マガジンのカバー画像

23
若葉ことりの詩を集めています。
運営しているクリエイター

#詩

【詩】生命のかけら

暑い午後惰性で皿を洗っていると 流し台に黒く光る目玉 艶々と光を受けてこちらを見据えている…

2

【詩】静かな鍛錬

空っぽでただ怯えている 空っぽでただ募らせている しかし、堂々と生きたい やはり 空っぽに…

7

【詩】砂漠

風が吹いても哀しくて 嵐が来ても気が付かない 砂漠になった気分が続いている ならば雨が降れ…

3

【詩】死に物狂い

シャンプーしているとき いいフレーズが決まって飛び出す いい匂いがしてるからかな 5分後には…

2

【詩】世間知らず

秋を生きる 世間知らずで生きる もう、傷つき易い少女ではないが 夜半が訪れる 世間知らずで…

4

【詩】にちようびはおやすみ

無・重力になれるピンク色の入浴剤 右側に鎮座する我が子 18分以内の保湿を命ずる そのうちに…

2

【詩】啓示

ただ横たわるだけの生命維持 心臓も制御できず、 肉体の主は息を殺し、 カウントダウンに暇がない それに支配されているが ある日啓示を受ける わたしはわたしである、と どんな魔物にも侵せない、と いつも自由だった、 支配などされてはいなかった、しっかりと 精神の主は自分を生きることにして、 小さな幸福を見出した

【詩】ステンドグラスの夢物語

いちごソーダと拙い幻想を流し込んだステンドグラス 幸せを閉じ込めておける そんな物語 森の…

3

【詩】予感する日

いつもより早い帰り道、 宝石みたい太陽の粒が降り注ぐ祝福と カラスが鳴く、つくしが揺れる …

9

【詩】夏の煙

異国の日射しを浴びて 緑色のミニスカート揺らして歩く 木陰を見つけたら くしゃくしゃのショ…

3

【詩】透明の木

どこにでも行ける 足があるね 飛ぶようにステップ踏んで 石畳だって走れるさ ガラスにも鏡に…

3

【詩】永遠目がけて

窓をあける 大きくあけ放つ すると目の前には宇宙が 見渡しきれないところまで ひろがってい…

5

【詩】中指の相棒

大きなガラスのハートのリング 透き通った 遠くの晴れの色 ぐっと腕を突き上げて 太陽にかざ…

1

【詩】黒い海

黒い海で 溺れている 凍りついた尾ひれ 凍りついた鱗 酸素が届かない 虹色のからだ 黒い海で 溺れている あしたはもう来ない 辿りつかない 虹色のゆめ 彩れない 彩れない 彩れない あの約束 もう少し 時間をください