#3　お前の交友関係がわからない事件

2022年2月の出来事。
実際に会ったことで付き合うことになった私たち。
私は家に帰った後、結婚を前提にお付き合いを始めた事を親に伝えた。
もちろん、親も喜んでくれた。
とりあえず、相手の年齢と職業だけを伝えて、驚きはされたけど、やっと安心させられるかなって、私も嬉しかった。

そこで彼が私に教えてくれた、彼なりの彼女特典。

①1日1回は必ず電話をする。
②配信する前に必ず連絡を入れる。

お互いフォロワーがいる訳だから、大々的に付き合ってるって発表することは得策ではない。
だからこの関係は誰にも言わないと約束して、と。
そのかわり、彼女だからこそすることがあるから、そこで特別扱いを感じて欲しい、とのことだった。
(この彼女特典と約束、今後かなり重要になってくるのでしっかりと覚えておいて欲しい。)

正直、配信前に必ず連絡を入れることが、何の特別扱いなのかはよくわからなかった。
付き合っている事を秘密にしなきゃいけない理由もしっくりはこなかった。
そもそも…彼女特典って何？
そんなのお互い自然としたければするものじゃないの？と思った。
でもこれが彼なりの特別扱いなのだと言われるのであれば、それを受け入れようと思って受け入れていた。

彼と実際に会って1週間ほど経った頃。
毎日の電話も順調で、話せば話すほど楽しかった。
そんな中で「明日コラボをしよう」と言う話になった。
付き合い始めてからは、初めてのコラボ配信。
付き合っていることは伏せての、2人だけの秘密の関係。
なんとなく優越感みたいなのもあって、そのコラボを楽しみにしていた。

しかし…約束の時間になっても、彼が姿を現さなかった。
どうしたんだろう。連絡してみても返事がない。
まぁ、単純に寝過ごしているのだろうと思ってはいたのだが、誰でもコラボ枠としてしまっていたので、誰ともコラボしない訳にはいかない。
テキトーに1人の男性を選んでコラボをしていたところに、彼がやってきた。
彼が来たのを確認して、話を切り上げようとしたのだが、私の人選ミス。
テキトーに選んだその男性のトークが、思いの外止まらなかった。唐突に切り上げる訳にもいかず、話を合わせていたところ、裏で彼からメッセージが入った。

「気分が悪い。」
「確かに遅刻した俺が悪いけど、男とのコラボを聞かされて、お前とコラボできる気分じゃなくなった。」
「そいつと楽しくやってろ。」
このような旨の内容が連続的に送られてきた。

彼の異変に焦った私は、配信を切り上げてすぐに彼に連絡した。
「ごめんなさい」
「待っていたけど、連絡もなかったから、仕方なく他の人と話してた」
「来てくれたらすぐあなたとコラボできるようにしていた」
このような旨を伝えたが、彼の心には全く届かない。

ずっとあげあしをとるように責め立てられ、3時間ほどやり取りを続けた。
通話をかけても出てくれない。
今は話したくないと拒否され続けた。
あまりにも攻撃的な言葉が続き、私も精神的に不安定になってきたところ、
「一度会ってセックスしたからって、安心しすぎな。」
「ずっと思ってるんだけど、お前から男の影が消えないんだよな」
「お前の交友関係がわからない。どれだけ言葉を連ねられても、行動が伴っていないから誠意が見えない。」
と言われて、私は何か行動を起こさなくちゃ、と思わされた。
どうすればいいか聞いても「自分で考えろ」と言われて、答えは返ってこない。

誠意…。
私から男の影が消えないのは…
私が気が多いように見えてるのかな？
男友達が多いからかな？
他に男がいそうで、不安なのかな？
…元夜職の女だからかな？
ずっと大切にしていたお客様で、
もうお店では働いていないとは言え、
私を支えてくれた人。恩人。
何年間も、付き合うとかはなく、ただただ愚痴を聞いてくれたり、相談に乗ってくれたりしてくれた、大切な友達。
ホントは切りたくない御縁だけど…。
これが誠意になるなら。

私は誰にも何も告げず、泣きながらLINEのアカウントを削除し、彼の為だけに作り直した。
友だちリストが彼だけになった画面を見せて、私なりの誠意を伝えた。
彼からの返事は「こんなの自分が勝手にしたことだろ」だったけど、これで許してもらえた。

ここから始まる、孤独な戦い。
彼だけになった友だちリストを見て、私も安心していたけど、こんなことで安心できたのは束の間だけだった。