。
「そうですか、、、。悲しい感情です。でも、対策はあります。金はあるのでしょう?若葉さん?」
あきれ返った表情と裏腹に冷静な声で男がつぶやく。
「既知の情報からの推察で行われるものなのか、常時情報が入るタイプなのかわからないが、そうだな。まずは、欲しいものを聞こう。」
あー、、内臓が機能してないようです。むせかえる内容物は不思議な感覚です。
「助かります。まずは体を治してください。ごふっ!!!」
せっかく掃除したホールに、肉の混じった血液が飛び散りました。レバーみたいですね。
「ユズキチお願い、こいつ怖い。」
大の男が、何かにすがるように女性に声をかける。
「あなたねぇ、、、。『盈月~回帰~』(えいげつかいき)。」
ペキペキと音を立てて治っていく。
「お見事です。体が元に戻りました。では外に、、、」
「いくなよ?!」
身を乗り出した後で、頭を抱えてため息をつく大男。なんか疲れていますね。
「そうでした、、今から言うものを準備してください。VRゲーム機、Wi-Fiルーターあとグラフィックボード、追加で購入するものは100均でかえる物を追ってお願いします。」
女性にもお願いがあります。
「そして、あなたには、空間の作成を依頼します。」
大きい男は、そそくさと店を出て行った。
地下一階のパントリーは今何も入っていないのでここを使いましょう。
「できるかはわかりませんが戸棚の中の紐と釘を壁の四隅に設置してなるべく高く、釘をうち紐をくくり部屋の天井と床八ヶ所止めてください。」
紐をかけ終わったあと女性はきょとん顔でこちらに質問をして来ました。
「これで何かの儀式でも始める気かしら。」
内容は難しいですが、、、、
「いいえ、そうではありません。紐に触り、内側を想像してください。」
空間ごと制御できるのであれば、一考の余地はありますね。
「ええ、、いいわ、、。」
「次に、停滞させてください。」
「入れなくなりましたね。」
「予想とは違ったかしら。」
そう来ましたか。
「では空間の境目だけ六面の面の部分だけ同じ操作をしてください。」
さいころ上の空間で、空間の制御ができれば、可能性はありますね。
「何も変わらない気がするのだけれど、、、。」
「携帯はお持ちですか?ストップウォッチを起動してください。」
女性は、もそもそとスカートの中から携帯を取り出した。
「普通に動くわね。」
「私のストップウォッチは動いていません。故障の可能性があるので入れ替わって検証しましょう。」
理解としてはこの程度で扱えるのでしょう。単調ですがすごい力です。
「これで、時間の動かない空間が完成しました。ですが、出入りができませんね。」
でも困りました。出入りができないのは他人と干渉しあえないということです。
「すごいわね、、。これで、、あんな危険なタイムトラベルしなくて良くなる気がするわ。」
「タイムトラベルはどうやってするんですか?」
彼女の能力は結構一般的に使いにくいものかともいますがどのように作ったのでしょう。
「これよ。」
差し出された携帯電話には、ヘルメットを被った男性と抱きかかえられた女性が不服そうな顔で、大きいカプセルのようなものの中にスケートボードの上に乗り、向かい合わせのルームランナー二台の間にセッティングされていた、、、。ありのまま喋っては見たものの、タイムマシンと呼ぶにはいささか疑問が残る代物ですね。
「えーとどう説明すればよいでしょうか。」
けだるげにそしてため息交じりに、女性がしゃべります。
「私が聞きたいわ。」
どこか遠い目をしていますね。動画を再生すると、大きいカプセルが高速で回転をはじめ、、、、消えた。
「驚きました。素直にすごいと思いますし、これを信じるのは不思議なことですが、あの質量のものが消えるのも興味深いですね。」
その後、画面を見ていると、スマホに向かってまっすぐ大きなカプセルが飛んできました。その後は音声だけですが、嘔吐や壁に何かがぶつかる音がします。
「そういうことでしたか、、、、。これはなんというかお粗末ですね。私もこれで時間旅行はごめんです。」
身を乗り出して、顔を近くして、女がつぶやきます。
「そうよね!!だから基本的には行いたくない動作ではあるのよ。」
では、私の見地から、考えると、この盈月という能力は時空間に干渉するようですね。
範囲は個人の認識できる範囲で、、、、
「、、、ーい。おーい。聞いてる?」
女が話しかけていましたか。もう答えは出ました。
「電話はありますか?あの男の人にかけてください。」
不思議そうな顔をしながら、電話を貸してくれました。
『おーユズキチどうした?緊急か?』
「私です。葉っぱの裏側の八雲です。」
『あーどうしたお嬢さん?何か足りないものかね?』
「そうですね。酔い止めとプレパラートそれから顕微鏡と、、、」
『ちょっと待ってくれ、どう考えても100均でそろわないから文章でもらえるかな』
「わかりました。では、まず私のデメリットについて、教えてもらえますか?」
『どうした急に、まあ、わかってる範囲だと、そこからは出られない。そこから出ると不思議パワーでぐちゃぐちゃだ。』
「では、この空間だけってことですか?」
『まあ解釈次第だろうとは思う。わしの能力は結構あいまいな部分が多い葉っぱの裏側の敷地面積なのか。君が家として認識してる範囲なのかはよくわからない。』
「そう、ですか。」
『まあ、先も言ったけどあいまいなんだなマジで。』
まるで返答が裸の大将ですね。
「はあ、、、ではそこの分析もしましょう。」
『落ち込まないでくれよ。まあ、ヤマタカにはよるけど薬品関係はそこで買ってたんだろう?』
まあそこは知ってるんですね。あそこの店主は話しやすいんで好きでしたね。
「では、硝酸とアンモニウムとカフェインをお願いします。結構長期戦ですからね。」
『最初から重労働で悪いね。まあ施設の建造とかは任せてくれ。』
「助かります。」
現実の時間だと6時間ほどでしょうか女の人のおかげで時間を気にせず作業をできました。後の話は簡単です。
「いいですか、総一郎さん。真面目に聞いてください。」
「なんだいある程度のことではビビりもしないよ。」
腕を組み胸を張って男の人が答えます。
「今から、私の出向前にタイムスリップします。そこで、、、その、全裸で搭乗口をふさいでください。」
そうすることで世間は救われる可能性が高いです
「ビビり散らかしたわ。え?なに?全裸になれというのか?やばいけどわし回収される?それ?」
バタフライ効果については案外予想だにしないことで解消されるのですね。
「します。でもまあ、それをしないとあなたが戻ってこれなくなる可能性があります。」
「というと?」
「バタフライ効果というものがあります。ですが、ある程度の予測を立てることでそれを回避できます。」
「まあある程度とか言ってるけど、ラプラスの悪魔とかそういうレベルだぞ。まあまあ脳の負担になりえると思うんだがどうなんだそれ?」
処理速度の強いパソコンがあってよかったですね。
「かなり負担は強いですねでもまあそれは外部にも拡充できそうですし心配ご無用です、私はこの能力の名前はなんにしますか?」
「『アブソレム』(不自由な賢者)なんてどうだろう。不思議の国にいる芋虫の名前だ。」
「センスが学生のそれですね。でもいいですね。アブソレム今の私には向いている名前ですね。」
まあまるで芋虫のように四肢をもがれた、私には外界とのつながりもない、まあなかなかしっかりした名前ですね。これから全裸になる男が言う言葉とは思えませんね。
「行くメンバーはこちらで選定していいのか?」
唐突にメンバーについて男から決まれました。
「問題ないです。おそらく人間であれば大きく干渉しない限り大丈夫でしょう。」
顎に手をあて男は考える数秒考えた後、男が口を開く。
「ユズキチは確定として、目隠しだけは持ってきてくれ。あとは、現君。かれは能力の要だからな。兄さんはこちらの援助をしてくれ。動けない女性おていけないからな。」
数分経ったあと、現さんと呼ばれる小柄な男性、長身の黒いコートの『兄さん』と呼ばれる男性が来た。そして、計画の実行は滞りなく終わった。
二時間後。
「、、、もう嫁には行けんな。」
あなたは男ですから、婿ではないのでしょうか。
「コーヒーでも飲んでください。」
私も酷なことをお願いしたものだ。さて、、、私も
やることはしないといけませんね。父と母は、生存しているんです。しかしながら、会うことはできません。恐らくは二度と、しかし、わたしには記憶があります。悲痛な記憶と、幸せな記憶、夢のカフェを持つまで、、、二つの記憶は、本来一つの器にはあまりに大きすぎます。でも今の私なら、耐えられます。有難い話、、、本当に、、、。
『緊急事態発生』
大きなアラームですねアラームは解除しておきましょう。
「なんですか今の大きい音は、、、。」
小柄な男の子は耳を両手で抑えていいました。やっぱうるさいんですよねこれ。
このアラームはバタフライエフェクト発生時に大きく世の中が変わった時に発生するアラームなんですが。人間の場合何もしていなければならないはずなんですけど。
「わしはしっかり脱いだ!!しっかり全裸だ!!」
熊のような男が悲痛な表情で、叫びます。
「疑っていませんよ。」
しかしなぜでしょう。
なぜこんなことが、人間しかいないはずなんですけど。
「能力の使用は、人間である判断に影響しないの?」
柚月さんわりとするどいですが、、。
「それは、ありません。能力を常時、他人に使用している場合などであればまだしも発動していない状態であれば、人間と変わりません。例えばあなたの場合、自己意識の中に働きかけているようなもので、イケメンを妄想しているJKと変わりません。」
「そんなことはしません!」
リアクションがかわいい人ですね。では、、残るは一人、、

「現さん、、あなた人間ではないんじゃないですか?」

その場で、皆がぽかんとした顔をしていました。そして、現さんは言いました。

「え?僕人間じゃないんですか?」

ここまでで、いったん観測は終了しましょう。私も見ていてあほらしくなってきました。
ここまでで、わかったことは人間というものの定義はすごくあいまいで難しいということ
そして、次回は、船に乗る予定だった子供たちの中で隕石事故に巻き込まれた彼女と野良野良人間だった、アニマル少女のお話ですかね。アラームの話?人間じゃない現くんは何なの?そんな疑問執筆者にもわからないかもしれませんね。なんちゃって。

ではまたどこかで。

5月5日七星テントウレポートより。

『-緊急事態発生』
発生事項、隕石による被害者一名発生。同時に異常存在を検知しました。

いいなと思ったら応援しよう!