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【作品解説】厭世の天使
こんにちは、狐瓜です。
今回はジョウケイドットハーフシリーズ『厭世の天使』の解説をしていきます!
厭世の天使
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奪われた少女は追い求める、救いの手を。
▼ 差分
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今回の差分は中央に差し込む光(GOD RAY)と雰囲気で入れた文字を無くしたものです。
場面について
本編第二部の最後のほうの場面になる予定です。なぜこのような書き方か──そう、まだ本編で書いていない部分なのです(ほぼ確でこれになるとも思います)
世界の崩壊を止めるべく向かった先にいたのは、負の感情たちを従えた少女でした。
登場人物について
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世界合体によって出現した空間にいた少女。
天命に従い、行き場のない感情が具現化した存在に手を差し伸べ導く。その姿を天使と見るか、悪魔と見るか。
CTW第二部のラスボスです。構想段階で没になった彼女ですが、発想の転換で復活しました。ある意味、最も出世している人物です。
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かつて故郷を失い、2年ほど昏睡状態だった少年。
身元引受人として現れたレオンのもとに住みつつ、彼から剣技を教わっていた。
昏睡状態から目覚めて以降、時々聞こえる謎の声とそれに伴って発生する頭痛に悩んでいる。
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第二部の主人公です。ジョウケイドット作品では「月光差し込む宿屋にて」以来の登場になります。
先程名前の出てきたレオンは第一部の主人公です。「別れを告げる夕焼」で後ろ姿で登場しています。
彼もまたシュウの兄であるジンを師として仰いでいました。その時にしたの約束が影響して、シュウを見守ることにしたのでした。
(自分で作ったわけですが、この3人の関係性がエモくてお気に入りです)
見てみてポイント集
▼ ムキムキになっちゃった亡霊さん
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左右の地面から這い上がってきているのは、行き場のない感情が具現化した存在である亡霊さんたちです。
行き場のない感情──言い換えれば負の感情が集まると、ジョウケイドット作品の舞台となるCTWの世界では形を得て具現化するという設定があります。大抵は死んだ時・同じ種族から・似たような感情が集まって悪さをするモンスターとなるのですが、この亡霊さんたちはちょっと違います。
場面説明にて「世界の崩壊」と使ったのを覚えていますでしょうか?
今回のジョウケイドット作品の世界はバランスが崩れて崩壊しつつあります。空は赤く染まり、モンスターたちは凶暴化し......混沌としている状態です。もちろん、混乱しています。
そんな環境下で抱く行き場のない感情は、普段の生活の中でのものよりも乱れ、底なし沼のようなもの、これだ!という単一の感情はなく、不安・恨みなど様々なものが混じりドロドロとしたものというイメージがあります。
話を戻して、この亡霊さんたちは生きている者たちのそのような複雑な感情たちが、さらに複雑に混ざりあった存在です。上手く言い表せないのでこのような表現をしますが、悪さをするモンスターを完成系のマヨネーズとするなら、こちらは油と酢の割合を間違えたマヨネーズもどきのようなものです。
そのため少しドロっとした感じに仕上げています。
それだけでは亡霊っぽさや禍々しさなどが足りなかったため、骸にしたのですが──The骸っぽさを出す要素ナンバーワンな肋骨くんを描くスペースが足りない!!
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かといって描かないとこんな感じでのっぺり。なんか全身タイツっぽいです。
そのためできる限りの努力をしたものが今の形です。結果、シックスパックみたいになってしまい、無駄にムキムキに見える亡霊になりました。
(もっと恐ろしい感じにもできたのですが、それもサイズがあわないため今の形になりました)
またワラワラと出てくる様子を表すために、亡霊さんたちの動きを手で表現しました。
無秩序さも少し出したかったため、出ようとしているのに頭に手を置かれて出れない亡霊さんも描いています。ちょっとだけお気に入り。
この項目の最初の画像にあった「\ コンニチハ!! / \ チョ テメェ!! / \ ワイガサキヤ!! /」はそんな亡霊さんたちに声をつけてみたものです。描いてる途中から可愛く見えてきたのは内緒......
▼ 偶然の産物
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手前や奥にある石柱兼柵は日本と海外の墓石を混ぜて2で割ったようなものをイメージして描きました。
では、なぜ墓石モチーフにしたかというと──先程書いた亡霊さんたちの亡霊っぽさとこの空間が生と死の狭間(境目)であることを強調するためです。
雰囲気でボロボロにしたのですが、描いた意図とあわせて見てみると「柵→境界線となっているものが壊れそう=生と死が曖昧になりそうになっている」という解釈もできそうです。
本編を作っているときも例外ではなく、このように既存のものの組み合わせで偶然新しいものができていることがあります。不思議......
偶然の産物でもう1つ。
さて、亡霊さんたちにはあるのにえんてん(略称)ちゃんにはないものがあります。それは──地面(水面)に写った姿です。
こちら、最初は亡霊さんたちと同じようにレイヤーを作っていたはずなのですが、いつの間にか消していたようです。
途中で気がついたものの、結果的に幽霊には影ができない理論で彼女がそういう系の特殊な存在であることを表現できると思い、修正しませんでした。
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本当はこんな感じで水面に写ってる方の表情を変えるつもりでした。
今回の絵でしなかったため、次にえんてんちゃんを描いた時(↑)にやったという裏話もあります。
もしかすると、シュウを配置して顔が写らなくなってしまったから消してしまったのかもしれません。
今回の解説はここまで! 次回は「兵どもが夢の跡」の解説です。
※以下、本編ストーリーのネタバレを含む解説となります。
ネタバレ含む解説コーナー
毎度同じく、本編部分の振り返り──できないね!!書ける部分は書いちゃってるよ!!
すでに書いた通り、物語でこの場面はまだ未公開の場面です。つまりこの記事全体がネタバレでした。
では、ここから先はというと──前提知識(設定など)の他に裏設定も書いた内容となっています。というか、この解説記事はここからが本番かも……
ATTENTION
書いている内容(主に設定・ストーリー回り)がとてつもなく複雑です。
言ってしまえば、後半になるにつれて作者である私自身も書いていてわからなくなってきました。頭の中にしっかりとあるけれども、それをうまく文にできない感じです。語彙力とかそういう問題ではないレベル……!!
なんとか読み物として読めるものまで持って行ったつもりです。
どうかご容赦ください。
▼ えんてんちゃんの正体
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前に描いたこちらの落書きの焦げてしまった部分にいるのがえんてんちゃんです。本当の名前はルティアと言います。
ちなみに中央にいるのは今回も登場しているシュウ、左にいるのはヴァルトという少年です。この3人は幼馴染のイツメンといったところです。
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死んでると書いていますが、微妙なラインなので鵜呑みにしないでください。
例の事件というのは本編第一部の最初、灯火の街フォティア壊滅のことです。下のリンク先で舞台になっています。
この第1部の時点では明らかにならないのですが、実は灯火の街を滅ぼしたのは帝国ではありません。第2部でシュウたちと敵対する組織です。
(現在リメイク中で設定等が固まってないので敵対組織はふわっとした感じにしておきます)
この5話の中でレオンが聞いた『お願い、2人だけは......!』は瀕死の彼女が発したもので、滅ぼした張本人に向けてのものです。
張本人にイツメン3人で立ち向かったものの、もちろん力及ばず瀕死に。
ルティアは上のセリフを機に体質やら血筋やらで目をつけられ、後に厭世の天使に仕立てあげられちゃいます。ついでに世界から忘れられた存在にされます。
ちなみにシュウの説明で書いた謎の声の主も彼女です。世界から忘れられた存在が干渉しているというイレギュラーが発生しているので、頭痛も起きているのです。
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すでに長いのですが、せっかくなので書いておきます。
彼女は過去絵に登場しているマイ・トルースリアです。ルティアと同じピンク色の髪なのは遠い親戚のためです。
※瞳の色も同じ紅ですが、ルティアは後天性のものです。
正確にはマイの姉の子孫がルティアです。ルティアの名字の「リストリアル」はリ(Re)+トルースリアのアナグラムとなっています。
また、上のセリフはマイがかつて言ったセリフです。
▼ リード文について
これまたCTWの設定ですが大雑把に「魂に自我があり、肉体は魂の入れ物」「肉体に魂が2つ入れる体質の人もいる」というものがあります。
ルティアは後者の体質でして、厭世の天使状態では別の魂も入っており、自分だけど自分じゃないぐらいまで融合(吸収のほうがいいかもしれない?)しています。
※ルティアの紅目もこれが原因
これらのことからリード文は『(自分を)奪われた少女は追い求める。救いの手(解放)を。』となります。
また、たくさんの亡霊さんを前に、ルティア自身は持ち前のポジティブ変換力で「だったらわたしが救わないと……!」という使命感を抱いています。これは別の魂の真の目的を唯一知っていることも影響しています。
ですが、これまた持ち前の「思いをぶつけるとスッキリする」という感覚が別の魂に歪められ「思い(=厭世観→亡霊さん)をぶつける(=戦わせる)とスッキリ(=成仏)する」になっています。結果、崩壊しつつある世界に亡霊さんを大量に放ち、より崩壊させています。
さて、亡霊さんたちの根城にシュウたちが来てくれたということは、一気にたくさん戦わせる=成仏させる絶好のチャンスです。また、自分を止めてくれるチャンスでもあります。この2つがあわさり、絵の中の彼女は偽りのないにっこにこの笑顔なのです。
というわけで『奪われた少女は追い求める。救いの手(亡霊さんたちを成仏させる存在)を。』という意味もあります。
こうして2つの意味があるため、抽象的なリード文となっています。
▼ 柵のギミック
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さて、再び全体像です。わかりにくいのですが、柵が上からも生えていることにお気づきでしょうか?
これを伸ばすと(右側はズレますが)下の柵とつながります。
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では、残りの柱も同じように伸ばしてみましょう。
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こんな感じになります。
どことなく檻に見えませんか? いや、見えて欲しい……
檻と両手の鎖、ここから導き出される単語は囚人なのですが──ここでの囚人は、囚われの身という意味も追加しておきましょう。
繰り返しとなってしまいますが、ルティアは本来死んでいる人物です。
CTWの世界では「死んだ人は肉体から魂が離れ、抜け殻となった肉体は光となって消える」理があります。ですが、彼女は魂が抜ける前に別の魂が入れられ、それに融合(吸収)されつつあります。結果、ルティアの魂は肉体から抜けることができず、さらに肉体を再利用されている状態となっています。
この状態──ある意味、囚われの身になりませんかね……?
また理を破っている状態です。理を破る=罪を負う→囚人にもなりませんかね……?
断言できないものは隠せばいい理論で、隠しギミックとしました。
▼ 厭世の天使という言葉を選んだ理由
このタイトルになった・この言葉を選んだ理由を解説します。
※もう自分の中でもぐちゃぐちゃになっているので簡単にまとめると「設定と物語を踏まえたらピッタリな言葉が厭世と天使だった」です。以下、なんとかまとめようとした結果です。
まずはそのままの意味からです。すでに書いていることから、察することができたと思います。
改めてまとめると、ルティア自身の厭世観に満ちた亡霊さんたちを救ってあげたいという思いのもと、形や結果はともあれ手を差し伸べ導く存在(=天使)になっているため厭世の天使です。
次は天使を選んだ理由──これもそのままの意味からですね。
さて、これまでに何度も出てきた別の魂、その正体は邪神(仮称)の魂の1つです。この邪神は現時点でCTW本編のシリーズ通してのラスボスになる予定です。
※この点に関して、まだ設定が固まっていないのでこれ以上の説明はできません。
このことから、ルティアは神の意志で動いていることになります。まさに神の使い・代行者(=天使)なので、そのまま天使です。
最後は単語の意味を振り返るところから始めましょう。
厭世は「この世や社会を嫌い、厭うこと(避けたいと思うこと)」です。
一方、天使は「神の意志を伝える使者(それから発展して、保護者・導き手とも)」というそのままの意味の他に「優しい人、無垢な人」「祝福、幸福」といった比喩的なもの・概念的な意味も持っています。
さて、正直に述べる時間だ!
前回の解説記事から気が付けば半年以上が経っていました。その理由は──上の段落まで書いたのですが、自分の中で持っているものを説明するのが難しく、長い間ここでストップしていたことにあります。
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ということで、チャットGPTに文脈やら矛盾やらの細かいことを気にせずに垂れ流し、彼(?)なりのまとめ&解釈を書いていただきました。もう自分の言葉で書くことを諦めたよ……
特に言いたかったことは1です。だから意味を振り返っていたのです。
(矛盾感とか、ルティアの状態にピッタリでしょ? それに本編第2部のテーマの1つに「二面性」もあるからね…?)
2もルティア自身が抱いている使命感のあたりに重なります。これらのことから「厭世」と「天使」を選び、組み合わせました。
なお、3・4は意図していなかったものです。こういうのもありなのかもしれませんね。
今回はここでおしまいです!
後半は書いてて自分でもわからなくなってきましたし、1番最後なんか投げやりです。解説記事なのにごめんなさい……!!
ともあれ、ここまでお読みくださりありがとうございました!