ThatとItの違いを解説
どんな記事を見てもThatとItの違いが分からない方の為に、ちゃんとした感覚の違いを説明していきます。
よくあるThatとItの違いの説明⇣
「Thatは相手の文全体を指し、Itは単語を指す」
「Thatで聞かれたらItで返さなければならない」
おそらくこのような説明をされてきたかと思います。
ですが、ネイティブがこのような考え方をして
ThatとItを使い分けてるわけではないです。
これらの例は、「結果的にそうなる」わけであって
ThatとItの分別をする際に考えることではありません。
ThatとItの違いを説明する際に、まず大切なことは
そもそも「ThatとItの違い」という考え方から根本的に間違いである
ということです。
まず初めに、ThatはThisの仲間です。
Thisが「これ・この」と言う意味を持つのに対して
Thatは「あれ(それ)・あの(その)」という意味を持っています。
それに対して、Itはそれらの仲間や兄弟ではありません。
Itの持つニュアンスを知るには、英語の基本知識や概念から入る必要があります。
分かりやすいように
I know(知っている、分かっている)
を使って説明していきます。
見てもらえればわかる通り
英語では「I know」と主語を必ず書かなければならないのに対して
日本語では「知ってる」という風に主語を省いて言うことができますよね。
では、何故英語では主語を省けないかと言うと
動詞の原形が文の初めにある場合、命令形になる
という英語のルールがあるからです。
動詞の原形とは、ingが付いていたりedが付いていたりしない、動詞そのままの形のことです。
つまり、I knowからIを省いてしまうと
「Know(知れ!)」と命令してしまうことになります。
こういうことから、英語では基本的に主語を省く習慣がないのです。
これがItの意味を知るために必要な知識です。
それでは、英語は主語を省かないというルールを踏まえたうえで
日常会話をイメージしてください。
私達は暑い時や寒い時、「あつい!」「さむい!」
と言いますよね。
でも、さきほどの例を当てはめると
英語では「気温があつい!」「気温がさむい!」
と言わないといけなくなってしまいます。
「何時?」と聞かれた際、日本語では「〇時!」と答えるのに対して
英語では「時間は〇時!」と答える必要が出てきてしまいます。
凄くめんどくさいですよね。
私達は、分かりきっている主語を省くのに対して
英語では、ルール上省けないわけですから。
そこで登場するのがItなのです
Itとは
分かりきっている主語を省く方法
なのです。
つまり、私達が主語を省く時、英語では主語をItにする
ということです。
さきほどの例で言うなら
「It's hot!(あつい)」「It's cold!(さむい)」
「It's 5PM(午後5時だよ)」
となります。
つまり、日本人からすれば
Itは無いものとして考えれば良いのです。
では、なぜ冒頭で出てきた
「Thatは文章全体を指し、Itは単語を指す」
や
「Thatで聞かれたらItで答えなければいけない」
というような説明をされるのか、解説をします。
例文は
「I bought this T-shirt yesterday」
を使います。
日本語訳にすると
「この服を昨日買った」
という意味になります。
では、これに対して
「That's nice」と返す時
「It's nice」と返す時の
意味の違いを考えていきます。
これは日本語で考えると分かりやすいです。
「昨日この服買ったんだ」に対して「いいね!」と返すのは普通な感じがしますよね。
ただ、「それはいいね!」と返すと「?」となりませんか?
不自然というか、他意があるような感じがしますよね。
もしこの会話にこのようなバックストーリーがあると仮定します⇣
・服を買った人は引きこもり気味で、昨日久しぶりに外に出て服を買った
そうするとどうでしょう。
このストーリーが背景にあったと仮定して
「それはいいね!」と返答したとき、
引きこもりだったけど服を買いに行ったという
行動自体を褒めてるようなニュアンスが出てくると思います。
これが、Thatは文章を指しItは単語を指す
という謎の説明が発生する由縁です。
つまり、買った服の見た目そのものを褒めたければ「It's nice」となり
服を買いに行ったという行動を褒めたければ「That's nice」になるということです。
ですが、冒頭でも言った通り
これは結果的にそうなるだけであり
こういう風な考え方でItの意味を考えていても
一生Itを使いこなせません。
もうひとつの例もそうです。
友人があなたの車を指さして「あれは何?」と聞いてきたら
「私の車」と説明しますよね。
もちろん「''あれは''私の車」と説明してもよいですが
主語を省いて答えても伝わりますよね。
つまり、英語では
「What is that?」に対して「It's my car」
と答えることができるのです。
これが、Thatで来た質問にはItで返すと説明される理由です。
ちなみに、Thatで来た質問にThatで答えても意味は普通に伝わります。
ただ、「ネイティブではないんだな」と思わます。
これは何故かと言うと
日本語では主語を省ける場合でも
省いても省かなくてもどっちでも良いケースが多いのに対して
英語では、Itとして省ける場合はほぼ確実にItとして省く
という習慣があります。
かいつまんで言えば、「省けるなら省けるだけ省く」
というマインドがあると言えるでしょう。
What is that?に対してThat's my car
と返しても意味は伝わりますが、ネイティブは基本的にItを使うよね
というだけの話です。
もちろん、日常会話にはテンポがあるので
ネイティブだからといって絶対にThatと返さないというわけではありません。
私達が、話し始めに「は」や「を」を間違えても
そのまま訂正せず突っぱることがあるように
ネイティブももちろん、Thatに対してThatで返すことがあります。
くだけてナンボの日常会話ですからね。
…さて、最後になりますが
これらを踏まえたうえで
Itが使われている文章を読むことに挑戦してみてください。
・私達が、分かりきっている主語を省く時
英語ではItを使う
・つまり、Itは無いのに等しい
これを頭に入れて読めば、きっとわかりやすいでしょう。
読んでいただき、ありがとうございました!
(余談ですが、Nice!ですら本場ではIt's nice!と発音するのが正解です。もちろん、いまとなってはネイティブもniceにはItをつけないことの方が多いですけどね!どこの国も日常会話なんてめんどくさいんでしょうね;;)
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