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【私の好きな漫画】 「BLAME!」を語りたい

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私の大好きな漫画家、弐瓶勉さんの初の長編連載作品にして、異色のSF大作「BLAME! 」
この作品について、個人的なお気に入りポイントを語りたい、ということでこの記事を書いています。

あらすじとしては、寡黙な主人公・霧亥(きりい)が、「ネット端末遺伝子」を持つ人間を探して途方もない探索の旅を続ける、というものです。
舞台はかつての「災厄」によって正常な機能を失い、荒廃した「都市」で生き抜く人間たち。
「都市」は高度に機械化された文明の成れの果ての姿を晒しています。

そして、この「都市」の雰囲気がたまらない。

一般に、物語というのは舞台上で活躍するキャラクターにスポットライトが当たると思います。
しかし、「BLAME!」においては、舞台そのものがその対象です。
作者自身がインタビュー(画集『BLAME! and so on』内掲載)で語っているのですが、「建物が主役」ともいえる作品であり、キャラクターたちの活動はあくまで、大きな世界の中のほんの一部のエピソードを切り取ったに過ぎない、とのこと。

実際に本編を読んでいただけると分かるかのですが、この主人公は恐ろしく無愛想で、何も語りません。ただただ淡々と、己の責務を遂行します。
故に、読者は彼が何を考えているのか計りかねますし、感情移入もしにくいはず。
ネット上では分かりにくいという意見も散見されます。ですが、個人的には私はそれでいいと思っています。

あくまで、舞台である都市の方がこの作品の主体。
都市は用途に応じた様々な機能を有していたり、魅力的なSF要素が設定されています。
どこまでも延々と続く階層構造、あらゆる攻撃を寄せ付けない超構造体、高速に移動するエレベーター、惑星ほどの巨大な空洞、無限の都市を生み出し続ける建設者…。
そういった『世界観』に付随したエピソードととらえると、登場人物たちのストーリーはあくまでサブと思えてきます。

また、物語は特定の解釈に収束しなければならないものでもありません。
それは読者が各々で好きなように考えればいい。
現実世界においても日々の我々の活動というのは、答えがあるものではありません。個々の意思や環境との相互作用の集合で生み出されたものではないでしょうか。
そういう意味で、この作品のアプローチはとても「リアル」だと私は感じています。

もちろん、なんの筋書きもない、というわけではなく、各登場人物にも細かい設定が行われ、ちゃんと目的や意思が存在しています。謎めいた部分も多いですが、考察がお好きなら、そういった側面から見ても興味深い作品であることは間違いないと思います。

楽しみ方の様々ということですね。

私が買ったときには全十巻のコミックだったのですが、今は新装版が出ています。
良ければぜひ、お手に取ってみてください!

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