不妊治療とキャリアの両立が難しいのは社会的イメージの問題もある気がする(呼び方変えません?)
【不妊治療】
「不」から始まる時点で
なんとなくマイナスなイメージ。
命に関わる状況ではないので
治療なのに病気ではない。
よっぽどの副作用がなければ
病休の対象にはなりにくい。
「妊」が入っているのに
妊娠、妊婦とは世界が真逆。
・妊婦健診なので休みます
・不妊治療なので休みます
どうしてこうイメージが違うのか…。
もはや
呼び方、変えません?
不妊治療を5年やっていた
アラサー女のたわ言です。
私は
28歳で結婚。
29歳から不妊治療を開始。
2度の流産とバニシングツインを経て
現在は残った1人をお腹の中で育てています。
私は不妊治療中
『不妊治療ありきでの生き方』
のヒントを探して
経験者の記事を読み漁りました。
私も、今不妊治療を頑張っている
どこかの誰かのために
不妊治療経験者の立場で
考え方や乗り越え方を
シェアしていきたいと思います。
医学的な不妊症の定義と分類
日本産科婦人科学会編集の産科婦人科用語集では、不妊症を
と定義づけています。
噛み砕いて説明すると、
・妊娠適齢期の男女が妊活してるのに
・なかなか妊娠しないので
・治療を始めたい
という状況のことだそうです。
不妊症の分類には、原発性不妊・続発性不妊という分類や、原因不明不妊(機能性不妊)・器質性不妊という分類などの考え方があるようです。
おそらく現在不妊治療をされている方の中でも、この説明を全て理解している方は多くないかもしれません。
社会的な不妊治療のイメージ
政府広報オンラインの記事によると、
と記されています。
不妊治療を社会全体で理解しよう、というスタンスで「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」も作成されています。
「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」の中では、不妊治療と仕事の両立が難しく「仕事を辞めた、働き方を変えた、不妊治療を諦めた」という人の割合が約26%であることが示されています。
また、職場に不妊治療を打ち明けなかった人が5割、その理由として「周囲に気遣いして欲しくないから」「不妊治療が上手くいかなかった時に職場に居づらいから」と答えた方がそれぞれ3割程となっています。
世の中における「不妊治療」のイメージが明るくないことが垣間見える結果ですね。
不妊治療と女性のキャリア
不妊治療界で有名な「杉山産婦人科」のHPにでは、次のようなことも書かれています。
実際、若い方でも不妊治療を始めている方も沢山いますが、高度な治療を行える施設になればなるほど、待合室で診察を待つ方はパソコン片手に仕事をこなしながら治療に取り組んでいる方が多くなる印象です。
(私は2回転院して徐々に高度な治療をを取り扱うクリニックに移動しています。)
女性の社会進出を後押ししてきた日本社会ではありますが、「女性が子供を産むこと」と「女性の社会進出」を両立することが前提とされていないまま女性に負担がかかっている状況に行き着いてしまった印象です。
それでも昔よりはかなり改善されている、と思う方も多いでしょう。しかし、少子化のスピードに全く対抗できない速さでのんびりと改善していては、子供を産みたいと思える女性がいなくなってしまう気がします。
キャリア形成の方法を自ら選ぶ
政府が「不妊治療と仕事の両立」というワードを掲げようと、職場の十分な理解を得られるとは限りません。そもそも、不妊治療を受ける当事者ですら、自分がその立場になるまでは
・どんな治療をするのか?
・どんなスケジュールになるのか?
・どんな副作用がでるのか?
・どのくらいの期間になるのか?
など、多くのことが分からない状況なのが普通で、前例がない職場では特に、当事者以外が不妊治療を取り巻く事情を理解するにはかなりの努力が必要です。
しかし、社内での理解を促したり、制度の改善を求めたり、同僚の協力を仰いだりということに労力を使うのは、不妊治療をしながらのメンタルではなかなか難しい。その労力と時間を不妊治療自体に注ぎたい。
そうなると、結局は仕事を変えたり、働き方をボリュームダウンしたり、辞めてしまうという選択にする方が「今はまだ」楽なのかもしれません。
結局は、当事者自身がキャリア形成の方法を工夫していくしかないのです。
マルチステージとしての考え方
人生100年時代。「LIFESHIFT/リンダ グラットン (著), アンドリュー スコット (著), 池村 千秋 (翻訳)」という本では、マルチステージという考え方が提示されています。
マルチステージとは、従来のライフステージ(教育→就職→引退)とは違って、さまざまステージを移行しながら、あるいは複数のステージを並行しながら人生を歩むという形のことです。
人生100年時代、60歳で定年した後も40年の人生が残っています。企業などで一直線の昇進をしたところで、生涯活かせるキャリアになるとは限らないという考えも、マルチステージへのシフトが提案される理由のひとつです。
そう考えると、女性の晩婚化はマイナスとは言いきれません。キャリアの種を先に作っておき、その後一旦出産・育児のステージに移行するというのも選択のひとつとして価値のあるものに思えます。
人生で大切にしたいことのウエイトはその時々、人それぞれ違います。その会社でのポジションを優先したい、今は不妊治療を優先したい、その先の子育てを考えてキャリアを移行したい…。
その選択はマルチステージの考え方に当てはめれば、一概に「キャリアを諦めること」とは言えず、「柔軟にキャリアを形成している」ことになるかもしれません。
「不妊治療」のイメージを改善したい
とにもかくにも、今はまだ「不妊治療」のイメージが、
・打ち明けにくいもの
・こっそり頑張るもの
・周りからも触れにくいもの
などのちょっと暗いイメージであることは否定できない事実です。
男性上司から「不妊治療始めたのか!すごいな!全面的に協力するから頑張れよ!!」なんて言われたことがある人はいるでしょうか?多分いないでしょう。
私はパートで勤めていた個人病院の院長に、入職前から不妊治療との両立について協力をお願いしていました。しかし実際は「了解した」との一言で片付けられ特に院長が動くことはなく、自ら同僚に説明し、頼み込んで休みを調整してもらう形で治療と仕事との両立をしていました。
職場以外でも、友人に打ち明けたところで「へー、大変そうだね…。」という微妙な答えが多い。打ち明けば打ち明ける程、自分が可哀想な立ち位置に感じる。言わない方がマシ、という気持ちになってしまいます。
メディアやSNSで不妊治療を打ち明ける著名人も、妊娠してから、あるいは不妊治療を諦めてから「実は…」と公表する方の方が多いイメージです。
その根底にはやっぱり、先行きが分からないまま打ち明けるのはプレッシャーに感じるという気持ちがあるのではないかと思います。
でもでも!私は諦めたくない!
暗闇でもがいてるイメージを払拭したい!
呼び方を変えてみたらどうだろう?
例えば高齢女性が「おばちゃん」じゃなくて「マダム」と呼ばれるように。
「不妊治療」を頑張ってる女性を「セーラームーン」とか「キティちゃん」て呼ぶとか。(ちょっと行き過ぎてる)
不妊治療を前向きに捉えられる取り組みがあったらもっといいですよね。新幹線の一部座席に「不妊治療割」があったり、「母の日」みたいに「不妊治療の日」があったり。
当事者や経験者である私たちが声をあげて世論を変えていかないと難しいかもしれません。私も今はひっそりnoteで夢を語ることしか出来ていませんが、「不妊治療のイメージを前向きにしていく」ことを、これから歩む「マルチステージ」の中の目標のひとつに掲げて置こうと思います。
おわりに
私が不妊治療を5年で得たものは、客観的に見たら流産2回とバニシングツインを含めた経験と第1子として生まれるであろうお腹の子の命のみです。
看護師や保健師としてのキャリアも、治療や交通費でかかった沢山のお金も、仕事も遊びも1番楽しめるアラサーの時期の5年という時間も失いました。
でも、このお腹の中の命を最優先にして過ごした5年は後悔のないものですし、この体験談を今不妊治療を頑張っている人や、これから不妊治療を考えている人に参考にして貰えるような発信に繋げられるものだと思っています。
私が今できることは、私のように不妊治療が長期戦になり悩んでいる方の、今後の選択のヒントになる種を撒くことだと思っています。
もし、こんな事が聞きたいというテーマがありましたら、コメント頂けると嬉しいです!
不妊治療を頑張っている全ての人が救われることを心から願っています。
▶︎他にも不妊治療に関する記事を書いています。
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