
第39・40回読書会『ワーニャ伯父さん』第二幕・第三幕
今年最後の読書会が無事終わりました。
【第三幕終演👏】
— わかば@読んで書く日本語教師 (@saeriwakabaya78) December 18, 2021
今日はワーニャ伯父さんを演じました!セレブリャコーフをなじる場面では思わず感情が入ってしまいました😅
とても楽しかったです
話がグルンと動き出しクライマックスを迎えた感のある展開でラストはどうなるか…🤔
今年の読書会はこれで終了😊
来年は1月8日からスタートです! https://t.co/hDFLRnGw0i
今日は6名の皆さんにご参加いただきました。ありがとうございました。
実は12月4日の第39回の報告を書いていなかったので、第2幕と第3幕の感想を書いていきたいとおもいます。
唯一広い視野をもつアーストロフ
今日はまずアーストロフから。アーストロフは37歳の医者です。引退した大学教授で病気のセレブリャーコフを診るためにこのうちに通っています。
ワーニャをはじめとする登場人物たちが狭い世界の中で自分のことばかりを考えてイライラとしているのに対して、アーストロフはもっと広い世界のことを考えています。そういうアーストロフのことを教授の妻であるエレーナはこう評しています。
何ものをも怖れない勇気、何ものにも捉われない頭の働き、こせこせしない遠大な物の見かた……だわ。木を植えるにしたって、千年たったら、それがどうなるかということを、あの人はちゃんと考えていて、人類の幸福というものをはっきり眼に浮かべてらっしゃるのよ。
エレーナは大学教授の妻だけど、実は心の底ではアーストロフを慕っているのです。鬱々とした家の中に爽やかな青年が来たら心惹かれてしまうのは当然といえば当然です。でも、それはソーニャにしても同じことですね。
第3幕では、ソーニャがエレーナにアーストロフへの想いを打ち明け、エレーナがアーストロフにソーニャへの気持ちを確認するために二人で話すという機会を持ちます。そうとは知らず、アーストロフは文明化がいかに地球環境に悪い影響を与えるかについて熱弁します。
でも、エレーナはそんなことは上の空です。「ソーニャのことが女として好きかどうか」をアーストロフ本人にたださなければならないのです。そして、勇気を出して切り出してみたところ、アーストロフの答えは当然「NO」でした。
そればかりか、アーストロフはエレーナに愛を打ち明け、キスを迫るのです。しかも、その一部始終をワーニャが陰からみているという始末なのでした。
この場面について、アーストロフとワーニャとセレブリャコーフの違いが際立っているなあと感じました。アーストロフは自然や環境を人類のものと考えて、ワーニャやセレブリャコーフは土地を自分のものと考えている。その当時としては仕方がなかったにしても、必要以上に固執する様が、少し滑稽にさえ見えてしまうのでした。
魔性の女、エレーナ
エレーナは退職した大学教授セレブリャコーフの年の離れた後妻ですが、その美しさから、モテモテです。ワーニャもアーストロフもセレブリャコーフもエレーナにゾッコンラブなのです。ワーニャはエレーナにこんなことを言います。
あなたには魔性の血が流れている。いっそのこと魔女になっておしまいなさい!
でもそれは、あながち言い過ぎでもなんでもなくて、エレーナは、アーストロフが自分のことを好きなのを気づいていて、しかも、自分もアーストロフが好きで、その上で、「アーストロフの気持ちを確かめてあげる」なんてことをソーニャに言うのですから、もはや女の敵と認定してもいいくらいです。
そして、アーストロフとキスしているところをワーニャ伯父さんに見られて、動転してしまって「家を出ます!」とか言い出す始末です。
そんな四角関係のゴタゴタの話かと思っていたら、セレブリャコーフがまさかの燃料投下です。
いきなり「家を売って、そのお金で有価証券を買って、あまりのお金でフィンランドに別荘を買ってエレーナと住む」とか宣言します。今まで邪魔者扱いされてきた年寄りが最後のカードを切りましたあああ!って感じです。
ワーニャは好きなエレーナが他の男とキスしているのを見てしまうは、自分の住むところが奪われるは、今まで働いて仕送りしてやった相手に裏切られるはで、もうなんだか今まで溜まっていたものを吐き出し「どうにでもなれ」状態でした。
散々不平不満をぶつけた挙句、最後はピストルまで持ち出すのです。
そんなこんなで第3幕は幕を閉じました。参加者の方も言っておられましたが、セレブリャコーフの燃料投下が、ワーニャ伯父さんのトリガーになりました。ワーニャ伯父さんは自分も文学の道に進みたかったのに、妹のため、妹の夫に尽くす人生を送ってきました。それなのに、それなのに……
おれだって腕もあれば頭もある、男らしい人間なんだ。……もしおれがまともに暮らしてきたら、シャーペンハウエルにも、ドストエフスキーにもなれたかもしれないんだ
このワーニャ伯父さんの叫びはちょっと心に沁みました。
最終幕、どんな終わりを迎えるかとても楽しみです。
では、また!
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