小さな嘘
先日、学童に息子を迎えに行くときれいなブルーの折り紙を手にしていた。
「それどうしたの?」
『もらった』
「誰に?」
『忘れた』
私たち親子のやり取りに気がついた先生からも「物をもらったり、あげたりはしてはいけない約束だよね。」と話してもらうも、息子は「誰にもらったか覚えていない」と繰り返すばかり。
「じゃあ、家に帰ってから思い出したら言ってね。」そう話して学童を出ることにした。
*
玄関を出ると外は深い夕暮れ。
建物の角を曲がって誰もいなくなったところで、息子をギュッと抱き寄せた。
「このまま家に帰っていいの?」
『だめ』
「じゃあ、誰にもらったか教えて」
『ロッカーの前に落ちてたから拾った』
「誰かのを取ったんじゃないよね」
『取ってない』
「じゃあ、戻って先生に拾いましたって言って渡して帰ろう」
『うん』
拾った折り紙一枚。
これぐらい見逃してもいいのかもしれない。
こういう小さなことのうちに見逃さないで叱るべきなのかもしれない。
何が正しいのか、私にはよくわからない。
*
真っ暗な帰り道、息子とこんな話をしながら帰った。
「お母さんはね、あなたが嘘をついたって嫌いにならないよ。でも嘘はよくないね。」
『うん』
「噂がどうしていけないかわかる?」
『人を騙すことだから』
「そうだね騙されるのはイヤだよね。じゃあ嘘をついた時、どんな気持ちだった?」
『あ、やっちゃったなって思った』
「その時、身体はどんな感じだった?チクチクした?いい気持ちだった?それとも気持ち悪かった?」
『気持ち悪かった』
「お母さんは嘘をつかれたけどぜんぜん気持ち悪くない。嘘をつかれた人はあいつは嘘つきだって思うだけ、気持ち悪くなって苦しくなるのは自分なんだよ。
もう嘘はつかないね」
『うん』
*
息子はこれからもたくさん嘘をつくだろう。
親に隠し事なんていっぱいあるだろうし、それでいい。
でも、『自分で自分を苦しめる事をしてはいけない』ということは覚えておいて欲しい。
そんな風に思った。
今日のnoteは親子の備忘録として。
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