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南座で『あらしのよるに』を観る。

先日、京都四條南座九月花形歌舞伎『あらしのよるに』を観ました。
原作は絵本『あらしのよるに』。
昔、保育園で読んだなぁ、と思ったら発刊30年記念、とありまして。
知らなかったけれど全七巻の人気シリーズです。

絵本の世界観を大切にされた舞台です!

9年前に南座で初演。
観たいと思った時には完売御礼でした。
嬉しい再演です!!

歌舞伎だけははまらないでおこう、と思っていたのに、昨年末の顔見世と今年の三月花形歌舞伎でまんまと沼に。
三月に大好きになった中村壱太郎さまが出はるんやもの行かない理由、ないよねぇ。

3階席4,000円也。南座はどのお席でも観やすくて好き。


そして。
とーっても良かったです!!
正味2時間半くらいのお芝居、3時間は語れます。

嵐の夜、雷を避けて駆け込んだ山小屋で偶然出会った狼のがぶ(中村獅童さん)と山羊のめい(中村壱太郎さん)。
真っ暗闇で何も見えず、雨で風邪気味、鼻も効かず。
一晩中語り合い友達となったがぶとめいは「あらしのよるに」を合言葉に再会を約束します。
翌日再会したふたりはびっくり。
「ともだちなのに おいしそう」

ふたりの友情は深まりますが、群れで暮らす狼と山羊には“食う食われる”以外の問題もたくさんあって。

信じる力、思いやる心。
純粋で尊くて、胸にささりました。

食べたい欲を我慢するのと、食べられるかもという不安を抑えて一緒にいるの、どちらが辛いんだろう。

追いかけるのと追われるのどっちが幸せ?
なんて考えてしまったのは壱太郎さんが可愛いすぎるからですね。

グッときて、涙が出そうになること数回、
その度にクスッと笑わせてくれる展開があって、
上手いなぁ。と感心いたしました。
泣かせたい話じゃないのよね!

ネタバレになりますが、
がぶが一瞬野生に戻るところ、そこから立ち返るところ。
芸の凄さに鳥肌が立ちました。

かっこいい!!


歌舞伎の入門としても見どころいっぱい。
「だんまり」「トンボ」「立ち廻り」。
三味線や鳴物、長唄も素晴らしかったなぁ。
学校行事の団体さんも来られていて、ここから歌舞伎に親しまれる学生さんを羨ましく思いました。

今回もイヤホンガイド(800円)をお借りしました。
そう難しい言葉はないのですが、役者さんのお名前や解説はありがたい。
解説で印象的だったのは、
日本ではオオカミは害獣を退治してくれるところから神聖な存在で、神の遣いであったり、神として祀られている神社もある(舞鶴・大川神社)というエピソード。
面白いなぁと思いました。

素晴らしい作品をありがとうございました!!

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